Skip to content
Pepin
コラム2026-04-112026-09-27約8分で読めます
コラムマーケティングエンジニア

エンジニアがマーケティングを独学して変わったこと

書いた人 個人開発者 / ソロプレナー

エンジニアがマーケティングを独学して変わったこと
エンジニアがマーケティングを独学するイメージ

エンジニアのわたしがマーケティングを独学して、いちばん変わったのは「作る順番」です。いまは、コードを書く前にペルソナを書き、機能を足す前にユーザーの声を聞いてから手を動かしています。

といっても、会社員時代のわたしがマーケティングと無縁だったわけではありません。エンジニアになった2016年から A/B テストに関わり、前職では CVR 改善プロジェクトの責任者を務めていました。足りなかったのは、お客さまにそもそも来てもらう「集客」のほうです。会社員時代に集客で関わったのは、SEO のうちサイトの技術面と、広告から来た人が着地する LP の2つだけでした。

2026年1月に Pepin を開業して、3月からは専業です。集客も自分の仕事になり、記事・SNS・SEO を独学しています。専業7か月目のいま、会社員時代から持っていたものと、独立してから覚えたことを分けて書いてみます。

  • 会社員時代から、A/B テストや CVR 改善には関わっていました。足りなかったのは「集客」です
  • 独立してから、記事・SNS・SEO の集客を独学しています
  • ライター・書籍編集者として身につけた「伝わる文章」と、A/B テストで見た「押してもらう文章」は、物差しが別でした
  • いちばん変わったのは作る順番です。ペルソナを書き、声を聞き、需要を確かめてから作ります

会社員時代のエンジニアは、マーケティングとどう関わっていた?

わたしのキャリアは、ライターと書籍編集者から始まりました。エンジニアに転向したのは2016年です。そこから独立するまでの約10年のあいだに、マーケティングの仕事とはいくつもの接点がありました。

  1. 2012〜2016

    ライター・書籍編集者

    取材と執筆、編集の仕事をしていました。HTML と CSS でサイトを更新する仕事も受け持ち、ここで Web に触れはじめました。

  2. 2016

    最初のエンジニア職:A/B テストの運用

    自社サービスの機能改善と、Optimizely を使った A/B テストの運用を担当しました。

  3. 2017

    EC サイトの LP 開発

    EC サイトの LP(ランディングページ)をつくる仕事をしました。

  4. 2019〜2022

    Webサービスの会社:データ分析から改善提案まで

    福岡に移り、自社メディアと、Shopify を使った EC サイトのリプレイスを担当しました。データを分析して改善を提案し、プロジェクトとして進めるところまで受け持ちました。

  5. 2022〜2026

    外資系メーカー:CVR 改善の責任者

    社内ただ一人のエンジニアとして、Shopify の EC サイトの構築と改善を担当しました。A/B テストの立案と実施、CVR 改善プロジェクトの責任者も務めました。

  6. 2026

    独立

    1月に Pepin を開業し、2月末で会社を辞めて、3月から専業になりました。

並べてみると、マーケティングのうち「来てくれた人に、どう行動してもらうか」の側には、エンジニアになった最初の年から関わっていたことになります。

CVR(コンバージョン率)
サイトを訪れた人のうち、購入や申し込みなど、目的の行動をした人の割合のことです。EC サイトなら、多くの場合は購入率を指します。

前職では、わたしが社内でただ一人のエンジニアとして関わった EC サイトの売上が、入社から3年で10倍になりました。

10倍
前職の EC サイトの売上(入社から3年)
社内ただ一人のエンジニアとして構築と改善を担当したサイト。会社全体で積み上げた数字です

ただ、これはわたし1人の成果ではありません。会社全体で積み上げた数字です。わたしが受け持ったのは、サイトの構築と改善、A/B テストの立案と実施、そして CVR 改善のとりまとめでした。ここで数字を出したのは、エンジニアでもマーケティングの成果のすぐそばで働ける、という実例としてです。

それでも独立して、足りなかったのは何?

会社員時代を振り返ると、わたしが長く関わってきたのは「来てくれた人に買ってもらう」側でした。LP を直し、ボタンを直し、A/B テストで確かめる。その手前の「そもそも来てもらう」集客で関わったのは、次の2つだけです。

  1. 01

    SEO の技術面

    検索エンジンにサイトを正しく読んでもらうための、サイト側の作り込みです。
  2. 02

    広告の LP

    広告から来た人が最初に見るページをつくる仕事です。

Google は SEO を、検索エンジンにコンテンツを理解させて、検索する人がそのサイトを見つけられるようにする取り組みとして説明しています。会社員時代のわたしが受け持っていたのは、そのうちサイトの側を整える部分でした。

出典:検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド(Google 検索セントラル)

記事を書いて検索から来てもらうことや、SNS で知ってもらうことは、仕事として担当したことがありませんでした。

独立すると、ここを分ける線がなくなります。作るのも、知ってもらうのも、使ってもらうのも、全部わたしです。

会社員時代
  • 集客で関わったのは、SEO の技術面と広告の LP です
  • 仕事の中心は、来てくれた人に買ってもらうための改善でした(A/B テスト、CVR 改善)
  • 売る商品は、会社のものでした
独立してから
  • 記事・SNS・SEO の集客も、自分で担います
  • 改善の前に、誰に何を届けるかから考えます
  • 何を作るかも、自分で決めます

考えてみれば当たり前ですが、A/B テストも CVR 改善も、サイトに人が来ていてはじめてできることです。会社のサイトには、わたしが改善を始める前から人が来ていました。独立したら、その「人が来ている状態」から自分でつくる必要があります。

エンジニアがマーケティングを独学して、何を覚えた?

独立してから独学しているのは、記事・SNS・SEO の3つです。どれも「来てもらう」ための手段で、会社員時代には仕事で担当してこなかったものです。

記事を書いて集客を学ぶイメージ

このブログでは、書き方の決まりを自分でつくって、それに沿って書いています。記事の冒頭で結論を言い切ること。見出しをできるだけ質問の形にすること。よくある質問は、検索エンジンが読める構造化データ(FAQPage)にすること。数字を書くときは、出典のリンクを添えること。どれも、検索や AI の検索で見つけてもらうための決まりです。

一方で、会社員時代から持っていたものも、そのまま役に立っています。

  1. 01

    計測

    数字を取って、見る習慣です。前職でも GA4 を使っていて、このサイトにも GA4 を入れています。
  2. 02

    A/B テストの考え方

    変えるところを決めて、結果で判断する。最初のエンジニア職から関わってきた方法です。
  3. 03

    SEO の技術面

    構造化データや表示の速さなど、サイト側でできることは自分で手を入れられます。
  4. 04

    LP をつくる力

    アプリの LP も、文章を書くところから組むところまで自分でやっています。

構造化データは、ページの内容を検索エンジンに正確に伝えるために、決まった形式で書くデータです。表示の速さ(読み込みのパフォーマンス)は Core Web Vitals という一連の指標で測られ、Google のランキングシステムが考慮する要素のひとつとされています。どちらも、コードを書ける人なら自分で手を入れられる場所です。

出典:構造化データ マークアップとは(Google 検索セントラル)

出典:Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について(Google 検索セントラル)

LP については、たとえば まるっと予約の LP も、自分で書いて自分で組みました。

エンジニアがマーケティングを学ぶなら、ゼロから始める必要はないと思います。計測、A/B テスト、SEO の技術面、LP。会社で触れたことがあるなら、それはもうマーケティングの一部です。

「伝わる文章」と「押してもらう文章」はどう違った?

わたしはエンジニアになる前、2012年から2016年まで、ライターと書籍編集者として働いていました。取材して書き、原稿を編集する仕事です。そこで求められたのは、読みやすく、誤解なく伝わる文章でした。

A/B テストで見たのは、それとは別の物差しです。以前の職場の A/B テストでは、CTA の文言を変えただけで反応が変わりました。ページの中身は同じでも、ボタンの言葉ひとつで、押してもらえるかどうかが変わります。

CTA(Call To Action)
「購入する」「無料で試す」のように、読んだ人に次の行動をうながすボタンやリンク、その文言のことです。

伝わる文章は、読んだ人が「わかった」と思えたら役目を果たします。押してもらう文章は、読んだ人が次の一歩を踏み出して、はじめて役目を果たします。どちらが上ということではなく、見ている場所が違うのだと思います。

独立したいまは、アプリの LP の文言も自分で書いています。記事は伝わるかどうか、LP のボタンは押してもらえるかどうか。同じ「書く」でも、物差しは別です。

マーケティングを独学して、作る順番はどう変わった?

独立すると、何を作るかも自分で決めることになります。そこでいちばん変わったのが、作る順番でした。

ペルソナ
製品やサービスを届けたい相手を、1人の人物として具体的に書き出したものです。仕事や困っていることなどを書きます。

いまのわたしは、コードを書く前にペルソナを書きます。機能を足す前に、ユーザーの声を聞きます。

最初のアプリ「まるっと予約」は、会社員時代に副業で Shopify のストアを触っていたころ、サロンのオーナーから受けた「ホットペッパーが高い」という相談が出発点でした。ストアを触るなかで、運営者の方から、予約、ファイルのフォルダ整理、日本語での検索について「機能ごとに別のアプリを探すのが面倒」という声も聞いていました。まるっと予約の公開初月のことは、まるっと予約の公開初月の学び に書いています。

ただ、6本つくったアプリのうち、まるっと法務作成とまるっとフォルダ管理の2本は、需要が小さく、2026年7月に提供を終えました。この2本を含めて、伸びなかったものから残った学びは3つあります。作る前に需要を確かめること。本数を絞って深くすること。やめる判断を早くすることです。くわしくは 伸びなかったプロダクトの話 にまとめています。

いまの作る順番を、チェックリストにするとこうなります。

いまの作る順番

  • コードを書く前に、ペルソナを書きます
  • 機能を足す前に、ユーザーの声を聞きます
  • 作る前に、需要を確かめます
  • 本数を絞って、深くします
  • 伸びないと判断したら、早めにやめます

いま提供しているのは、まるっと予約・まるっと検索・まるっと請求書・まるっと売上ランキングの4本です。

→ まるっとシリーズの一覧(Shopify App Store)

マーケティングを独学するエンジニアは、何から始めればいい?

手持ちの技術からマーケティングを始めるイメージ

わたし自身、まだ独学の途中です。そのうえで、会社員時代と、専業になってからの7か月を振り返って、これから始める人に伝えたいことを4つ書きます。

  1. 01

    持っているものを数える

    計測、A/B テスト、SEO の技術面、LP。会社で触れたことがあるなら、そこが入り口になります。
  2. 02

    「来てもらう」と「買ってもらう」を分ける

    わたしの場合、足りなかったのは前者でした。自分に足りないのがどちらかが分かると、何から学ぶかを決めやすくなります。
  3. 03

    作る前に、誰の何を解決するかを書く

    ペルソナは立派な資料でなくてかまいません。書き出しておくと、その機能が誰のためのものかを確かめやすくなります。
  4. 04

    需要を確かめてから作る

    わたしが提供を終えた2本のアプリから学んだのが、これでした。

今日できることを1つ挙げるなら、自分が作ったものの紹介文を、「伝わるか」ではなく「押したくなるか」で読み直してみてください。ボタンの言葉を1つ見直すところから、マーケティングは始められます。

この記事で書いたのは、エンジニアのわたしのマーケティングへの向き合い方の変化です。具体的な集客の計画は、わたしが立てた Shopify アプリの集客プラン にまとめています。

よくある質問

すでに仕事で触れているものから始めるのがおすすめです。計測、A/B テスト、SEO の技術面、LP づくりは、どれもマーケティングの一部です。わたしの場合は、会社員時代に担当してこなかった集客(記事・SNS・SEO)を、独立してから独学しています。

関われます。わたしは会社員時代に、A/B テストの運用、データ分析からの改善提案、CVR 改善プロジェクトの責任者を経験しました。集客では、SEO の技術面と広告の LP に関わっていました。

いいえ。わたしが社内でただ一人のエンジニアとして関わった EC サイトの売上が、入社から3年で10倍になった、という数字です。会社全体で積み上げたもので、わたしが受け持ったのはサイトの構築と改善、A/B テスト、CVR 改善のとりまとめでした。

読みやすく伝わる文章は、ライターと書籍編集者の仕事で鍛えられました。ただ、押してもらう文章は物差しが別です。以前の職場の A/B テストでは、CTA の文言を変えただけで反応が変わりました。伝わるかどうかと、押してもらえるかどうかは、分けて確かめる必要があると考えています。

この記事は、エンジニアのわたしのマーケティングへの向き合い方がどう変わったか、を書いたものです。具体的な集客の計画は、わたしが立てた Shopify アプリの集客プラン にまとめています。

→ わたしの経歴はこちら

→ 編集者からエンジニアになり、独立するまで

この記事は、Shopify予約アプリ「まるっと予約」の開発者、大島慎平(SHIN)が書いています。

コラムマーケティングエンジニアキャリアソロプレナー
Share
大島慎平(SHIN)

この記事の執筆者

個人開発者 / ソロプレナー

日本のShopifyストア向けアプリ「まるっとシリーズ」を、AIのコーディングツールと一緒に1人で企画・開発・運営しています。書籍編集者からWebエンジニアに転じて約10年。YouTubeでは、1人で事業をつくる過程を話しています。

まずは、課題の共有から。

アプリの導入も、Shopifyそのものの相談も歓迎です。内容が固まっていなくても問題ありません。 通常2営業日以内に返信します。