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Pepin
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ShopifyB2B卸売

ShopifyのB2Bは全プランで使える【2026】

書いた人 個人開発者 / ソロプレナー

この記事には広告(PR)を含みます。

ShopifyのB2Bは全プランで使える【2026】
取引先と卸売取引を始めるイメージ

ShopifyのB2B(卸売)機能は、2026年4月2日からBasic・Grow・Advancedでも 追加料金なしで 使えるようになりました。会社プロファイル、最大3つのB2Bカタログ、数量ルール、決済期日の条件(Net 30などの掛け払い)までが全プラン共通で、デポジットや一部決済がShopify Plus限定として残っています。つまり、卸売を始めるためにPlusへ上げる理由はほぼ消えました。ただし日本で運用するときの本当の山は設定ではなく、 掛け払いの注文が「未払い」のまま確定したあと、請求書をどう出すか のほうです。

わたし(SHIN)はShopifyアプリの開発者で、この記事の後半に出てくる「まるっと請求書」を作っている本人です。先に立場を明かしておきます。前半のShopify標準機能の話は、すべてShopifyの公式ヘルプと公式発表を読んで書いていて、自社アプリの都合で強調や省略はしていません。後半で自社アプリの機能に触れますが、書くのはApp Storeのリスティングに載っている範囲だけです。また、わたしはEC運営者ではないので「卸売をやってみた体験談」は書けません。この記事は一次情報の翻訳と、開発者として帳票まわりを作るなかで見えた注意点に絞っています。

4プラン
B2Bが使えるプラン
Basic / Grow / Advanced / Shopify Plus
0円
B2B機能の追加料金
対象プランに「追加料金なしで含まれています」
3つ
非PlusのB2Bカタログ上限
すべてのB2Bマーケットにわたって最大3つ
500点
B2B1注文あたりの上限
1注文に含められるアイテム数の上限

出典:Shopifyヘルプセンター「プランごとのB2B機能」、Shopifyヘルプセンター「B2Bの考慮事項」

ShopifyのB2Bはどのプランで使える?2026年4月の開放で変わったこと

Shopifyのヘルプセンターは、いまはっきりこう書いています。「Shopify B2B は、 Basic、Grow、Advanced、および Shopify Plus プランで利用できます。」

この1文が現在の形になったのは2026年4月2日です。Shopifyは同日の発表で、B2B機能をBasic・Grow・Advancedへ「at no extra cost」(追加費用なし)で広げたと明らかにしました。発表文には「For the first time, merchants on every Shopify plan can manage wholesale and DTC from a single platform with no plugins or patchwork.」という一文があり、プラグインや継ぎはぎなしに卸売と直販を1つのプラットフォームで扱える、と説明しています。日本法人からも2026年4月6日にリリースが出ています。

これ以前のB2B on Shopifyは、実質的にShopify Plus向けの機能でした。ネット上の解説記事には開放前に書かれたものがかなり残っていて、「B2BはPlus限定」という前提のままになっているものがあります。日付を見て読んでください。

出典:Shopify News「B2B for all」(2026年4月2日)、PR TIMES「Shopify、B2B機能の提供対象を拡大」(2026年4月6日)

プラン別にできること・できないこと

ヘルプセンターのプラン別表を、そのまま整理したものが次の表です。○が使える、×が使えないという意味です。

機能BasicGrowAdvancedPlus
会社 / 会社のロケーション○○○○
ロケーションレベルの権限○○○○
B2Bカタログの数333無制限
直接割り当てる会社カタログ×××○
数量ルール○○○○
数量に応じた価格の基準○○○○
決済期日の条件(Net 30など)○○○○
デポジットの要件(会社)×××○
一部決済×××○
フルフィルメントごとの支払い要求×××○
コンテキストに応じたチェックアウト××○○
コンテキストに応じたストアフロント××○○

出典:Shopifyヘルプセンター「プランごとのB2B機能」

読み方のコツは、 「取引先ごとの価格を何通り持てるか」と「お金をいつ取るか」の2つに分けて見る ことです。前者がカタログの本数、後者がデポジットや一部決済です。

Basic・Grow・Advancedで足りる場合
卸価格のパターンが3通りまでに収まり、代金は「掛け(Net 30など)で全額を後から」回収するなら、非Plusで完結します。カタログの上限3つは1つのマーケットあたりではなく、すべてのB2Bマーケットにわたって有効なカタログが3つまで、という数え方です。取引先ごとにバラバラの価格表を配っている状態だと、ここが最初に効いてきます。
Plusが必要になる場合
取引先ごとに専用の価格表を持たせたい、受注時に頭金を取りたい、大口案件を分割で入金してもらいたい。この3つのどれかが要件に入ると、直接割り当てるカタログ・デポジット・一部決済がPlus限定なので、Plusの検討に入ります。プラン全体の差はShopify Plusの機能まとめでも整理しています。

Plusとの差をもう少し広く見たい場合は、Shopify Plusの機能まとめも合わせて読んでみてください。

Advanced以上の「コンテキストに応じた」2つは何が違う?

プラン別表で1か所だけ、BasicとGrowに×が付いてAdvancedから○になる項目があります。「コンテキストに応じたチェックアウト」と「コンテキストに応じたストアフロント」です。

ヘルプのプラン別表に載っているのは名称と可否だけなので、ここでは踏み込んだ断定を避けます。要件として「B2Bのお客様かどうかで、ストアフロントやチェックアウトの見せ方を変えたい」がある場合は、Advancedが下限になる、とだけ押さえておけば判断には足ります。逆に言えば、卸売の取引そのものはBasicでも回ります。

もうひとつ、料金面で見落としがちな注記があります。ヘルプの「考慮事項」ページには、変動プラットフォーム手数料の料率がB2Bの注文と一般(D2C)の注文とで異なる、という説明があります。卸売は1件あたりの金額が大きくなりやすいので、率の差がそのまま金額差になります。導入前に自分のプランで確認してください。

出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bの考慮事項」

開放後にShopifyが出している数字

Shopify Japanのリリースには、B2Bを導入した事業者の成果として次の数字が並んでいます。いずれもShopifyが公表している「最大」の値で、すべてのストアで再現されるものではありません。参考値として受け取ってください。

  • バックオフィス業務にかかる時間の最大25%削減
  • 平均顧客単価の最大40%向上
  • 6か月以内におけるセルフサービス注文の最大33%増加
  • リピート注文頻度の最大20%向上

出典:PR TIMES「Shopify、B2B機能の提供対象を拡大」(2026年4月6日)

数字の大きさより、項目の並びのほうが示唆的だと思います。4つのうち3つが「受注のやりとりを人が介さなくなること」の話です。卸売の負担は値付けよりも、注文書のメール往復・入金確認・請求書の作成といった事務のほうに寄っている、ということでもあります。

ShopifyのB2B設定は何から始める?会社・カタログ・決済条件の3点

B2Bの設定は、要素で言うと3つしかありません。 取引先を「会社」として登録する、価格を「カタログ」で決める、支払いタイミングを「決済条件」で決める 。この順番で進めます。

  1. 1

    お客様アカウントを有効にする

    B2Bの前提条件です。ヘルプの考慮事項には「お客様アカウントを有効にする必要があります」と明記されていて、旧来のお客様アカウント(レガシー)ではB2B注文を扱えません。ここが有効になっていないと、あとの手順がすべて空振りします。

  2. 2

    取引先を「会社」として登録する

    管理画面の [顧客管理] > [会社] から登録します。会社には「会社のロケーション」という単位があり、これが日本語で言う支店・店舗にあたります。全プランで使えます。ロケーションごとに配送先住所、担当者の権限、割り当てるカタログ、免税設定、チェックアウト設定を分けられるので、複数店舗を持つ取引先ほどここを丁寧に作る価値があります。

  3. 3

    B2Bカタログで卸価格を決める

    カタログは「B2Bのお客様がアクセスできる商品と価格設定を決定します」という位置づけです。最初から取引先ごとに作り分けようとすると3つの上限にすぐ当たるので、はじめは「一律で何%引き」のカタログを1つ作り、そこにすべての取引先を割り当てるのが無難です。

  4. 4

    数量ルールとボリューム価格を決める

    数量ルールは「B2Bのお客様が1回の注文で購入できるアイテム数を制限」する機能、ボリューム価格は「1回の注文で特定数量の商品を購入する際に値引きを提供」する機能です。どちらも全プランで使えます。ケース単位でしか出荷したくない商品は、ここで最小数量と増分を決めておくと、出荷側の事故が減ります。

  5. 5

    決済条件(掛け払い)を設定する

    [顧客管理] > [会社] から設定します。会社のロケーション単位、会社単位、複数の会社をまとめて、の3つの粒度で指定できます。日本の商習慣に寄せるならNet 30が出発点です。

出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bカタログ」、Shopifyヘルプセンター「B2Bで決済条件を設定する」

取引先の情報をどこまでShopifyの顧客データとして持つかは、B2Cの顧客管理と地続きの話でもあります。Shopifyで顧客管理を始める方法も参考になるはずです。

掛け払いを設定したあと、請求書は誰がいつ出す?

ここからが、公式ヘルプを読んでも日本語の実務に翻訳しにくい部分です。

決済期日の条件(掛け払い)
Shopifyのヘルプが「決済条件」「決済期日の条件」と呼んでいる設定です。会社が注文の代金を支払うまでの期間を決めます。日本の商習慣でいう「掛け」「後払い」「Net 30」がこれにあたります。

選べる条件は4種類です。

決済条件支払期日
決済条件なし「支払期日は即時です。これがデフォルト設定です」
Net期間Net 7 / Net 15 / Net 30 / Net 45 / Net 60 / Net 90 から選択
フルフィルメント時「注文のすべてのアイテムがフルフィルメントされた後に、支払期日を迎えます」
固定日「過去または未来の特定の日付に支払期日を迎えます」(下書き注文のみ)

出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bで決済条件を設定する」

注文が確定したときに何が起きるか

Net 30を設定した会社が注文すると、決済は走らず、注文は未払いの状態で確定します。バイヤーはお客様アカウントにログインして注文を開き、「今すぐ支払う」から期日までに支払えます。期日を過ぎると管理画面の注文に「期限超過」と表示されます。

つまりShopify側で自動化されているのは、 期日の管理と、バイヤーが自分で払うための導線 までです。支払いのリマインドも、Shopify FlowのB2Bアクションを組めば自動化できます。

では「請求書」はどこから出るのか

ここが多くの人のつまずきどころです。Shopifyのヘルプは、B2Bの文脈で「請求書」という語をほぼ使いません。使うのは「決済条件」「下書きからの請求書(下書き注文の支払い回収)」という言い方です。

下書き注文の「請求書を送信」は、バイヤーに支払いリンクを含むメールを送って代金を回収するための機能です。登録番号や税率ごとの区分を備えた、日本の取引先が経理に回せる帳票がPDFで出てくる機能ではありません。B2Bのお客様に「請求書をPDFでください」と言われたときに渡すものは、別に用意することになります。

Shopifyに日本の商慣習に合った帳票発行機能が標準では用意されていない、という話はShopifyの請求書・帳票アプリはどう選ぶ?で5つの軸に分けて書いています。B2Bだから特別に何かが付いてくる、ということはありません。むしろ掛け払いが増えるぶん、帳票の必要性は上がります。

出典:Shopifyヘルプセンター「ShopifyのB2B機能の概要」

月末締めの合算請求書はどう作る?

日本のB2B取引でいちばん多いリズムは「月末締め・翌月末払い」です。1か月のあいだに取引先から5回発注があっても、請求書は月末に1枚にまとめて出します。ここがShopifyの注文単位の世界と噛み合いません。

1枚にまとめていいのか

結論から言うと、まとめて問題ありません。国税庁は適格請求書の記載方法として「課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法」を認めています。月次でまとめた1枚を適格請求書として交付できる、ということです。

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

手作業でまとめるときに事故るところ

Shopifyのヘルプに並ぶB2Bの機能一覧(会社、カタログ、決済条件、下書き注文、セルフサービス返品など)に、複数の注文を1枚の請求書にまとめる機能は出てきません。標準機能だけで月末締めをやるなら、注文をCSVで抜き出して表計算で組み直すことになります。合算したあとの税額の出し直し方と、締め日をまたいだ発送の切り分けはShopifyの月締め請求書 — 合算と分割の作り方に手順としてまとめました。

  1. 01

    税率ごとの合計を作り直す必要がある

    適格請求書には「税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」を書きます。まとめた1枚の中で、この合計を出し直すことになります。注文ごとの消費税額をただ足すだけで合うとは限らないので、ここが手作業でいちばん危ないところです。

  2. 02

    どの店舗の注文かが消える

    取引先に複数の店舗(会社のロケーション)があると、請求は本部宛て1枚でも、明細は店舗ごとの小計で見たいと言われます。注文CSVを素で結合すると、この階層が消えます。

  3. 03

    締め日をまたいだ注文の扱いがぶれる

    月末の深夜に入った注文を今月に入れるか翌月に回すか。手作業だと担当者の判断に依存し、翌月の突合で必ず揉めます。どの日時を基準にするかを最初に決めて、毎月同じ抽出条件で出すことが大事です。

アプリで自動化する場合

ここからは自社アプリの話になります。わたしが開発している「まるっと請求書」のProプラン($19.99/月)に、この月末締めをそのまま扱う機能を入れています。App Storeのリスティングに載っている範囲で挙げると、得意先の取引先登録・管理、ShopifyのB2B会社と連携して取引先・店舗で注文を絞り込む機能、そしてBtoB向けの「月末締め合算請求書」(店舗別小計対応)です。見積書の作成・管理も同じProプランに入っています。

無料プランは月5件の請求書のみ、Basic($9.99/月)は枚数無制限の請求書・納品書・領収書までで、合算請求書と見積書はProからです。7日間の無料体験が付いています。

出典:まるっと請求書|インボイス・B2B(Shopify App Store)

→ まるっと請求書の詳細を見る

自社アプリを使うかどうかは別にして、月末締めをやるなら「取引先マスタをどこに持つか」は最初に決めてください。Shopifyの会社に寄せるのか、帳票側に持つのか。両方に持つと、住所や宛名が食い違ったときにどちらが正かが分からなくなります。

ShopifyのB2B注文で適格請求書の要件を満たすには

掛け払いの取引先は、ほぼ必ず仕入税額控除のために適格請求書を求めてきます。B2Cのように「注文確認メールで済ませる」が通用しない相手です。

国税庁のタックスアンサーが挙げる、請求書・納品書等の記載事項は次の6つです。

  • 書類作成者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

B2B特有の注意は、6番目の「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」です。B2Bの注文には会社と会社のロケーションが紐づいているので、宛名は購入した担当者の個人名ではなく、 取引先の会社名 にします。担当者名を宛名にしてしまうと、先方の経理で差し戻される可能性があります。請求先を本部にするのか店舗にするのかも、取引開始時に確認しておく項目です。

軽減税率8%の商品を扱う場合は、税率の区分と端数処理がさらに効いてきます。項目ごとの詳細と、会計ソフトとのズレの直し方はShopifyのインボイス制度対応 — 適格請求書の6項目と端数処理にまとめました。消費税そのものの設定はShopifyで消費税の設定を正しく行う方法、発行した帳票を会計側に流す話はShopifyと会計ソフトを連携する方法が近いテーマです。

見積から注文までをShopifyで通すには?

日本のB2Bは、いきなり発注ではなく「見積書をください」から始まることがよくあります。Shopifyでこれに対応する道具は下書き注文です。

  1. 1

    下書き注文を作る

    管理画面の [注文] > [下書き] から [注文を作成] を選び、B2Bのお客様と会社のロケーションを指定します。ここでロケーションを選ぶと、その取引先に割り当てたカタログの価格が適用されます。

  2. 2

    商品と注文書番号を入れる

    商品を追加し、必要なら注文書番号(PO番号)を入れます。取引先から発注書が回ってくる取引では、この番号が突合のキーになります。

  3. 3

    価格をロックする

    下書き注文には価格ロックがあります。ヘルプの説明は「価格ロックにより、後で管理画面で商品価格を更新しても、注文内の商品の価格は変更されません」です。提示した金額のまま確定させたいときに使います。

  4. 4

    請求書を送るか、支払いを回収する

    そのまま支払いリンクを送るか、決済条件を適用して未払いのまま確定させるかを選びます。請求書メールにはカスタムメッセージを添えられます。

出典:Shopifyヘルプセンター「下書き注文を使用してB2B注文を作成する」

ここで出てくる「請求書」も、あくまで支払い回収用のメールです。先方の購買稟議に回すための見積書(PDF、有効期限と件名つき)が必要なら、別に用意することになります。見積書まわりの実務はShopifyで見積書を発行する方法、請求書全般はShopifyの請求書発行ガイドで扱っています。

なお、支払い済みであることの証明として領収書を求められる場面もB2Bでは残ります。こちらはShopifyで領収書を発行する方法にまとめています。

1ストアでB2CとB2Bを両立させるときの注意点

卸売の出荷と小売の出荷が同居するイメージ

同じストアに小売と卸売を同居させられるのがShopify B2Bの一番の利点ですが、同居ゆえの落とし穴もあります。

1. 在庫の取り合い :卸の1件はB2Cの数十件ぶんの数量になることがあります。ロケーションを分けるか、安全在庫のアラートを商品ごとに決めておかないと、B2Cの在庫が一晩で消えます。

2. 配送料の設計 :B2Bは重量も箱数も違うので、B2Cの送料設定のままだと出すほど赤字になります。配送プロファイルを分けてください。送料設定の考え方は別記事にまとめています。

3. 粗利の逆算漏れ :定価の50%で卸すと決めても、原価30%・物流費10%・決済手数料3%を引けば残りは7%です。数字を入れて一度計算してから掛け率を決めてください。

4. チェックアウトで使えない機能がある :B2Bチェックアウトでは、Shop Pay・Apple Pay・Google Pay・Amazon Payといった高速チェックアウトが使えません。ローカル配送、受取ポイント、チップ、定期購入、checkout.liquidのカスタマイズも対象外です。店舗受取、明細スクリプト、カゴ落ちメール、チェックアウトのギフトカードは、初期状態でオフになっています。

出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bの考慮事項」

4番目は見落とされがちですが、影響は小さくありません。B2Cで「Shop Payがあるから決済が速い」という設計をしていると、B2B側だけ体験が変わります。もっとも、掛け払いの取引先はそもそもカード決済を使わないことが多いので、実害が出るのは「B2Bだけどカードで即時払いしたい」少数の取引先に対してです。そこは下書き注文の支払いリンクで拾う、といった運用でカバーできます。

配送まわりを詰めるときはShopifyの送料設定を徹底解説も合わせてどうぞ。

1注文あたりのアイテム数は最大500点という上限もあります。商品点数の多い定番カタログを扱う卸では、ここに当たることがあります。当たる場合は注文を分けるか、セット商品として1SKUにまとめる設計を検討してください。

どの順番で始めるのが現実的?

卸売チャネルの立ち上げ計画を立てるイメージ

全プランで使えるようになったので、いきなり全取引先を移行したくなりますが、いちばん壊れにくいのは「1社で1周回してから広げる」です。

  1. ステップ1

    まず社内で1周する

    自社を取引先に見立てて会社を1件登録し、テスト用カタログを割り当て、Net 30で注文を1本通します。注文が未払いで確定すること、お客様アカウントから支払えること、期日を過ぎると期限超過になることを自分の目で確認します。ここを飛ばすと、本番で取引先に説明できません。

  2. ステップ2

    帳票の出し方を決める

    請求書の宛名は会社名か店舗名か、締め日はいつか、送付はメールか郵送か。1社目の前にこれを決めておきます。取引が始まってから変えると、先方の経理にも迷惑がかかります。

  3. ステップ3

    既存の取引先を1社だけ移す

    いちばん関係の近い取引先に事情を話して、1社だけ移します。発注から入金までを1サイクル回して、詰まった箇所を直します。

  4. ステップ4

    カタログを整理してから広げる

    非Plusではカタログが3つまでです。取引先を増やす前に、卸価格のパターンを3つ以内に整理できるかを確認します。どうしても収まらないなら、そこが初めてPlusを検討するタイミングです。

順番の話をもう少し噛み砕くと、 設定より先に決めるべきは「お金の流れ」 です。掛けにするのか、何日後払いにするのか、請求書は誰が何日に出すのか。ここが決まっていれば、Shopifyの画面での作業は1時間もかかりません。逆にここが曖昧なまま機能だけ有効にすると、未払いの注文だけが溜まります。

よくある質問

使えます。ヘルプセンターには「Shopify B2B は、 Basic、Grow、Advanced、および Shopify Plus プランで利用できます。」と書かれており、対象プランには「追加料金なしで含まれています」。2026年4月2日のShopifyの発表でBasic・Grow・Advancedに広がりました。Plusでしか使えないのは、会社へ直接割り当てるカタログ、デポジットの要件、一部決済、フルフィルメントごとの支払い要求です。

Shopifyの決済条件(Net 30など)を設定すると、注文は未払いのまま確定し、バイヤーはお客様アカウントの「今すぐ支払う」から期日までに支払えます。ただしこれは支払いの導線であって、登録番号や税率区分を備えた日本式の請求書PDFが出てくるわけではありません。下書き注文の「請求書を送信」も支払い回収用のメールです。取引先に渡す帳票は、帳票アプリを入れるか手作業で作る必要があります。

税務上はまとめられます。国税庁は適格請求書の記載方法として「課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法」を認めています。一方、Shopifyの標準機能に複数注文を1枚にまとめる仕組みはありません。CSVで抜いて表計算で組み直すか、合算請求書に対応した帳票アプリを使うことになります。まとめる際は、税率ごとの合計額と消費税額を1枚の中で出し直す点に注意してください。

取引先が仕入税額控除を受けるためには必要です。記載事項は登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率対象である旨)、税率ごとの合計額と適用税率、税率ごとの消費税額、そして交付を受ける事業者の名称の6つです。B2Bでは最後の「交付を受ける事業者の名称」を担当者の個人名ではなく会社名にする点に気をつけてください。

B2Bカタログは「B2Bのお客様がアクセスできる商品と価格設定を決定します」という仕組みで、会社のロケーションに割り当てて使います。つまり価格はログインしている取引先に紐づきます。ただし表示の出し分けをどこまで細かくできるかはプランによって差があり、「コンテキストに応じたストアフロント」はAdvanced以上です。公開前にテスト用の会社アカウントと未ログイン状態の両方で、実際の表示を確認してください。

役割が違います。会社・カタログ・数量ルール・決済条件といった「取引の仕組み」は標準機能でまかなえるようになりました。標準で埋まらないのは、日本の商習慣に寄った出力物のほうです。適格請求書のPDF、月末締めの合算請求書、見積書、会計ソフト向けの仕訳データなどが該当します。まず標準で設定を組み、足りない出力だけをアプリで足す、という順番がいちばん無駄がありません。

使えます。ヘルプの機能一覧には「保管されているクレジットカード」として、会社のロケーションレベルでカードを保存できる機能が挙がっています。ただしShop Pay・Apple Pay・Google Pay・Amazon Payといった高速チェックアウトはB2Bチェックアウトの対象外です。B2Cと同じ決済体験にはならない、と理解しておいてください。

あります。ヘルプの考慮事項に、B2B注文は1注文あたり最大500アイテムという上限が記載されています。定番品を大量に並べて一括発注するタイプの取引では当たる可能性があるので、注文を分けるかセット商品として設計するかを事前に決めておくと安心です。

まとめ:設定は1時間、決めごとは1日

小売と卸売を同じチームで運営するイメージ

ShopifyのB2Bは、2026年4月2日を境に「Plusの機能」から「全プランの機能」になりました。会社プロファイル、3つまでのカタログ、数量ルール、Net 30などの決済条件はBasicから追加料金なしで使えます。卸売を試すためにプランを上げる必要は、もうほとんどありません。

一方で、Shopifyが面倒を見てくれるのは受注と期日の管理までです。取引先が経理に回す適格請求書、月末締めの合算請求書、稟議に添える見積書は、こちら側で用意する範囲に残ります。 標準機能で取引の器を作り、帳票だけを足す 。この分け方で考えると、B2Bの導入はかなり小さく始められます。

まずはテスト用の会社を1件作って、Net 30の注文を1本通してみてください。画面を見れば「どこまでがShopifyの仕事で、どこからが自分の仕事か」が10分で分かります。

→ まるっと請求書(インボイス・B2B対応の帳票アプリ)を見る

→ Shopifyのインボイス制度対応を確認する

この記事は、Shopify予約アプリ「まるっと予約」の開発者、大島慎平(SHIN)が書いています。

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大島慎平(SHIN)

この記事の執筆者

個人開発者 / ソロプレナー

日本のShopifyストア向けアプリ「まるっとシリーズ」を、AIのコーディングツールと一緒に1人で企画・開発・運営しています。書籍編集者からWebエンジニアに転じて約10年。YouTubeでは、1人で事業をつくる過程を話しています。

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