トレーナー指名予約の受け方と指名料の決め方

担当してほしいトレーナーを、お客様自身が選んで予約する。これが指名予約です。パーソナルトレーニングでは、お客様が買っているのは「60分の枠」ではなく「この人に見てもらう60分」なので、予約の入口で担当者を選べるかどうかが、そのまま予約の入りやすさになります。
ところが、ネット予約のフォームを作るときに最初につまずくのがここです。日時から選ばせるのか、人から選ばせるのか。指名料をどこに持たせるのか。指名が特定のトレーナーに偏ったとき、どう散らすのか。
わたしはShopify向けの予約アプリ「まるっと予約」を作っている開発者で、ジムの運営者ではありません。ただ、予約の入口をどう組むかという設計の話は、アプリを作る側がいちばん長く考えている部分です。この記事では、トレーナーの指名予約をシステムの上でどう受けるかを、Shopifyの機能に落とし込みながら整理します。
トレーナーの指名予約とは何が違いますか?
- 指名予約
お客様が担当者を指定したうえで日時を選ぶ予約のこと。予約データに「誰が担当するか」が最初から入るため、枠の押さえ方も、料金の付け方も、通常予約とは別の設計が必要になります。
違いは一点だけです。押さえる対象が、スタジオの枠ではなく 人のスケジュール になります。
通常の予約は「10時の枠が1つ空いている」で成立します。指名予約は「10時に、Aトレーナーが空いている」まで揃わないと成立しません。同じ時間に3人のトレーナーが動けるジムなら、10時という1つの時刻に対して3本の別々のカレンダーが並んでいることになります。
この違いを無視して「日時だけ選ばせるフォーム」を置くと、あとから必ず手作業が発生します。予約が入るたびに「この時間、誰が空いていたか」を人間が照合することになるからです。
予約の受け方で何が変わるか
指名で選ばれることは今なぜ大事なのですか?
パーソナルトレーニングジムは、フィットネス業界のなかでも施設数が増えている側です。
矢野経済研究所の調査では、2024年8月時点の全国フィットネス施設数は12,543施設。業態別では、パーソナルトレーニングジム等を含む「その他」が3,574施設(全体の28.5%)を占めています。さらに2023年9月からの1年で開いた新規施設1,152施設のうち、170施設が「その他」でした。
出典:矢野経済研究所 フィットネス施設に関する調査(2024年)
出典:矢野経済研究所 フィットネス施設に関する調査(2024年)
施設が増えるということは、お客様から見た選択肢が増えるということです。そして選択肢が増えるほど、選ぶ基準は設備や立地から「誰に見てもらうか」に寄っていきます。指名を受け取れる予約導線を持っているかどうかは、その競争の入口に立てるかどうかの話になります。
指名予約は「複数トレーナーが在籍するジム」だけのものではありません。ひとりで動いているトレーナーでも、予約ページに担当者としての名前・写真・得意分野を出しておくと、予約ページがそのままプロフィールとして働きます。
トレーナーの指名予約はどう受ければいい?
Shopifyで組む場合、指名の受け方は大きく3通りです。どれを選ぶかで、あとの運用の手間がまるごと変わります。
| 受け方 | 向いている規模 | 指名料の扱い |
|---|---|---|
| 担当ごとにメニュー | 2〜3名まで | 価格を分ける |
| バリエーションで選択 | 4名以上 | 差額で持つ |
| 予約枠にスタッフ紐付け | 担当が頻繁に変わる | 別建てが難しい |
- 1
担当ごとにメニューを分ける
「パーソナル60分(Aトレーナー)」「パーソナル60分(Bトレーナー)」のように、商品そのものを人数分つくる方法です。いちばん単純で、価格もプロフィールもトレーナーごとに自由に書けます。トレーナーが増えると商品一覧が人数×メニュー数に膨らむので、2〜3名までの規模向きです。 - 2
1つのメニューにバリエーションとして担当を持たせる
「パーソナル60分」という1商品に対して、担当者をオプションとして持たせる方法です。Shopifyはオプションの組み合わせごとに価格を変えられるので、指名の有無や担当者ごとの差額をここで表現できます。商品一覧が散らからず、メニューを追加するときも1か所で済みます。 - 3
予約枠そのものにスタッフを紐付ける
予約アプリ側でスタッフ(リソース)を登録し、枠ごとに誰が対応するかを持たせる方法です。シフトが週ごとに変わる現場に向いています。ただし料金は商品側で決まるため、指名料を別建てにしたい場合は上の2つと組み合わせることになります。
サロンのスタッフ指名を前提にした組み方は Shopifyで複数スタッフの指名予約を管理する方法 にまとめてあります。ジムでも考え方は共通するので、スタッフ数が多い場合はそちらも合わせて読んでみてください。
指名させるなら、選ぶ材料を同じ画面に置く
どの方式で組んでも、担当者の名前だけが並んだプルダウンでは指名は起きません。初めて来る人にとって「Aトレーナー」と「Bトレーナー」は区別のつかない文字列だからです。
Shopifyの商品説明はそのまま予約ページの説明文になるので、担当ごとに次の3つは入れておきます。顔写真、得意分野(減量・姿勢改善・競技のパフォーマンスなど)、そして担当できる曜日や時間帯の傾向です。特に3つ目は、カレンダーを開く前に「この人は自分の通える時間に出ているのか」を判断させる材料になります。
逆に、資格の一覧や経歴を長く並べるのは、予約ページでは効きにくい部分です。読む場所が違うだけなので、詳細はプロフィールページに置いて、予約ページからはリンクで渡します。
指名料はいくらに設定すればいい?
金額そのものは、お客様との関係やセッション単価によって変わるので、ここで「相場はいくら」とは書きません。決められるのは どこに持たせるか のほうで、選択肢は3つです。
- 01
メニュー価格に内包する
指名料という項目を作らず、トレーナーごとにメニュー価格そのものを変えます。お客様から見ると「Aトレーナーの60分は◯円」という一本の価格になるので、いちばん分かりやすい形です。値段の差が経験や資格の差として説明できるときに向きます。 - 02
バリエーションの差額として持たせる
1つのメニューのなかで「指名あり/指名なし」をオプションにして、指名ありの側だけ価格を上げます。指名料がいくらなのかが明示されるので、追加料金であることをはっきり伝えたいときに向きます。 - 03
指名なし側を割り引く
基準価格を指名ありに置き、担当をこちらに任せてもらえる場合だけ安くします。値上げではなく割引として見えるため、既存のお客様に案内しやすいのが利点です。空いているトレーナーへ誘導する効果も出ます。
どれを選んでも、Shopifyの上では「バリエーションごとに価格を持つ」という同じ仕組みに落ちます。指名料のような有料オプションをバリエーション・別商品・予約メニューのどこに置くかは、Shopify予約オプションの設定方法 で整理しています。
指名料を別建てにした場合
指名料を後から足すときは、回数券やコースを先に買っているお客様の扱いを決めてから公開してください。購入済みの回数券に新しい指名料が乗るのか乗らないのかが曖昧だと、消化のたびに説明が必要になります。
指名がひとりのトレーナーに偏ったらどうする?
指名予約を開けると、まず起きるのが偏りです。人気のトレーナーの枠だけが先に埋まり、他の枠が空いたまま残ります。売上の観点では機会損失ですし、指名が集まりすぎたトレーナー側も消耗します。
システムの上で打てる手は、だいたいこの4つです。
偏りを散らすために予約システム側でできること
- 公開する枠数を絞る人気トレーナーのネット公開枠を、実際に動ける時間より少なく設定します。残りは既存のお客様の継続予約用に手元へ残せます
- 受付開始日をずらす担当ごとに「何日前から予約可能か」を変え、埋まりやすい側の受付開始を遅らせます
- 指名なし枠を用意する担当お任せのメニューを1つ置き、価格を下げておきます。新規のお客様の入口としても機能します
- 初回カウンセリングを分ける初回だけは指名なしの共通メニューにして、そこから継続の担当を決める導線にします
初回と継続でメニューを分ける考え方は、同じく1対1で継続していくカウンセリング・コーチングの予約と決済をShopifyで完結でも同じです。あちらには回数券をギフトカードで扱う方法も書いてあるので、パーソナルの回数券を設計するときの参考になります。
- 開設直後
まず指名なしで受ける
担当を選ばせず、空いている枠から埋めます。この段階で指名を作ると、誰も選びようがありません。 - リピートが出てきたら
担当を選べるようにする
継続のお客様に「同じ人で予約したい」が生まれた時点で、担当選択を追加します。 - 偏りが見えたら
枠数と受付開始日で調整する
値段を動かす前に、公開枠と受付開始日で散らせないかを試します。 - それでも偏るなら
指名料を別建てにする
価格差で調整する段階です。既存のお客様への案内を先に用意してから公開します。
順番が大事です。いきなり指名料から入ると、指名が定着する前に価格の話になってしまいます。
Shopifyでトレーナー指名予約を作る手順
画像出典:Shopify 公式サイト
Shopifyとは? 世界各国で使われているネットショップ作成サービスです。予約サイトとしても使え、プロテインやギアの物販を同じストアに同居させられます。
- 1トレーニングメニューを商品として登録するShopifyでは メニュー=商品 です。メニュー名・所要時間・料金を整理して登録します。このとき「配送が必要な商品です」の チェックを外す のを忘れないでください。外し忘れると、予約なのに配送先の入力を求められます。
- 2担当トレーナーをバリエーションまたはスタッフとして登録する前の章で選んだ方式に合わせて、担当者を商品オプションかアプリ側のスタッフとして登録します。指名料を別建てにするなら、ここでバリエーションごとの価格を入れます。トレーナーの写真と得意分野も、この段階で商品説明に入れておくと予約ページがプロフィールを兼ねます。
- 3予約カレンダーをサイトに設置するテーマ のエディタから、予約カレンダーをページに埋め込みます。お客様が担当を選び、その担当の空き日時を見て、そのまま決済まで進める導線を作ります。
メニュー設計の例です。指名なしの共通枠を1つ混ぜておくのがポイントです。
| メニュー例 | 所要時間 | 担当 |
|---|---|---|
| パーソナル 60分 | 60分 | 指名あり |
| パーソナル 90分 | 90分 | 指名あり |
| パーソナル 60分 おまかせ | 60分 | 指名なし |
| 初回カウンセリング | 30分 | 指名なし |
| ペアトレーニング 60分 | 60分 | 指名あり |
使うアプリを選ぶ
わたしが作っている まるっと予約 は、スタッフと部屋(リソース)の管理、予約枠ごとの定員、Googleカレンダー連携に対応した日本製の予約アプリです。無料プランは累計10件まで、有料はStarterの月額$19.99から、無制限に受けるならGrowthの月額$49.99という料金です。有料プランには7日間の無料体験が付いています。
ただ、公開したのが2026年3月で、 レビューはまだ0件、Built for Shopify のバッジも取得できていません 。導入実績の数で選びたい場合は、レビュー2,000件超のアプリが同じカテゴリに複数あります。比較は Shopify予約アプリ5つを開発者が比較 にまとめました。
出典:まるっと予約 アプリページ / Shopify 料金プラン(2026年9月17日閲覧)
Shopify本体の費用は、Basicプランが月払い4,850円(年払いなら月あたり3,650円)。Shopify ペイメントのオンラインカード手数料はBasicが3.55%、Growが3.4%、Advancedが3.25%です。
指名予約を運用するときに見落としやすいこと
バッファ時間は指名予約でこそ効いてくる
セッションの間に10〜15分のバッファを入れます。器具の片付けとカルテ確認に要る時間ですが、指名予約ではもう1つ意味があります。同じトレーナーの予約が連続して入るため、1本の遅れがその人の残り全部に伝播するからです。バッファがないと、指名が集まっている人ほど遅刻が積み上がります。
出張・レンタルジムの扱い
活動拠点が複数あるなら、Shopifyの ロケーション として登録しておくと、どの拠点の予約かを注文データ側で持てます。お客様の自宅に出張する形なら、予約サイトでは場所を選ばせず、確定後の案内で伝えるほうが素直です。どちらの場合も、移動時間をバッファとして枠に組み込んでおかないと連鎖して遅れます。
キャンセルとノーショー
1対1のセッションは、空いた枠を当日に埋め直すのがほぼ不可能です。キャンセルポリシーをシステム側で持たせて、口頭説明に頼らない形にしておきます。前払い(デポジット)を使うかどうかも含め、具体的な打ち手は 無断キャンセル対策5つ に整理しました。
回数券とグループレッスン
回数券は商品として販売し、1回ごとのセッションは予約で受ける運用になります。残回数の自動引き当てまでは行かないので、注文データと予約データを突き合わせる手間は残ります。定員付きのグループレッスンを併売する場合は、枠ごとに定員を設定できるアプリを選んでください。
ジム全体の予約管理をどう組むかは ジム・フィットネスの予約管理をShopifyで効率化する方法、物販を同居させる話は パーソナルジムがShopifyで予約+プロテイン販売を1サイトにまとめる方法 にそれぞれ書いてあります。
よくある質問
担当を選ばせる画面そのものは要りません。ただ、予約ページに自分の名前・写真・得意分野を出しておく価値は、複数人の現場と変わらず高いです。パーソナルトレーニングでお客様が買っているのは時間枠ではなく指導者なので、予約ページが実質的なプロフィールページとして働きます。将来トレーナーを増やす可能性があるなら、最初から1商品にバリエーションで担当を持たせる形にしておくと、2人目を足すときに商品を作り直さずに済みます。
一律の正解はありません。金額の相場を示せる一次資料がないため、この記事では金額ではなく「どこに持たせるか」だけを扱っています。選択肢はメニュー価格への内包、バリエーションの差額、指名なし側の割引の3通りで、Shopifyの上ではいずれもバリエーションごとの価格として表現されます。決めるときは、指名料そのものより先に「指名なしの枠をいくらにするか」を決めると、差額が自然に決まります。
価格を動かす前に、枠の出し方で調整します。具体的には、人気トレーナーのネット公開枠を実働時間より少なくする、担当ごとに受付開始日をずらす、担当おまかせのメニューを割安で用意する、初回カウンセリングだけ指名なしの共通枠にする、の4つです。これで足りないときに初めて指名料の別建てを検討します。順番を逆にすると、指名が定着する前に価格の話になってしまいます。
できます。ただ一度に切り替えず、既存のお客様には従来の連絡手段を残したまま、新規の受付だけ予約ページに寄せるのが安全です。指名予約に移すと「誰が何回指名されたか」が注文データに残るので、DMの履歴を遡らなくても担当ごとの稼働が見えるようになります。移行の初期は、ネット予約で埋まった枠が手元の手帳にも反映されているかを毎日確認してください。二重管理の期間がいちばん事故が起きやすいところです。
Shopify Basicが月払い4,850円(年払いなら月あたり3,650円)、これに予約アプリの月額が乗ります。まるっと予約なら累計10件まで無料、Starterが月額$19.99、予約件数無制限のGrowthが月額$49.99です。加えてオンライン決済の手数料がかかり、Shopify ペイメントのカード料率はBasicが3.55%、Growが3.4%、Advancedが3.25%です。いずれも予約1件あたりの成果報酬ではないので、セッション数が増えるほど1件あたりの負担は下がります。
出典:Shopify 料金プラン / まるっと予約 アプリページ(2026年9月17日閲覧)
まとめ
トレーナーの指名予約は、「日時を選ばせる予約」に担当者という軸をもう1本足すことです。その1本を足すだけで、予約データの意味が変わります。
- 指名予約は、押さえる対象が枠ではなく人のスケジュールになる
- 受け方は、担当ごとのメニュー・バリエーション・スタッフ紐付けの3通り
- 指名料は内包・差額・指名なし割引の3通りで持たせられる
- 偏りは、価格より先に枠数と受付開始日で散らす
- 指名予約ではバッファの不足が、その担当の1日全体に伝播する
Shopifyなら、指名予約とプロテイン・ギアの物販を1つのストアにまとめられます。Shopifyは3日間の無料体験、まるっと予約は累計10件まで無料のプランがあるので、担当を選べる予約ページがどう見えるかを先に確かめてみてください。


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