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Pepinby SHIN
コラム2026-04-136分で読めます
コラムリモートワークソロプレナー

在宅でShopifyアプリを作るリアル — ソロ開発者の一日に密着

在宅でShopifyアプリを作るリアル — ソロ開発者の一日に密着

「在宅でShopifyアプリ作ってるって、実際どうなんですか?」。独立してから、何度かこの質問をされました。

返答に少しだけ迷うのは、答えが「最高」でも「キツい」でもなく、両方が混ざっているからです。自由で、孤独で、集中できて、脱線しやすくて、生活と仕事の境界が曖昧で、でも全部が地続きでおもしろい。リアルを削らずに一日を書き出してみると、こういう話になります。

わたし自身は、以前の会社でもリモートの比率が高い働き方をしていました。それでも「会社のリモート」と「独立してからのリモート」はまったく別物だと、独立してから実感しています。この記事では、その違いを含めて、在宅でShopifyアプリ開発を回す一日のリアルを書きます。これからソロでアプリやプロダクトを作ろうとしている方の、参考材料になれば。

どうして在宅で始めたのか

独立するときに、シェアオフィスを借りるか迷った時期があります。一応、家の外に「仕事場」を確保したほうが、オンオフは切り替えやすいよなあと。

ただ、ソロプレナーでプロダクトを回すなら、固定費を軽くしておくのは命綱。オフィス代より、検証環境の構築や技術書やリサーチツールに使ったほうが、事業の速度は確実に上がる。そう判断して、自宅を仕事場に決めました。

もうひとつの理由は、アプリ開発者としての仕事には「細切れの対応」が意外と多いことでした。ユーザーからの問い合わせ、レビューへの返信、不具合調査、新機能の仕込み。まとまった時間を確保するよりも、 コンテキストスイッチのコスト を下げたほうがトータルの生産性が高い。自宅は最適でした。

ただ、オフィスを借りないぶん、家の中に「仕事のゾーン」と「生活のゾーン」を自分で設計する必要があります。この設計を甘く見て最初の数ヶ月は苦労しました。そのへんも、あとで書きます。

わたしの一日の流れ

実際の一日を、時系列で書き出してみます。平日の標準的な流れです。

  1. 6:30〜8:00

    朝ルーティン、一番大事な時間

    起きたらまず散歩とコーヒー。スマホは見ない。独立してから、朝にスマホを開くと脳が「他人のリズム」に飲み込まれることに気づきました。
    散歩のあいだは、頭のなかで今日やることを整理するだけ。
    この時間で、一日の方向性が決まります。会社員時代より早起きで健康になりました。

  2. 8:00〜11:00

    午前は深い作業に全振り

    独立してから、 一番集中力が高い時間を一番重要な仕事に割り当てる ようにしました。
    午前は設計・コーディング・執筆など、思考が必要な作業だけに当てています。Slack・メールは目を通す程度にしています。
    アプリの新機能や検索ロジックのコアな部分は、ここで集中して進めます。

  3. 11:00〜12:00

    昼と軽い運動、必須

    昼食は自炊。外で食べる日もあるけど、週の半分以上は家のキッチンです。食事も自分で作る機会が増えました。
    キッチンに立っているとネットにも繋がらないのでリプレッシュになります。

  4. 12:00〜17:00

    午後は場所を変えてユーザー対応・テスト・ミーティング

    午後は「細切れ対応」の時間。カフェなどに場所を変えます。午後は気分を変えたいので基本的には外出するようにしています。
    アプリのサポート問い合わせ、レビューへの返信、受託案件の打ち合わせ、パートナーさんとのやり取り、リリース前のQAがメインとなることが多いです。
    午前の深い作業とは頭の使い方が違うので、切り替えが自然にできます。テストや検証作業はPodcastやYoutubeを聴きながら淡々と進めています。

  5. 17:00〜20:00

    夕方のデータ確認と翌日の仕込み

    Shopifyパートナーダッシュボード、Google Analytics、App Storeのインストール推移、エラーログ。
    一日で起きたことの数字を追いかける時間です。インストール数・アンインストール理由・クラッシュログ・収益の推移。
    ここで違和感を拾えるかどうかが、翌日以降の判断を左右します。次の日の最優先タスクも、この時間に決めます。

  6. 20:00以降

    仕事をやらないという決意

    20時になったら、 意図的に「閉じる」 ようにしています。具体的には、PCを閉じてもう開けない。
    夜の散歩に出る。友人とごはんを食べに行く。何かひとつ「区切り」の行動を入れないと、在宅ではいつまでも仕事の続きができてしまいます。
    そして結果として、翌日のパフォーマンスが落ちることにつながります。

この流れは、独立してから少しずつチューニングしてたどり着いたものです。
最初はぐちゃぐちゃで、朝から夜までとにかくずっと作業していました。
個人開発者は時間がいつでも取れますが、意図的に離れる時間を作らないとずっと作業していることになります。
それではリフレッシュやよいインプットができず、結果的に悪い方向に進んでしまします。

在宅ソロ開発で気づいた、3つの落とし穴

一日の流れを作るまでに、わたしが踏んだ落とし穴を書きます。同じ穴を、誰かが避けられるかもしれないので。

ひとつ目:オンオフの境界が勝手には引かれない

在宅は「通勤」という物理的な区切りがありません。これが思った以上に効いていて、気を抜くと朝起きてからベッドに戻るまで、ずっと仕事モードになる。最初はそれでも動けるけれど、数週間で疲労が溜まっていきます。

オンオフの境界は、環境で作るのが一番ラク。「朝は必ず散歩から」「20時以降はPCを別の部屋」「仕事中だけつけるアロマ」みたいな、 行動と場所の結びつき を意図的に設計すると、意志力を使わずに切り替えられる。

ふたつ目:運動を削ると、すべてが回らなくなる

「時間がない」と一番削りやすいのが運動ですが、これを削ると集中力・睡眠・気分のすべてに悪影響が出る、というのを身をもって学びました。独立してから1〜2ヶ月目、座りっぱなしでコードを書いて、夕方に頭が動かなくなる日が続きました。

いまは、朝の散歩30分・昼の散歩15分・週2回の軽い筋トレをルーティンに組み込んでいます。これだけで、一日の生産性の平均値が明らかに上がりました。

みっつ目:孤独は、意識しないと静かに効いてくる

これが一番書きにくい部分です。在宅ソロ開発者は、文字どおり一日中ひとり。ミーティングはあっても、オフィスでの雑談のような偶発的なコミュニケーションはゼロになる。最初は「集中できて最高」と思うんですが、数ヶ月すると、じわじわ来ます。

孤独は一気に来るんじゃなくて、じわじわ染み込んでくる。意欲の低下、判断の遅れ、やたら悲観的になる日。気づいたときには、けっこう深いところまで来ている。

わたしが気づいたこと

対策として、週に4〜5回はカフェで作業する、誰かとランチを入れる、オンラインのコミュニティで意識的に発言する、というのを自分に課しています。意志力でやると続かないので、毎週の予定表に先に入れてしまうのがコツです。

ソロ開発をリモートで回すための、わたしなりのコツ

ここまでの話をまとめると、在宅でソロでアプリ開発を続けるために効く工夫は、次の4つに集約されます。

  1. 朝イチの散歩とコーヒー 。一日のスタートが、一日の成果を8割決めます
  2. 深い作業と細切れ対応の時間を分ける 。午前はコーディング、午後はサポート・問い合わせ。切り替えコストが下がる
  3. 昼の運動を絶対に削らない 。生産性への投資で、時間の無駄ではない
  4. 意図的に仕事を「閉じる」 。19時以降は別の部屋でPCを見ない

このリストは、独立してから試行錯誤でたどり着いたもので、完成形というより、いまのわたしにフィットしている状態です。プロダクトの状況や家族構成によって、正解は人それぞれ違ってくるはずです。

リモートでソロ開発を回すとき、最初に投資すべきは 自分の一日の設計 。ここが整うと、ツールの選択も、仕事量のコントロールも、自然にうまく回り始める。

これから在宅で独立・開発をする人へ

最後に、これからリモートでソロ開発者として歩み出そうとしている方に向けて、3つだけ。

ひとつ。最初の1ヶ月で完璧な一日を作ろうとしないこと。わたしもそうでしたが、始めて数週間の生活リズムは、まず間違いなく崩れます。それは仕方ない。3ヶ月単位で整えていくくらいの気持ちで、ゆっくり設計していけばいいです。

ふたつ。孤独を甘く見ないこと。ソロプレナーのメンタルは、自分で守るしかない。意識的に人と会う予定、雑談の機会、相談できる相手を、早い段階から確保しておいてください。

みっつ。生活と仕事を「混ぜる」こと自体を楽しむこと。在宅ソロ開発の面白さは、暮らしのリズムと仕事のリズムが一体になっていくところにあります。コードを書きながらお湯を沸かしたり、テストを走らせているあいだに散歩に出たり。それは会社勤めでは絶対に味わえない感覚で、ここにリモートの真価があると、わたしは思っています。

在宅ソロ開発は、きれいな話だけではない。でも、一日を自分で設計できる自由は、他のどんな働き方にもない価値がある。大変さも楽しさも、全部ひっくるめて、わたしはこの働き方を選んでよかった。

→ ソロプレナーの一日のスケジュール

→ SHINの自己紹介

この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

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