Skip to content
Pepinby SHIN
EC運営2026-04-032026-04-306分で読めます
Shopifyアパレル受注会

受注会で売上が3倍になったあるD2Cアパレルブランドの話 — Shopify+予約で「在庫を持たずに売る」の作り方

受注会で売上が3倍になったあるD2Cアパレルブランドの話 — Shopify+予約で「在庫を持たずに売る」の作り方
アパレル受注会のイメージ
この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。事例は複数のD2Cアパレルブランドへの取材・観察をもとに匿名化・合成して構成しています。特定企業のデータではありません。

「広告を回しても返品で利益が消える」「セールしないと売れない」。アパレルD2Cの運営者から、こうした相談をよくいただきます。

結論から言うと、 常時オンライン販売だけで戦うのをやめて「受注会・試着予約・お披露目会」という"単発の予約イベント"を主軸に組み替える と、CVRも返品率も粗利も一気に変わります。

わたしは2026年3月にShopifyアプリ開発で独立したばかりですが、前職のEC現場でD2Cアパレルの立ち上げに関わった経験から、現在は まるっと予約 を作り、複数の受注会型ブランドの伴走をしています。今日は、そこで見えてきた「ブランドAさん」のケーススタディを共有します。

→ Shopifyに「予約」を足す方法を見てみる

課題:常時販売だけでは、もう戦えない

ブランドAさん(仮)は、20〜30代の女性向けD2Cアパレル。Shopifyで2年運営し、月商は500万円台で頭打ちでした。

20〜30%
アパレルEC返品率
EC全体平均より顕著に高い
75%
返品理由トップ
「サイズが合わなかった」
23.38%
アパレルEC化率
物販平均(9.78%)の2倍以上

出典:Shopify公式ブログ「ECの返品対応」経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

数字を見ると、市場が伸びているのは確か。ただ現場の体感は別物で、ブランドAさんはこんな状態に陥っていました。

メリット
事前予約で来場者の温度感が高く、当日CVRが跳ねる。試着後の購入なのでサイズ起因の返品がほぼゼロ。受注生産にすれば在庫リスクも消える
デメリット
広告費を投下してもCVRは1.2%前後。返品率は25%を超え、返送送料・検品・再梱包で粗利が圧迫。SNSで盛り上がっても「在庫切れ」か「サイズ違いで返品」のどちらかに着地

返品率20〜30%という数字は「EC平均」。アパレルに絞ると、サイズ・色味・素材感の3要素でさらに上振れします。広告でCVRを上げても、返品で粗利が消える"ザル"構造になりがちです。

「広告で売る → 返品される」のループを抜けるために、ブランドAさんが選んだのは チャネルを増やすこと ではなく 販売の"型"を変えること でした。

打ち手:Shopify+予約で「3つのイベント」を回す

ブランドAさんが取り入れたのは、シンプルな3イベント構成です。すべてShopifyのオンラインストアと、予約アプリ(まるっと予約)の組み合わせで運用しています。

受注会・試着予約・お披露目会の3イベント

新作コレクションを発売前に披露し、その場で受注を取るイベント。展示サンプルを試着してもらい、後日生産・配送するスタイル。在庫を持たずに売れるので、キャッシュフローが一気に楽になる。

3イベントの比較

従来:常時オンライン販売
広告で集客→商品ページで離脱→セールで決済→サイズ違いで返品。CVRは平均1.2%、返品率25%超。粗利は広告費と返品コストで削られる
新:予約イベント主導
事前予約→温度感の高い来場→試着・対話→納得購入。当日CVRは40%超、返品率は3〜5%まで低下。受注生産なら在庫ゼロで粗利率が劇的に改善

Shopify側の設定

予約イベントを回すうえで、Shopify側で押さえるのは以下のポイントです。

  1. 1

    商品をバリアント設計する

    サイズ×カラーの組み合わせを最大100バリアントまで登録。受注会用の「事前予約価格」も別バリアントとして用意。詳細はShopify公式ヘルプ(バリアント)参照
  2. 2

    サイズ表+採寸ガイドを商品ページに設置

    試着予約に来られない遠方顧客のために、モデル身長入りサイズ表を必ず掲載。返品率の追加削減に効く
  3. 3

    予約アプリで枠を販売

    受注会・試着予約・お披露目会の3カテゴリで、それぞれ予約枠を販売。無料予約も有料予約(参加費/デポジット)も使い分け
  4. 4

    受注会限定コレクションを作る

    「受注会で先行受注した人だけ買える」コレクションをShopifyに作成。希少性で熱量を上げる
  5. 5

    メールフロー連携

    予約完了→リマインド→当日案内→アフターフォローまでをShopifyメールまたはKlaviyoで自動化

受注会・試着予約は 「Shopifyの商品=予約枠」として登録する やり方もありますが、キャンセル管理・リマインド・スタッフ割当を考えると、予約専用アプリを乗せるほうが圧倒的に楽です。常設の飲食店向けツール(TableCheck等)はオーバースペックになりがちなので、単発イベント型に最適化された まるっと予約 のような軽量アプリを選ぶと運用が回ります。

結果:CVR・返品率・粗利が同時に動いた

ブランドAさんが3イベントを4ヶ月運用した結果が、こちら。

42%

当日CVR

up

3.8%

返品率

down

1,580万円

月商

up

58%

粗利率

up

売上推移(4ヶ月)

イベント別の貢献度

特筆すべきは 粗利率の改善 です。受注生産にしたことで売れ残り在庫がほぼゼロになり、セールに頼る必要がなくなりました。広告費も「予約枠を埋めるための集客」だけに絞れたため、ROASも改善しています。

3イベント運用の本質は「在庫を売る」から「枠を売る」への発想転換です。枠は有限なので希少性が生まれ、価格を下げずに売れるようになります。

再現するには:4週間ロードマップ

「うちでもやってみたい」というブランド向けに、ブランドAさんがたどった4週間のロードマップを共有します。

  1. Week 1

    設計フェーズ

    どのイベントから始めるかを決める。在庫リスクが大きいなら受注会から、返品率が高いなら試着予約から。会場(自社アトリエ/ポップアップスペース/カフェ間借り)と日程を確定
  2. Week 2

    Shopify+予約アプリ設定

    まるっと予約 など予約アプリを導入し、イベント枠を商品として登録。決済・キャンセルポリシー・リマインドメールを整備
  3. Week 3

    集客フェーズ

    既存顧客向けにメール/LINE/Instagramで告知。広告は予約LPに直結させ、CVを「予約完了」に統一。新作コレクションのティザー画像を3〜5枚用意
  4. Week 4

    開催&改善

    受注会/試着予約を実施。当日のCVR・滞在時間・購入点数をスプレッドシートで記録。アフターフォローメールでLTVに繋げる

必要なツールと役割

Shopify
商品・在庫・決済の母艦。バリアント設計と受注会限定コレクションを担う
予約アプリ
まるっと予約 などで枠販売・キャンセル・リマインドを自動化
メール/LINE
既存顧客への告知とアフターフォロー。Shopifyメール+公式LINEで十分
サイズ表アプリ
遠方顧客向けにサイズ不安を解消。Kiwi Sizingなどが定番
レビューアプリ
受注会後のリアルレビューを集めて常時販売に活用。Judge.meが無料で十分
決済(Shop Pay)
事前デポジット+残金後払いの分割設定で予約ハードルを下げる

「枠」の値付けパターン

  1. 01

    無料予約+当日購入

    もっとも始めやすい。来場ハードルが低く、SNS告知だけで埋まりやすい。ただしドタキャン率は20〜30%覚悟
  2. 02

    参加費1,000〜3,000円

    参加費を商品代に充当する形にすれば、ドタキャン率は5%以下まで下がる。本気層だけが集まるのでCVRも跳ねる
  3. 03

    デポジット5,000円〜

    受注会向け。デポジットを納品時に商品代から差し引く方式。キャンセル率はほぼゼロになる

→ まるっと予約で「枠を売る」を試してみる

注意点:派手な数字の裏側で気をつけたいこと

ここまで読むと「すぐ受注会やりたい」と思うかもしれませんが、現場で見てきた失敗パターンも共有しておきます。

ポップアップスペースは1日3〜10万円が相場。週末2日間を借りて30万円かかったのに来場者が10人だと赤字です。最初は 自社アトリエ/既存ファンの自宅/カフェの間借り で小さく始めて、CVRと客単価を確かめてからスペースを広げる順番を推奨します。

受注生産は在庫リスクが消える代わりに、 納期遅延がブランド毀損 に直結します。生地の手配・縫製ラインの押さえを発注前に確定させ、納期は余裕を持って2週間後ろ倒しで案内するのが安全です。

試着予約はスタッフ次第で当日CVRが20%にも60%にもブレます。サイズ提案・素材説明・コーディネート提案の3点をスクリプト化して、誰が接客しても一定品質を保てる状態を作ってください。

新規顧客を混ぜると客単価が下がります。お披露目会は 過去購入回数3回以上/累計購入額5万円以上 などのセグメントで切って、限定感を最大化するのが定石です。

飲食向けのTableCheck・トレタは常設店舗向けで、単発イベントには機能過剰&月額が高すぎます。逆にHotPepper Beautyはアパレル不可。 単発イベント特化 で軽量・低コストの予約アプリを選んでください。→ アパレル向け予約の比較を見る

わたし自身は2026年3月に独立したばかりで、独立3ヶ月目です。長期データや確定申告の経験はまだありませんが、Shopifyアプリ開発側として複数のD2Cブランドの裏側を見ていて、共通して効いている打ち手をこの記事にまとめました。

まとめ

  • アパレルD2Cの常時販売モデルは、返品25%超・CVR1%台で構造的に厳しい
  • 受注会・試着予約・お披露目会の3イベント化で、CVR・返品率・粗利が同時に動く
  • 在庫を売るのではなく「枠を売る」発想に切り替えると価格を下げずに済む
  • Shopify+単発イベント特化の予約アプリ(まるっと予約など)で月商3倍も射程圏
  • 会場コスト・納期・接客スクリプト・顧客セグメントの4点だけ最初に詰めればOK

「広告で売って返品で削られる」ループを抜け出す一番の近道は、 販売の型を変えること です。新しい商品を増やすのでも、新しいチャネルを増やすのでもなく、いまある商品を「予約イベントで売る」設計に組み替えるだけで、数字は驚くほど動きます。

ブランドAさんがやったことは、特別な技術でも巨額の投資でもありません。Shopifyの上に予約という1レイヤーを足し、お客さんに「いつでも買える」ではなく「この日だけ会える」を提供しただけです。

→ まるっと予約でアパレル受注会・試着予約を始める

この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

Share
SHIN

この記事の執筆者

SHIN

Pepin代表、Webエンジニアとして10年以上の経歴を持ち、
Shopifyアプリ・ストア開発 / webサービス開発 / メディア運営などマルチに活動。