Shopifyで食品ECを始める方法 — 許可申請・表示義務・配送設定まで解説
「自分の作った食品をネットで売りたい」「地元の特産品をもっと広く届けたい」。そう思って調べはじめると、許可申請や食品表示の壁にぶつかる人は多いです。
わたし自身、食品ECに取り組むクライアントと一緒にストアを構築してきた経験があります。正直なところ、食品は通常の物販よりも準備すべきことが多いです。でも、ひとつずつ整理していけば難しいことはありません。
食品のEC化率はまだ5%に届いていません。裏を返せば、これから参入してもポジションを取れる余地が十分にある分野だということです。
この記事では、食品ECを始めるための 許可・届出 から 食品表示法への対応 、Shopifyでの 温度帯別配送設定 、そして 賞味期限管理のコツ まで、必要な知識をひと通りまとめました。
食品をネットで売るために必要な許可・届出
食品をネットで販売するには、食品衛生法に基づく 営業許可 と 食品衛生責任者 の設置が原則として必要になります。
飲食店の営業許可はあくまで店内提供に対する許可です。ECや通販で食品を製造・販売する場合は、製品に応じた別の営業許可(菓子製造業、食肉製品製造業など)が必要になる点に注意しましょう。
営業許可の種類
2021年の食品衛生法改正で営業許可の区分が再編されました。食品ECでよく関係する許可区分はこちらです。
農産物(野菜・果物・米など)の単純な販売や、自家製のジャム・漬物の小規模販売は、届出のみで営業許可が不要な場合もあります。ただし自治体によって運用が異なるため、必ず管轄の保健所に事前相談しましょう。
営業許可取得までの流れ
- 1
保健所に事前相談する
製造する食品の種類、施設の図面を持って管轄の保健所へ。必要な許可区分と施設基準を確認します。 - 2
食品衛生責任者を取得する
各都道府県の食品衛生協会が実施する講習(約6時間・1日で完了)を受講します。受講費は約1万円です。栄養士や調理師免許を持っている場合は講習免除になります。 - 3
施設を基準に適合させる
保健所から指示された施設基準(手洗い設備、換気、作業台の材質など)を満たすように施設を整備します。 - 4
営業許可を申請する
必要書類(申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格証明など)を保健所に提出します。申請手数料は許可区分によりますが、おおむね1〜2万円前後です。 - 5
施設検査を受ける
保健所の職員が施設を検査します。基準を満たしていれば営業許可書が交付されます。 - 6
ECサイトを構築して販売開始
営業許可書が手元に届いたら、Shopifyでストアを構築して販売をスタートしましょう。
食品表示法で必要な表示項目
食品をネットで販売する場合、商品パッケージへの一括表示(食品表示ラベル)が義務づけられています。さらに消費者庁のガイドラインでは、ECサイト上にも表示情報を可能な限り掲載することが推奨されています。
- 一括表示(食品表示ラベル)
食品の容器包装に記載する法定表示です。食品表示基準(内閣府令)に基づき、名称・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・製造者などを決められた順序で記載します。
必須の表示項目
- 名称(商品の種類がわかる一般的な名前)
- 原材料名(使用量の多い順に記載)
- 添加物(原材料と区別して記載)
- 内容量(g、ml、個数など)
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法(常温可の場合は省略可能)
- 製造者または販売者の名称・住所
- 栄養成分表示(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)
- アレルギー表示(特定原材料8品目は義務、推奨21品目は任意)
- 原料原産地表示(使用量が最も多い原材料の産地)
アレルギー表示の特定原材料(表示義務)
以下の 8品目 は食品表示基準により表示が義務づけられています。2025年4月から「くるみ」が推奨表示から義務表示に格上げされた点に注意してください。
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ) の8品目です。
これに加えて、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツなど 21品目 が推奨表示の対象になっています。
ECサイト上での表示のポイント
ECサイトの商品ページには、消費者庁のガイドラインに基づいて以下の情報を掲載しましょう。特にアレルギー情報は、商品ページ上で目立つ位置に掲載することが重要です。
- 原材料名(アレルギー物質を含む)
- 栄養成分表示
- 内容量
- 保存方法
- 賞味期限の目安(例:「製造日から90日」)
- 配送時の温度帯
特定商取引法の表記
食品に限らずECサイトでは特定商取引法に基づく表記が必要です。食品ECでは特に以下が重要になります。
- 販売価格(税込み)
- 送料
- 返品・交換の条件(食品は衛生上、原則返品不可にするケースが多い)
- 引き渡し時期
- 支払い方法
出典:消費者庁 - インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック(PDF)
Shopifyで食品ECを構築する手順
許可と表示の準備ができたら、いよいよShopifyでストアを構築していきましょう。
- 1
Shopifyアカウントを作成する
まずは Shopify公式サイト から無料体験に登録しましょう。プランはベーシック(月額4,850円)で十分スタートできます。 - 2
テーマを選んで基本設定を行う
無料テーマ「Dawn」でも十分ですが、食品ECなら商品写真を大きく見せられるテーマがおすすめです。ストア名、ロゴ、カラーを設定します。 - 3
商品を登録する
商品名、説明文、価格、写真に加え、食品表示に必要な情報(原材料、アレルギー、栄養成分など)を商品説明欄に詳しく記載します。 - 4
配送プロファイルを設定する
温度帯ごとに配送プロファイルを分けます(詳細は次のセクションで解説します)。 - 5
決済方法を設定する
Shopify Paymentsを有効にすれば、クレジットカード、Apple Pay、Google Payに対応できます。コンビニ決済や銀行振込も設定可能です。 - 6
法的ページを整備する
特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、返品ポリシーを作成します。食品の場合、返品条件は「お客様都合による返品不可(衛生上の理由)」とするのが一般的です。 - 7
テスト注文をして公開する
テスト注文で購入フロー、送料計算、メール通知を確認したら、ストアを公開して販売開始です。
温度帯別の配送設定(常温・冷蔵・冷凍)
食品ECで最もつまずきやすいのが、温度帯別の配送設定です。常温品、冷蔵品、冷凍品をひとつのストアで扱う場合、それぞれ別の送料体系が必要になります。
Shopifyの配送プロファイルで温度帯を分ける
Shopifyの カスタム配送プロファイル を使えば、商品グループごとに異なる送料を設定できます。
- 1
配送プロファイルを作成する
管理画面の 設定 → 配送と配達 から「カスタム配送プロファイルを作成する」をクリックします。「冷蔵便」「冷凍便」などの名前をつけましょう。 - 2
対象商品を割り当てる
プロファイルに冷蔵・冷凍の商品を追加します。一般的な配送料(デフォルト)に残った商品は常温品として扱われます。 - 3
配送エリアと送料を設定する
各プロファイルにゾーン(配送エリア)を追加し、クール便の料金を含めた送料を設定します。ヤマト運輸のクール便は通常配送+220〜660円の追加料金が目安です。
温度帯ごとの送料設定の考え方
| 温度帯 | 特徴 | 向いている食品 |
|---|---|---|
| 常温配送 | 送料が安く全国配送しやすい。賞味期限も長め | 菓子、乾物、調味料、レトルト食品 |
| 冷蔵配送(クール便) | 通常送料に+220〜660円の追加コスト | 生菓子、チーズ、漬物 |
| 冷凍配送(冷凍便) | 料金は高いが賞味期限が長くなるメリット | 肉、魚介、冷凍スイーツ、ミールキット |
常温品と冷蔵品を同時に注文された場合の同梱ルールも決めておきましょう。「冷蔵品と常温品は同梱可、冷凍品は別便」というルールが一般的です。配送プロファイルを分けておけば、Shopifyが自動的に別便として送料を計算してくれます。
送料設定アプリの活用
Shopifyの標準機能だけでは「〇〇円以上で送料無料(ただし冷蔵便のみ)」のような細かい条件設定が難しい場合があります。そんなときは配送系アプリを活用しましょう。
賞味期限管理のコツ
食品ECでは、賞味期限の管理が避けて通れません。期限切れ商品の発送は信頼を一瞬で失います。
- 01
先入れ先出し(FIFO)を徹底する
製造日や仕入日が古い商品から出荷します。在庫管理の基本中の基本ですが、品番が同じだと見落としやすいので、ロット番号やシールで管理しましょう。 - 02
賞味期限の「1/3ルール」を意識する
食品業界の慣習として、賞味期限の残り1/3を切った商品は販売が難しくなります。たとえば賞味期限6か月の商品なら、残り2か月を切る前に販売し切るのが理想です。 - 03
商品ページに賞味期限の目安を記載する
「製造日から180日」「お届け時に残り30日以上を保証」のように明記すると、お客様の安心感につながりクレームも防げます。 - 04
在庫数を絞って回転率を上げる
食品は「売れ残り=廃棄」に直結します。最初から大量に在庫を持たず、少量ずつ在庫補充して回転率を高めるのが鉄則です。
Shopifyの在庫管理で「在庫数が〇個以下になったら通知」を設定しておくと、欠品と過剰在庫の両方を防ぎやすくなります。 設定 → 通知 から在庫アラートを有効にできます。
食品ECで使えるShopifyアプリ
食品ECの運営を効率化するために、入れておくと便利なShopifyアプリを紹介します。
| カテゴリ | アプリ | 特徴 |
|---|---|---|
| 定期購入 | 定期購買(Huckleberry) | 日本語対応。初回割引、お届け頻度変更、スキップ機能など食品サブスクに必要な機能が揃っています。レビュー評価4.9 |
| 定期購入 | かんたんサブスク | 20秒で設定完了。小規模ストアで手軽に定期購入を始めたい場合に |
| レビュー | Judge.me | 無料プランでも写真レビューに対応。メールでのレビュー依頼も自動化できます |
| レビュー | Loox | 写真レビューに特化。食品の「見た目」をアピールできるビジュアルレビューが強み |
| 配送・物流 | 配送日時指定.amp | お届け日と時間帯の指定に対応する日本向けアプリ。食品ECでは日時指定のニーズが高い |
| 配送・物流 | Parcelify | 商品タグに基づく細かい送料ルール設定。温度帯別の送料計算に活用できます |
よくある質問
原則として、自宅のキッチンでは営業許可を取得するのが難しいです。営業許可の施設基準では、住居スペースと製造スペースが明確に区分されていることが求められます。自宅の一部を改装して専用の製造室を設けるか、レンタルキッチン(シェアキッチン)を活用する方法があります。まずは管轄の保健所に相談するのが確実です。
農産物をそのまま(未加工で)販売する場合は、営業許可は不要です。ただし、2021年の食品衛生法改正により「届出」が必要になるケースがあります。カットフルーツや加工品にする場合は、対応する営業許可が必要になります。
賞味期限は製造者が自身の責任で設定します。客観的な根拠(微生物検査、品質劣化の実験データなど)に基づいて設定する必要があります。検査機関に依頼して「保存検査」を行い、安全係数(通常0.8程度)をかけて期限を算出するのが一般的です。
ベーシックプランが月額4,850円(税込)です。これに決済手数料(Shopify Paymentsで3.55%〜)がかかります。アプリを追加すると月額費用が上乗せされますが、まずはベーシックプランと最低限のアプリでスタートするのがおすすめです。
実費をベースに、利益率と競合の送料を見ながら設定しましょう。常温便なら700〜1,000円、クール便なら1,000〜1,500円が目安です。「〇〇円以上で送料無料」を設定すると客単価アップにつながりますが、利益を圧迫しない金額ラインを見極めることが大切です。
まとめ
- 食品のネット販売には、食品衛生責任者の資格と営業許可(品目に応じた区分)が必要です。まず保健所に相談しましょう
- 食品表示ラベル(一括表示)は法律で義務です。ECサイト上にもアレルギー情報・原材料名を掲載するのが推奨されています
- Shopifyの配送プロファイルで温度帯(常温・冷蔵・冷凍)ごとに送料を分けて設定します
- 賞味期限の管理はFIFOの徹底と在庫数の最適化がポイントです。商品ページに期限の目安を明記しましょう
- 定期購入アプリを導入すれば、食品のリピート購入を仕組み化できます
食品ECは許可申請や表示対応など、始めるまでのハードルがやや高いです。でもその分、しっかり準備して参入すれば、競合が少ないぶん優位に立てます。
Shopifyなら配送プロファイルで温度帯を分けられますし、定期購入アプリでリピート販売も仕組み化できます。まずは保健所への相談と食品衛生責任者の取得から、一歩ずつ進めてみてください。


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