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Pepinby SHIN
EC運営2026-04-072026-04-246分で読めます
EC運営在庫管理ABC分析

在庫管理ABC分析のやり方 — 売れ筋・死に筋を数字で見極める

在庫管理ABC分析のやり方 — 売れ筋・死に筋を数字で見極める
在庫データを分析するイメージイラスト
この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。Shopifyのアップデートにより、画面や仕様が変更される場合があります。

「どの商品が利益を生んでいて、どれが倉庫スペースを食っているだけなのか」。ECの商品数が増えると、この問いにちゃんと答えられなくなります。わたしも前職でEC運営に関わっていたころ、感覚で「売れている気がする」「動いていない気がする」で判断してしまい、気づけば死に筋が資金を固定化していた、という経験がありました。

そこで効くのが ABC分析 です。過去6〜12ヶ月の売上を金額ベースで並べ、累計80%までを A、95%までを B、残りを C に分けるだけ。Aは週次で手厚く、Cは四半期で廃番判断まで落とす。これだけでも在庫回転はかなり変わります。

この記事では、考え方→想定ストアでの具体事例→実践手順→トラブル対処まで、順を追って解説します。

ABC分析とは何か

ABC分析

売上高や出荷数などの指標で商品をランク分けし、重点管理すべき商品群を明確にする在庫管理手法です。イタリアの経済学者 Vilfredo Pareto が1906年に提唱した「パレートの法則(80:20の法則)」を在庫管理に応用したもので、重要度の高い少数の商品に資源を集中させる考え方がベースになっています。

ABC分析では、商品を売上構成比の累計に基づいて3つのグループに分けます。上位20%の商品が売上の約80%を生む、という経験則がスタート地点です。

なぜ今ABC分析が必要か

EC事業者が在庫を「なんとなく」で持ち続けると、キャッシュと倉庫が同時に圧迫されます。実際の日本の数字を見ておきましょう。

8.2回
小売業の平均在庫回転率
年間。中小小売の平均値
20〜25%
在庫金額に対する年間保管コスト
倉庫・人件・機会損失を含む目安
約3割
過剰在庫を抱える中小EC事業者
在庫回転率が業界平均を下回る事業者

出典:中小企業庁 中小企業実態基本調査日本ロジスティクスシステム協会 物流コスト調査報告書

在庫を1ヶ月余計に抱えるだけで、年間保管コストの 1/12(約1.7〜2%)が商品原価に上乗せされます。粗利30%の雑貨であれば、在庫が2ヶ月滞留すると粗利の10%以上を保管コストで溶かす計算です。

具体事例で見るABC分析(想定ストア)

これは業界平均値をもとに組んだ 想定ストア(架空) です。実在の店舗データではありません。ABC分析の数字の動きをイメージしやすくするための具体例として読んでください。

ストアの売上データを分析するイメージ

想定するのは、雑貨・ギフトを扱う Shopify ストアです。

  • 月商:200万円
  • 総SKU:30点
  • 運営:1名(仕入れから出荷まで全て担当)
  • データ期間:直近6ヶ月

売上を金額順に並べ、累計構成比を出すと、おおよそ次のように割れます。

ランクSKU 数SKU比率月売上構成比代表例
A620%160万円80%定番ギフトボックス、母の日向けフラワーセット
B930%30万円15%季節を問わない小物、単品人気のマグカップ
C1550%10万円5%前シーズンの限定カラー、販売期間が短いコラボ商品

SKU 数では半分を占める C ランクが、売上には 5% しか寄与していない のが見えてきます。つまり、同じ棚と同じ手間を30SKU に均等配分するのは、明らかに合理的ではありません。

この想定ストアの場合、C の 15SKU を四半期で半分に整理できれば、棚・キャッシュ・発注時間のすべてが A と B に再配分できます。

ABC分析を実践する手順

データ分析のイメージイラスト

難しい統計知識は不要です。Shopify 標準レポートとスプレッドシートがあれば、半日で一周できます。

  1. 1

    過去6〜12ヶ月の売上データを準備する

    Shopify 管理画面の「アナリティクス > レポート > 商品別売上」から CSV でエクスポートします(Shopify ヘルプ:レポートのエクスポート)。期間はセールの影響が平均化される 6〜12 ヶ月がおすすめ。3ヶ月では季節変動の影響が大きすぎます。
  2. 2

    金額ベースで売上順にソートする

    数量ではなく 売上金額 で降順ソートします。単価100円の雑貨が1,000個売れても10万円。単価5,000円のギフトが50個売れれば25万円。在庫管理の優先度は金額で決まるためです。
  3. 3

    売上構成比と累計構成比を計算する

    各商品の売上÷全体売上で構成比を出し、上から順に足し上げていきます。想定ストアなら、1位のギフトボックス(月40万円)が20%、2位の花セット(月30万円)を足して35%、というふうに積み上がります。
  4. 4

    A / B / C にランク分けする

    累計80%までを A、80〜95%を B、95〜100%を C に分類します。境界はストア特性で微調整して構いません(70/90/100 にする事業者もいます)。想定ストアでは A=6SKU、B=9SKU、C=15SKU に落ち着きました。
  5. 5

    Shopify の商品タグにランクを書き込む

    rank:A rank:B rank:C の形式でタグを付けると、コレクション・一括編集・自動フィルタで使えます。タグは後から上書きできるので、四半期ごとに更新する運用にしておくと運用コストが下がります。
  6. 6

    ランク別の在庫方針を決める

    発注頻度、安全在庫日数、見直し周期をランクごとに固定します。詳細は次のセクションで。

スプレッドシート派なら、Shopify のレポートを Google スプレッドシートに自動連携しておくと、次回以降の分析は貼り替え数分で終わります。列 D に =C2/SUM($C$2:$C$31)、列 E に =E1+D2 を入れておけば、累計構成比まで一発です。

ランク別の在庫管理戦略

  1. 01

    Aランク(売れ筋)— 週次で手厚く

    売上の柱です。欠品が即、機会損失に直結します。安全在庫は通常の1.5倍、発注は週次、需要予測は季節要因とセール予定込みで組みます。想定ストアの定番ギフトボックスなら、母の日・クリスマス前は2週間前倒しで積み増しする、といった運用です。
  2. 02

    Bランク(準主力)— 月次でバランス重視

    そこそこ動くが、Aほどではない商品群です。発注リードタイムに合わせた適正在庫を維持し、月次で在庫と売上を見直します。A への昇格候補が紛れているので、直近3ヶ月の売上トレンドは毎月チェック。
  3. 03

    Cランク(死に筋候補)— 四半期で廃番判断

    売上5%、SKUの50%を占める最大の改善余地です。四半期ごとに以下の順で整理します。値下げセール → セット販売 → SNSで在庫限り訴求 → 廃番。「いつか売れるかも」という期待値を、期日を切って強制的に決着させるのがコツです。
  • 直近6ヶ月の売上CSVをエクスポートした
  • 金額ベースで降順ソートし、累計構成比を出した
  • Shopify 商品タグに rank:A/B/C を付与した
  • ランク別の発注頻度・安全在庫をドキュメント化した
  • 次回の見直し日をカレンダーに登録した(四半期推奨)

トラブルシューティング

運用を始めると、教科書どおりには行かない場面が必ず出てきます。想定ストアでもよく起きる3パターンを Tabs にまとめました。

原因:値下げ幅が浅い、セット販売の組み合わせが弱い、廃番の期日が決まっていない、の3点が典型です。想定ストアでも、C の15SKU を「そのうち整理」と言い続けて半年放置、というのはありがちです。 対処:四半期の最終週を「C処分週」に固定します。第1弾は20%オフ、2週間で動かなければ40%オフ、それでも動かなければ A ランクとのセット商品に同梱、最終的に廃番、という4段階を事前に決めておきます。判断を都度迷わない仕組みにするのが一番効きます。

よくある質問

基本は四半期に1回が目安です。季節商品やトレンド商材が多い場合は月次に寄せてください。Shopify のレポートを Google スプレッドシートに自動エクスポートする仕組みを一度組んでしまえば、分析作業そのものは30分ほどで終わります。

在庫の優先度を決めるなら 売上金額ベース が基本です。単価100円を1,000個売る商品と、単価5,000円を50個売る商品の重要度は、金額で見ないと逆転します。ただし、物流コストや梱包工数の最適化が目的なら、出荷数量ベースの分析を併用すると判断がブレません。

3ランクに分ける意味は薄れますが、「上位20%の商品が全体の何%を占めているか」を把握するだけでも仕入れ判断は変わります。SKUが少ないストアは A と「それ以外」の2分類でも十分です。

商品別売上レポートのエクスポートまでは Shopify 標準で可能です。累計構成比の計算はスプレッドシート側で数分。アプリを入れずに完結できるのがABC分析の良いところで、まずは標準機能だけで始めるのをおすすめします。

まとめ

ABC分析は、特別なツールや高度な知識がなくても始められる在庫管理の基本フレームワークです。想定ストアで見たように、SKU の半分を占める C ランクが売上の 5% しか生んでいない、という構造はどのECストアにも多かれ少なかれ存在します。

まずは直近6ヶ月の売上 CSV を Shopify からエクスポートして、金額ベースでソートするところから始めてみてください。累計80%・95%の線を引くだけで、次の仕入れ判断は確実に変わります。

本記事の想定ストアはあくまで業界平均値から組んだ 架空の例 です。実際のストアでは A/B/C の境界や SKU 分布は大きく振れます。自店のデータで一度手を動かしてみるのが、ABC分析を自分のものにする一番の近道です。

Shopify の標準アナリティクスで、ABC分析の材料は全部そろいます。まだ試していない方は、次回の仕入れ会議の前に一度まわしてみてください。

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この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

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SHIN

この記事の執筆者

SHIN

Pepin代表、Webエンジニアとして10年以上の経歴を持ち、
Shopifyアプリ・ストア開発 / webサービス開発 / メディア運営などマルチに活動。