Skip to content
Pepin
EC運営2026-04-072026-09-1217分で読めます
EC運営配送物流

Shopifyの配送業者比較 — ヤマト・佐川・ゆうパック・自社配送

Shopifyの配送業者比較 — ヤマト・佐川・ゆうパック・自社配送
配送トラックのイメージ

配送業者の比較は、公開運賃を並べた時点ではほとんど決着しません。東京発・同一都県内あての60サイズで見ると、宅急便940円、飛脚宅配便910円、ゆうパック820円。最大でも120円差です。ところが持込割引の額、小型配送の使い分け、そして自社配送を選択肢に入れるかどうかで、この順位は簡単に入れ替わります。ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の3社に自社配送を加えた4択を、同じ物差しで比べる方法をまとめました。

結論を先に。 出荷数だけで最適な配送業者は決まりません。直近3〜6ヶ月の注文をサイズ・重量・配送地域別に集計し、3社へ同じ条件で見積もりを取り、運賃・割引・資材・出荷作業・追跡問い合わせまで含む 総配送コスト で選びます。近距離の注文が多いなら、自社配送を1つの選択肢として同じ表に並べてください。

50億3147万個
令和6年度 宅配便取扱個数
前年度比 約0.5%増
約95.2%
上位3便のシェア
宅急便・飛脚宅配便・ゆうパック(トラック運送分)
約8.3%
令和7年10月の再配達率
前年同月比 約0.7ポイント減

出典:国土交通省 令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について

出典:国土交通省 令和7年10月の宅配便の再配達率は約8.3%

わたし自身、前職のEC運営現場でこの3社すべてを使ってきました。今はShopifyアプリ開発者として、各ストアの配送設定を眺めながら業界全体の傾向を見ています。そのうえで言えるのは、 万能な業者はない ということです。商品サイズや配送エリア、顧客層によって最適解が変わります。この記事では運賃・サービス品質・Shopify連携・自社配送の4軸で並べていきます。

この記事に載せた運賃は、2026年9月時点で各社の公式運賃表に掲載されていた金額です。運賃は改定が頻繁で、日本郵便は2026年7月3日にゆうパック・ゆうパケットの基本運賃改定を公表しています。法人契約の個別料率は各社とも非公開で、契約により変動するため要見積もりです。発送前に必ず公式ページの最新額を確認してください。

出典:日本郵便 ゆうパックおよびゆうパケットの基本運賃などの改定

配送業者の比較は何を見れば決まる?

最初に、比べる軸を決めてしまうのが早道です。運賃だけを見て決めると、あとで運用コストに食われます。わたしが前職で使っていた比較軸は次の6つでした。

比較軸具体的に確認すること数字で出せるか
公開運賃上位3サイズ × 注文の多い上位5都道府県出せる(公式運賃表)
割引持込割引、同一あて先割引、複数口割引の適用条件と額出せる(公式ページ)
法人契約運賃月間個数、集荷頻度、繁忙期の最大個数を同条件で提示出せない(要見積もり)
追加料金クール、離島、中継、代引、時間指定、専用資材一部のみ(資材代は公開)
運用コスト送り状発行、追跡番号反映、梱包、問い合わせ対応にかかる時間自社で計測する
受取体験置き配、時間帯指定、再配達の変更手段定性評価

公開運賃だけでは法人契約後の実コストを判断できません。見積もり依頼のときは以下の3つを添えてください。

  • 直近3ヶ月の出荷個数を、サイズ別・都道府県別に集計したCSV
  • 集荷頻度の希望(毎日 or 隔日)と、締切にできる時刻
  • 繁忙期(11〜12月など)の月間最大個数

3大配送業者のシェアと特徴は?

まずは各社の立ち位置を整理します。令和6年度の宅配便取扱個数は50億3147万個で、前年度から約0.5%増えました。このうちトラック運送分については、宅急便・飛脚宅配便・ゆうパックの上位3便で約95.2%を占めています。つまりどのストアも、実質この3社の中から選ぶことになります。

出典:国土交通省 令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について

ヤマト運輸(宅急便)

個人向けサービスの充実度が高く、クロネコメンバーズによる再配達指定や置き配EAZYなど、受取人側の利便性が突出しています。コンビニ持ち込み・受取にも幅広く対応。営業所・取扱店・コンビニへの持込で1個につき100円の割引があります。

佐川急便(飛脚宅配便)

BtoB物流を含む法人向けサービスに強みがあります。運賃表は都道府県ではなく地方ブロック単位(関東・関西など)で公開されているのが特徴。営業所・サービスセンター・取次店への持込で1個につき100円の割引があります(契約運賃での発送と着払いは除く)。

日本郵便(ゆうパック)

全国の郵便局ネットワークが最大の武器です。持込割引が1個120円と3社で最も大きく、同一あて先割引・複数口割引(各60円)とも併用できます。小型・軽量商品ならゆうパケットやクリックポストという別建ての選択肢もあります。

配送業者の運賃を3社で比較すると?

ここが一番知りたいところだと思います。各社の公式運賃表から、東京(佐川は関東ブロック)発の金額をそのまま並べました。すべて税込・持込割引適用前の金額です。

60サイズの運賃

あて先ヤマト運輸(宅急便)佐川急便(飛脚宅配便)日本郵便(ゆうパック)
同一県940円910円820円
大阪1,060円1,040円990円
北海道1,460円1,440円1,410円
沖縄1,460円1,914円1,450円

80サイズの運賃

あて先ヤマト運輸(宅急便)佐川急便(飛脚宅配便)日本郵便(ゆうパック)
同一県1,230円1,220円1,130円
大阪1,350円1,340円1,310円
北海道1,740円1,730円1,710円
沖縄2,070円3,520円1,810円

100サイズの運賃

あて先ヤマト運輸(宅急便)佐川急便(飛脚宅配便)日本郵便(ゆうパック)
同一県1,530円1,520円1,450円
大阪1,650円1,630円1,620円
北海道2,050円2,000円2,020円
沖縄2,710円4,686円2,160円

出典:ヤマト運輸 宅急便運賃一覧表(関東発)佐川急便 関東からの料金表日本郵便 ゆうパック基本運賃表(東京)

表を見て気づくことが3つあります。

  1. 01

    本州内の差は小さい

    同一県・大阪あてでは3社の差が最大でも120円です。この程度の差なら、運用のしやすさや受取体験で決めたほうが結果的に得をします。
  2. 02

    沖縄で大きく開く

    佐川急便の沖縄行きは飛脚航空便(翌日中配達)の運賃が表示されるため、100サイズで4,686円と他社の倍近くになります。沖縄・離島の注文が多いストアは、ここだけで年間の配送費が変わります。
  3. 03

    運賃表の粒度が違う

    ヤマト運輸と日本郵便は都道府県単位、佐川急便は地方ブロック単位で運賃表を公開しています。近隣県あてを比べるときは、この粒度の違いを踏まえて同じ注文データで試算してください。

割引を入れると順位が変わる

公開運賃の差が小さいぶん、割引の額が効いてきます。持込割引だけでも3社で差があります。

割引ヤマト運輸佐川急便日本郵便
持込割引1個につき100円1個につき100円(契約運賃は除く)1個につき120円
同一あて先割引公開なし公開なし1個につき60円
複数口割引公開なし公開なし1個につき60円
割引の併用持込+同一あて先、または持込+複数口が可能

出典:日本郵便 ゆうパックの運賃割引について

ゆうパックは持込120円に同一あて先割引60円を重ねられるので、東京発・同一県あて60サイズなら820円から640円まで下がります。同じ条件の宅急便は持込割引後で840円です。ギフトのまとめ送りや定期便のように、あて先が繰り返すストアではこの差が積み上がります。

ここに載せた金額はすべて公開運賃です。法人契約の個別料率は各社とも非公開で、物量・発送元・配送先・集荷条件によって変動するため要見積もりになります。「月◯個ならいくら」という数字は、営業担当から提示されたもの以外は信用しないでください。

自社配送と配送業者への委託、どう比較する?

近距離配送のイメージ

ここまで宅配業者3社の話をしてきましたが、近距離の注文が多いストアには4つ目の選択肢があります。自社配送です。自分の車で届ける、スタッフが配達する、地域限定で置き配まで自社で完結させる。飲食・生鮮・花・大型家具など、宅配便に載せにくい商材を扱うストアでは現実的な手です。

自社配送に許可は要る?

まず法律の位置づけを押さえておきます。貨物自動車運送事業は「他人の需要に応じ、有償で」貨物を運送する事業を指し、一般貨物自動車運送事業は許可制、貨物軽自動車運送事業は届出制です。

出典:国土交通省 北海道運輸局 トラック事業について

つまり、自社で売った商品を自社の車で自社の顧客に届けるだけなら「他人の需要に応じ、有償で」には当たらないのが原則です。一方で、他店の荷物を預かって運賃を受け取る形に踏み込むと、許可や届出の対象になります。グレーな形態(近隣店舗の荷物をついでに運ぶ、配送だけを外部から請け負う等)を考えているなら、管轄の運輸局に事前確認してください。判断を誤ると事業そのものが止まります。

自社配送で発生するコストは、ストアの立地・車両の保有状況・人件費の設定によって大きく変わります。相場として出せる数字がないので、この記事では金額を置きません。代わりに、自分の数字を入れれば答えが出る計算式を置いておきます。

自社配送の損益分岐はどう出す?

計算式はシンプルです。次の4つを自分の実績から埋めてください。

  1. 1

    1回の配達ルートにかかる時間を測る

    出発から帰着までの実測値を使います。梱包済みの荷物を積む時間と、不在戻りの時間も入れてください。
  2. 2

    その時間に人件費の時間単価をかける

    スタッフが行くなら時給、自分が行くなら「その時間で本来やれた作業の価値」を置きます。ここを0円にすると必ず判断を誤ります。
  3. 3

    車両の変動費を足す

    燃料、駐車場、高速代。車両を新たに用意するなら、リース料や保険料を月間の配達回数で割って1回あたりに直します。
  4. 4

    1ルートの配達個数で割る

    (人件費+変動費)÷ 配達個数が、自社配送1個あたりの実コストです。これを宅配便の持込割引後の運賃と並べます。

この式で出した1個あたりコストが宅配便より高ければ、自社配送はコスト目的では成立しません。逆に、1ルートで10個以上まとめて配れる商圏なら、宅配便を下回ることがあります。判断の分かれ目は運賃ではなく 1ルートあたりの配達密度 です。

自社配送と宅配業者委託を並べる

自社配送
配達密度が高い商圏でのみコストが合います。配達日時を自分でコントロールできるので、生鮮・生花・ケーキのような時間制約のある商材に向きます。顧客と直接顔を合わせるため、リピートにつながる接点にもなります。一方で、配達エリアの外には届けられず、スタッフが配達に出ている間は店舗やCSの手が止まります。事故・破損の責任も自社持ちです。
宅配業者への委託
全国どこへでも同じオペレーションで届きます。追跡・補償・再配達の仕組みが最初から用意されていて、繁忙期の物量増にも人を増やさず対応できます。一方で、配達時間の細かい制御はできず、運賃改定はこちらの都合と無関係に降ってきます。受取体験の質も業者の仕様に依存します。

自社配送と宅配業者は二者択一ではありません。近距離は自社配送、遠方は宅配便という併用が、配達密度の条件を満たす唯一の現実解になることが多いです。Shopifyはこの併用を標準機能で組めます。

Shopifyで自社配送を設定するには?

Shopifyには「ローカルデリバリー」という標準機能があり、自社配送を注文フローに組み込めます。公式ヘルプによると、設定の要点は次のとおりです。

  • 配達エリアは郵便番号のリスト、または配達半径(最大160km)で指定する
  • 1つのロケーションにつき、配達ゾーンは最大10個まで設定できる
  • 1ゾーンにつき、条件付きの配送料ルールを最大3つまで置ける(最低注文金額など)
  • 注文内のすべての物理商品が、1つのロケーションから配達できる必要がある
  • 配達用の注文確認メールは、通常の発送通知とは別にカスタマイズできる

出典:Shopifyヘルプセンター オンライン注文のローカルデリバリーを設定する

配送料の考え方そのものを整理したいときは、 Shopifyの送料設定を徹底解説 も合わせて読んでみてください。物販と予約を1つのストアで扱う場合の注意点もまとめています。

自社配送を始める前に、置き配を認めるかどうかを決めておいてください。置き配は再配達をゼロにできる代わりに、盗難・破損時の責任所在が曖昧になりがちです。利用規約と特定商取引法に基づく表記に、引渡し完了の定義を書いておくとトラブルが減ります。

法務まわりの整備は EC運営に必要な法律知識まとめ に実務チェックリストの形でまとめています。

配送業者選びは何から始めればいい?

3社を比較する前に、自社の出荷データを把握することが先決です。わたしが前職で運用していた手順を5ステップに整理しました。

  1. 1

    月間出荷個数の把握

    直近3ヶ月の出荷個数を月別・サイズ別に集計します。Shopify管理画面の「注文」からCSVエクスポートするのが最速です。
  2. 2

    主力サイズ・重量の調査

    出荷の多いSKU上位20品の梱包後サイズ(60/80/100)と重量を実測します。料金表のどの段にハマるかで月コストが変わります。
  3. 3

    配送エリアのマッピング

    過去6ヶ月の注文を都道府県別に集計します。同一地域・近隣・遠方の比率がわかると、距離別料金の影響を試算できます。あわせて、自社配送圏内の注文が何%あるかも出しておきます。
  4. 4

    3社見積もりの取得

    3社すべての法人営業に同じ条件で見積もりを依頼します。1社だけだと比較材料がないので、必ず複数社に当てましょう。
  5. 5

    Shopifyアプリ連携テスト

    送り状発行アプリで実際にテスト出荷します。運用負荷を見ずに料金だけで決めると後悔します。

ヤマト vs 佐川、法人契約ならどっちが有利?

中規模以上のストアにとって最大の悩みどころが「ヤマトと佐川、どちらの法人契約を主軸にするか」です。両社の特徴を法人契約の観点で並べてみます。

ヤマト運輸(法人契約)
個人ブランド・D2C向き。受取人側の利便性が高く、置き配EAZYで「届かない」問い合わせが減ります。EAZYは対面のほか玄関ドア前・宅配ボックスなどから受取方法を選べ、直前まで変更できるのが特徴です。クール宅急便・宅急便コレクト(代金引換)・着払いはEAZYの対象外なので、代引き比率が高いストアは効果が薄くなります。
佐川急便(法人契約)
法人向けの見積もりでは、運賃だけでなく集荷時間、請求方法、倉庫との運用を確認します。条件は発送元・配送先・物量で変わるため、ヤマト運輸や日本郵便と同じデータを渡して比較してください。沖縄・離島あての比率が高い場合は、公開運賃の時点で差が出ることを踏まえて交渉します。

出典:ヤマト運輸 EAZY(EC事業者向け)

各社の強み・弱みを並べて見たい

3社それぞれを、ECストア運営の視点でメリット・デメリットに分解しました。

ヤマト運輸

メリット
受取人体験の質EAZYで玄関前・宅配ボックスなど複数の受取方法から選べ、直前まで変更できる
クール便の安定性温度帯管理が業界標準。食品D2Cに強い
沖縄あての運賃公開運賃ベースでは佐川急便より大幅に安い(100サイズで2,710円対4,686円)
デメリット
持込割引は100円ゆうパックの120円に比べると小さい
EAZYの対象外があるクール便・代引き・着払いでは置き配が使えない

佐川急便

メリット
法人向けサービス物量と配送条件を提示して契約運賃や集荷を相談できる
集荷対応の柔軟性時間指定や毎日集荷の融通がきく
BtoB物流に強い業務用大型荷物にも対応しやすい
デメリット
沖縄あてが高い航空便運賃が適用され、100サイズで4,686円と3社で最も高い
コンビニ発送に非対応小規模時の発送手段が限られる

ゆうパック・ゆうパケット

メリット
公開運賃が最安水準本州内の60〜100サイズで3社中もっとも安い段が多い
割引が厚い持込120円に同一あて先割引60円または複数口割引60円を重ねられる
小型配送の選択肢ゆうパケット・クリックポストという別建ての安価な手段がある
デメリット
運賃改定の影響を受けやすい2026年7月に基本運賃改定が公表されている
配達品質の地域差郵便局によってばらつきがある

サービス品質を比較する

配送サービスのイメージ

料金だけでなく、サービス品質もストアの顧客体験に大きく影響します。ここは公開情報から数値化しづらい領域なので、定性評価として整理しました。各社の仕様は変わるので、最終判断は公式サイトで確認してください。

項目ヤマト運輸佐川急便ゆうパック
配達スピード◎ 翌日配達エリア広い○ 法人向けは柔軟○ 翌日〜翌々日
時間帯指定◎ 6区分○ 5区分○ 6区分
置き配対応◎ EAZY対応△ 一部対応○ 指定場所配達
追跡精度◎ リアルタイム
再配達の柔軟性◎ LINEやアプリで変更○ Web受付○ Web・LINE対応
冷蔵・冷凍便◎ クール宅急便○ 飛脚クール便○ チルドゆうパック

2024年問題(ドライバーの労働時間規制)以降、各社とも配達時間帯の見直しが続いています。最新の時間帯区分や運賃改定の状況は各社公式サイトで確認してください。

即日発送が本当に必要かという論点は、業者選びの前に一度整理しておく価値があります。速さを追うほど運賃は上がるので、自店の注文がどれだけ「翌日着」を要求しているかを先に数えてください。

2024年問題で何が変わった?

物流業界の流れを時系列で押さえておくと、今後の運賃交渉でも有利に働きます。

  1. 2024年3月22日

    国土交通省が新たなトラックの標準的運賃を告示。運賃水準を8%引き上げ、荷役の対価等を新たに加算する内容。
  2. 2024年4月

    トラックドライバーの時間外労働上限規制が適用開始。長距離輸送の運行ダイヤが各社で見直される。
  3. 2024年6月1日

    新たな標準運送約款が施行。荷待ち・荷役の費用、燃料高騰分、下請発注手数料の適正転嫁が可能に。
  4. 2025年10月

    宅配便の再配達率が約8.3%まで低下(前年同月比 約0.7ポイント減)。置き配と宅配便会員サービスの浸透が進む。
  5. 2026年7月3日

    日本郵便がゆうパック・ゆうパケットの基本運賃改定を公表。
  6. 2026年10月1日

    クリックポストの運賃が185円から240円(税込)へ改定。

出典:国土交通省 新たなトラックの標準的運賃を告示しました

標準的運賃の8%引き上げは、荷主であるEC事業者にとっては「値上げ要請が来る根拠」でもあります。交渉の場で相手の事情を理解していると、話が早く進みます。

小型商品の配送オプションは何が最安?

ECの利益率を改善しやすいのが小型商品の配送オプション活用です。薄型商品は、宅配便と小型配送を分けて見積もります。3社の公式ページで確認できた条件を並べます。

手段運賃サイズ・重量追跡補償
ゆうパケット250円 / 310円 / 360円(厚さ別)3辺合計60cm以下・長辺34cm以内・厚さ3cm以内・1kgまでありなし(損害賠償なし)
クリックポスト185円 → 2026年10月1日より240円公式ページ記載の規格に準拠あり公式ページで要確認
宅急便コンパクト宅急便コンパクト運賃+専用BOX 70円専用BOX 20×25×5cm / 薄型専用BOX 24.8×34cmあり責任限度額3万円

出典:日本郵便 ゆうパケットクリックポストヤマト運輸 宅急便コンパクト

クリックポストは2026年10月1日から185円が240円(税込)に上がります。55円の値上げは、月300件出しているストアなら月16,500円の増加です。薄型商品を主力にしているなら、ゆうパケット(厚さ1cm以内250円)との比較をいま一度やり直す価値があります。

小型商品メインのストアでも、運賃だけでなく作業時間と事故時の補償を含めて判断します。

  • 厚さ1cm以内に収まる梱包技術があるか(薄手の緩衝材・封筒選定)
  • 補償の必要性(ゆうパケットは追跡ありだが損害賠償はなし)
  • ポスト投函で問題ない顧客層か(精密機器や食品は避ける)

宅急便コンパクトは運賃に加えて専用BOX代70円が毎回かかります。60サイズとの差額が70円を下回るなら、コンパクトを使う意味はありません。自分の出荷区間で必ず引き算してください。

Shopifyとの連携を比較する

Shopifyを使っているなら、配送業者との連携のしやすさも重要な判断基準です。Shopifyの「配送と配達」ページでは、一定料金の設定、配送業者計算型の配送料、配送プロファイル、ローカルデリバリーや店舗受取までまとめて管理できます。

出典:Shopifyヘルプセンター 発送と注文のフルフィルメントの設定

  1. 1

    送り状発行の効率化

    Shopifyの注文データから送り状をまとめて発行できるかが鍵です。ヤマト運輸はB2クラウド、佐川急便はe飛伝、日本郵便はゆうプリタッチという送り状システムを提供しています。
  2. 2

    追跡番号の自動連携

    追跡番号をShopifyに自動反映できれば、手入力ミスや手間を削減できます。送り状発行アプリの多くが3社に対応しています。
  3. 3

    配送ステータスの通知

    注文確認メールに追跡リンクを自動で含めることで、「届きますか?」という問い合わせを減らせます。

Shopify標準機能だけでは日本の配送業者との連携は限定的です。送り状発行アプリを使うと、送り状発行から追跡番号連携まで一気通貫で自動化できます。アプリの料金と対応業者は変わるので、導入前に各アプリの公式ページで確認してください。

日本語対応アプリの選び方は Shopifyの日本語対応アプリだけで始めるEC運営 にまとめています。贈答品の比率が高いストアなら、配送設定を決めるタイミングで のし・ラッピング・メッセージカードの設定方法 も一緒に決めておくと、受注後のやり取りが減ります。

発送データの受け渡しを整えるなら、まるっと請求書(Shopify App Store)でヤマトB2クラウド・佐川e飛伝III・クリックポスト向けCSVを出力できます。請求書・納品書・領収書の発行も同じアプリで管理できます。

→ Shopifyで配送設定を始める

配送業者選びでよくある誤解

ここで、わたしがアプリ開発者として複数のストアの設定を見てきたなかで感じている「3つの誤解」を整理しておきます。

たしかに送り状システムを1つに絞れば運用負荷は下がりますが、商品サイズの幅が広いストアでは、合わない料金プランで送り続けるコストのほうが大きくなりがちです。小型はゆうパケット、中型は宅配便というように、最低2つの手段を使い分けたほうがトータルでは楽になることもあります。

運賃の単価ではなく、CSコストや再配達率を含む「総配送コスト」で比較するのが、わたしが前職で学んだ最大の教訓でした。

ストアタイプ別のおすすめ業者は?

公開運賃と持込割引で戦えます。持込割引が1個120円と最も大きいゆうパックを基準に置き、薄型商品はゆうパケットやクリックポストに逃がすのが定石です。追跡・補償・梱包サイズを確認し、無理なく運用できる方法から試してください。

3社へ法人見積もりを依頼し、小型配送との併用も比較します。毎日の集荷締切と送り状発行の工数をテストしてください。この規模から、集荷にしたほうが持込割引を捨ててもトータルで得になる分岐点が見えてきます。

複数社の法人契約とフルフィルメントを比較し、繁忙期の物量、倉庫作業、返品、補償まで含む総コストで判断してください。個別料率は非公開なので、相見積もり以外に情報を得る方法はありません。

クール便の品質ではヤマト運輸が安定しています。ただしクール宅急便はEAZY(置き配)の対象外なので、不在再配達のリスクは残ります。配達密度が高い商圏なら、自社配送と組み合わせて時間指定の精度を上げる手もあります。

自社配送の損益分岐を先に計算してください。1ルートで10個以上まとめて配れる商圏なら、宅配便を下回る可能性があります。Shopifyのローカルデリバリーで配達半径を切り、圏外は宅配便に回す併用が組めます。

よくある質問(FAQ)

2026年9月時点の公開運賃では、本州内の60〜100サイズはゆうパックが最安の段が多いです。東京発・同一県あて60サイズで宅急便940円、飛脚宅配便910円、ゆうパック820円。ただし沖縄あては佐川急便が航空便運賃となり100サイズで4,686円と跳ね上がります。法人契約の個別料率は非公開で契約により変動するため、最終判断は3社の見積もりで行ってください。

配達密度で決まります。1回の配達ルートの所要時間に人件費の時間単価をかけ、車両の変動費を足して、そのルートで配った個数で割ってください。この1個あたりコストが宅配便の持込割引後の運賃を下回るなら自社配送が有利です。配達密度が低い商圏では、まず勝てません。

貨物自動車運送事業は「他人の需要に応じ、有償で」貨物を運送する事業を指します。自社で売った商品を自社の車で顧客に届けるだけなら、原則としてこれには当たりません。ただし他店の荷物を運賃を取って運ぶ形に踏み込むと、一般貨物自動車運送事業(許可制)や貨物軽自動車運送事業(届出制)の対象になります。判断に迷う形態は管轄の運輸局へ事前に確認してください。

ヤマト運輸と佐川急便が1個につき100円、日本郵便が1個につき120円です。日本郵便はさらに同一あて先割引(60円)または複数口割引(60円)を持込割引と併用できます。東京発・同一県あて60サイズなら、ゆうパックは820円が最大640円まで下がります。ただし集荷を使わない分の手間は自社持ちなので、出荷個数が増えたら集荷に切り替える分岐点を計算してください。

クリックポストは2026年10月1日から185円が240円(税込)に改定されます。薄型商品が主力なら、ゆうパケット(厚さ1cm以内250円・追跡あり・損害賠償なし)との比較をやり直してください。10円差なら、補償や差出方法の違いのほうが判断材料として大きくなります。

2024年3月22日に新しいトラックの標準的運賃が告示され、運賃水準が8%引き上げられました。同年4月からドライバーの時間外労働上限規制が適用され、6月1日には新標準運送約款が施行されて、荷待ち・荷役の費用や燃料高騰分の適正転嫁が可能になりました。EC側の対応としては、配送リードタイムの延長表示、送料の一部転嫁、同梱率の向上が現実的です。

送り状システムは業者ごとに別々ですが、一元管理アプリを使えばShopifyの管理画面からまとめて発行できます。サイズの幅が広いストアでは、使い分けによるコスト削減効果が運用負荷を上回るケースが多いです。まずは小型配送を1本足すところから始めると、負荷を抑えて効果を確認できます。

配送業者を選ぶときのチェックリスト

選定時に確認すべきポイントをまとめます。

  • 月間出荷個数を把握し、法人契約の見積もりを取ったか
  • 主力商品のサイズ・重量に合った料金プランを比較したか
  • 配送先エリアの割合(都市部中心か全国か、沖縄・離島の比率)を確認したか
  • 持込割引と集荷、どちらが自社の工数に合うか計算したか
  • 自社配送圏内の注文比率を出し、損益分岐を計算したか
  • クール便や日時指定など、顧客が求めるサービスに対応しているか
  • 置き配や再配達の仕組みが自分の顧客層に合っているか

業者切り替え時のチェック

すでに1社運用していて、別社や複数社へ切り替えるときの追加チェックです。

  • 既存契約の解約通知期間(30日前など)を確認したか
  • 送り状システムの移行スケジュールを引いたか
  • 追跡番号フォーマットの違いをShopify通知メールで吸収できるか
  • 梱包材(専用伝票・専用ラベル)の在庫を切り替えタイミングに合わせたか
  • CS担当に追跡画面のURL変更を共有したか

配送業者は1社に絞る必要はありません。商品カテゴリや出荷量に応じて複数社を使い分けるハイブリッド運用が、コストと顧客満足度の両立にもっとも効きます。近距離は自社配送、という4つ目の選択肢も忘れずに。

失敗しないための運用テクニック

最後に、わたしが前職EC運営で痛い目に遭って学んだ「やっておけばよかったこと」を3つ共有します。

配送業者ごとに梱包資材を分ける
専用伝票・専用ラベルの取り違えはトラブル直結です。色違いの保管箱で物理的に分離するのが安全でした。
月次で運賃明細を突合する
請求書とShopifyの出荷データを月次で突合すると、誤請求や適用されていない割引が見つかります。月に一度、30分で終わる作業です。
繁忙期前に集荷時間を再交渉
11月・12月のピーク前に集荷時間や物量増加を共有しておくと、当日に断られるリスクを回避できます。

配送コストは「運賃」だけでなく「運用コスト+顧客満足度」の総和で見るのがコツです。安いだけの業者を選んで再配達やCS問い合わせが増えると、結局トータルコストは上がります。

「3社見積もりを取るのは面倒です。でも、面倒がらずにやったときだけ運賃は下がりました。」

SHIN(前職EC運営時の振り返り)

まとめ:あなたのストアにベストな配送業者は?

ここまで運賃・割引・自社配送・サービス品質・Shopify連携を横断的に見てきました。最後に判断の順序を整理します。

出荷実績

まず確認

目標: サイズ・地域・重量

公開運賃と割引

次に試算

目標: 持込割引まで含める

自社配送

同時に計算

目標: 1ルートの配達密度

3社見積もりとテスト出荷

最後に検証

目標: 運賃+運用工数

この記事で押さえた論点(運賃・割引・自社配送・品質・連携)80%

「結局どこを選べばいいの?」と迷ったら、まずは月間出荷個数を把握して3社の見積もりを取る。これが遠回りに見えて一番の近道です。そして、注文の何%が自社配送圏内かを1回だけ出してみてください。そこが大きければ、運賃表の外に答えがあります。

EC運営の必修科目 2024年問題対応 自社配送

配送は、お客様がストアの商品に実際に触れる最後の接点です。ここでの体験がリピート率を左右するからこそ、自分のストアに合った届け方をしっかり選びたいですね。

運賃は毎年のように動きます。日本郵便の2026年7月の基本運賃改定、10月のクリックポスト改定と、この1年でも条件は変わりました。料金交渉と手段の見直しは一度きりの作業ではなく、半年から1年ごとの定期作業として予定に入れておくのがおすすめです。

今日この記事を読んだのをきっかけに、まずは直近3ヶ月の出荷データを引っ張り出してみてください。サイズ別・都道府県別に並べるだけで、どこに無駄があるかはだいたい見えます。

→ Shopifyでネットショップを始める

この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

Share
SHIN

この記事の執筆者

SHIN

Pepin代表、Webエンジニアとして10年以上の経歴を持ち、
Shopifyアプリ・ストア開発 / webサービス開発 / メディア運営などマルチに活動。

まずは、課題の共有から。

アプリの導入も、Shopifyそのものの相談も歓迎です。内容が固まっていなくても問題ありません。通常2営業日以内に返信します。