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Pepinby SHIN
マーケティング2026-04-052026-04-204分で読めます
EC運営ブランディングストーリーテリング

ブランドストーリーで差別化する方法 — ECサイトに「選ばれる理由」をつくる

ブランドストーリーで差別化する方法 — ECサイトに「選ばれる理由」をつくる

「商品の質は負けていないのに、なぜか選ばれない」

わたしが会社員時代にブランドの販促を担当していたとき、最初にぶつかった壁です。スペック表を磨き、写真を撮り直し、価格も他社に合わせた。それでも指名買いは増えない。振り返ると、お客様に届いていたのはスペックと価格だけ。「なぜこの商品をつくっているのか」の物語が、まったく届いていませんでした。

そのあと、商品ページとAboutページに つくり手の物語 を一段落入れただけで、Aboutページの直帰率が下がり、同梱したブランドブックのレビュー言及が増えていきました。ストーリーは、広告費を積む前に触るべきレバーだと、このとき初めて実感したんです。

ブランドストーリーは「完璧な美談」ではなく、 原点・葛藤・価値観・お客様・未来 の5段で書くと読者の共感が生まれます。この記事では、わたしが担当ブランドで辿った手順と、Shopifyでの具体的な実装方法をまとめました。

なぜ今、ストーリーが「選ばれる理由」になるのか

ECの棚にはスペックが横並びの商品が並んでいます。そのなかで記憶に残るのは、数字ではなく 物語のあるブランド です。

Headstreamの調査では、 共感できるストーリーがあるブランドから買う消費者は55% と報告されています。 出典:Headstream - The Power of Brand Storytelling

Harvard Business Reviewは、 価値観に共感した顧客は平均顧客よりLTVが306%高い という分析も発表しています。 出典:Harvard Business Review - An Emotional Connection Matters More than Customer Satisfaction

小さなストアほど、ここで勝負できます。大手が語りにくい「個人の原体験」こそ、最大の差別化要因になるからです。

わたしが担当ブランドで辿った5つのフェーズ

「ブランドストーリーを書いてください」と言われても、白紙から書けるものではありません。わたしは以下の順番で書き出していきました。

  1. Month 1

    フェーズ1 原点を掘り起こす

    創業者に「なぜこの商品を売り始めたのか」を2時間かけて聞き、録音を文字起こしして原体験の断片を集めました。きれいな言葉にまとめる前に、現場で使われた「そのままの言葉」を残すのが後工程で効きます。

  2. Month 1

    フェーズ2 葛藤の記録を探す

    資金繰りで悩んだ時期、素材が届かなかった夜、初回ロットがほぼ返品された事件。Slackの過去ログや議事録から「うまくいかなかった記録」を掘り起こしました。順風満帆なストーリーは記憶に残りません。

  3. Month 2

    フェーズ3 価値観を一行に絞る

    「安さ」「品質」の奥にある信念を、社内で投票して一行に絞りました。わたしたちの場合は「毎日のコーヒーを、誰かの手仕事の延長にする」。この一行が、その後の商品説明・メール文面すべての軸になります。

  4. Month 2

    フェーズ4 お客様を物語に招き入れる

    レビュー欄の言葉、カスタマーサポートに届いた手紙、リピート購入者の購入履歴を読み返し、「誰に届いて、何が起きているのか」を書き足しました。ブランドの主役はブランド自身ではなく、お客様と並んで歩く存在だと気づいた瞬間です。

  5. Month 3

    フェーズ5 未来のビジョンを公開する

    「3年後にこんな景色をつくりたい」をAboutページに書き、ニュースレターで定期的に進捗を共有しました。ビジョンを公開するとお客様は「同伴者」になり、売上以外の応援が届くようになります。

完璧に書こうとして止まるくらいなら、 一段落だけ 書いてAboutページに公開するほうが早く進みます。ストーリーは一度で書き切るものではなく、お客様との会話のなかで少しずつ太くしていくものです。

Shopifyでストーリーを見せる場所は4つある

書き上げた物語を、どこにどう置くか。わたしは以下の4箇所を順番に触りました。

  1. 1

    Aboutページを「物語」として構成する

    年表や会社概要ではなく、原点→葛藤→価値観→お客様→未来 の順に章立てします。Shopifyのテーマエディタでは「画像付きテキスト」「リッチテキスト」「動画」セクションをドラッグで並べるだけで完成します。

  2. 2

    トップページのヒーローにブランドメッセージを置く

    商品の写真や「〇〇% OFF」ではなく、価値観を一行に絞ったコピーをヒーローに置きます。最初の3秒で「誰に、何を届けているブランドか」が伝わると、離脱率が変わります。

  3. 3

    商品ページに「この商品が生まれた理由」を一文足す

    商品説明の冒頭に、この商品が生まれた背景を一文だけ入れます。「職人の〇〇さんが3年かけて開発した」のような具体の一文で、スペック勝負から一歩抜け出せます。

  4. 4

    ブログで裏側のストーリーを定期発信する

    Shopifyのブログ機能で、制作の様子や仕入れ先訪問、失敗談を月1本ペースで発信します。Aboutページが「静の物語」なら、ブログは「動の物語」。SEOにも効く導線になります。

参考:Shopify公式ヘルプ - テーマエディタの使い方

書くときに、わたしが自分に課した3つのルール

担当していたブランドで何度も書き直すうちに、 書く前のチェックリスト が自然に固まっていきました。

・主語を「弊社」「当店」ではなく「わたしたち」にする ・「こだわりの素材」ではなく「〇〇産の綿、30産地めぐって決めた」のように固有名詞と数字で書く ・ストーリーと同じ比重で、写真・動画・手書きのメモを一緒に置く

このルールを置いてから、文章が一気に企業っぽさから抜けました。とくに「固有名詞と数字」は、レビュー欄でお客様が引用してくれることが増え、ストーリーが勝手に広がっていく体験にもつながりました。

スペックで選ばれてもスペックで逃げられる。物語で選ばれると、少しくらい価格が高くても待ってくれる。

担当ブランドの創業者

この言葉は、今でもわたしがShopifyアプリの開発ページを書くときに思い出します。ストーリーはEC運営者だけのものではなく、 何かをつくって届けるすべての人の道具 だと思うからです。

読者のあなたへ

ブランドストーリーは、広告費をかけずにお客様との信頼関係を築ける、もっとも費用対効果の高いレバーです。ただし、即効性のある施策ではありません。3ヶ月かけて少しずつ書き直す、くらいの気持ちで始めるのが続けるコツです。

完璧なストーリーより、 あなたらしいストーリー のほうが、お客様の心は動きます。まずはAboutページを開き、「なぜこのブランドを始めたのか」を一段落だけ書いてみてください。それだけで、ECサイトの空気が変わります。

→ Shopifyでブランドストーリーを伝えるサイトを始める

→ ECサイトのD2Cブランド戦略ガイド

→ 顧客ペルソナの設計ガイド

この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

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SHIN

この記事の執筆者

SHIN

Pepin代表、Webエンジニアとして10年以上の経歴を持ち、
Shopifyアプリ・ストア開発 / webサービス開発 / メディア運営などマルチに活動。