Shopifyの月締め請求書 — 合算と分割の作り方

Shopifyは1つの注文に1つの決済がひもづく設計なので、月締め請求書(1か月ぶんの注文を1枚にまとめた合算請求書)を出す標準機能がありません。日本のB2B取引でいちばん多い「月末締め・翌月請求」をShopifyで回すなら、注文をまとめる仕組みを別に用意することになります。しかも、注文を並べて合計すれば終わりではありません。税額は合算したあとに税率ごとへ再計算する必要があり、注文ごとの消費税額をそのまま足すと、インボイス制度が求める端数処理の形から外れます。この記事は、その再計算と、締め日をまたいだ発送の切り分けに絞って書きます。
わたし(SHIN)はShopifyアプリの開発者で、後半で名前を出す「まるっと請求書」を作っている本人です。先に立場を明かしておきます。前半のShopify標準機能と税務の話は、Shopifyヘルプセンターと国税庁のページを実際に開いて確認した内容だけで書きました。自社アプリの話は後半の1節にまとめ、レビュー件数が少ないことやBuilt for Shopifyを取得していないことも同じ節に書いています。また、わたしは税理士ではありません。ここに書くのは国税庁の一次情報のたどり方であって、個別の税務判断の代わりにはなりません。最終的な処理はかならず顧問税理士に確認してください。
Shopifyで月締め請求書は作れる?
結論から書くと、Shopifyの標準機能だけでは作れません。作れるのは「月締めの取引そのもの」までで、その結果を1枚の帳票にまとめる部分が空いています。
ShopifyのB2B機能一覧を上から下まで読むと、会社と会社のロケーション、カタログ、数量ルール、決済条件、下書き注文、セルフサービス返品まで並んでいます。そこに「複数の注文を1枚の請求書にまとめる」という項目はありません。決済まわりで用意されているのは、Net 7からNet 90までの決済条件、フルフィルメント時決済、受領時決済、保管されているクレジットカード、Shopify Flowによる支払いリマインダー、そして下書き注文からの請求書送信です。
出典:Shopifyヘルプセンター「ShopifyのB2B機能の概要」
Shopifyが「請求書」と呼んでいるものは、下書き注文からお客様へ送る支払いリンク付きのメールです。登録番号や税率ごとの消費税額が印字された、取引先が経理に回せるPDFのことではありません。この言葉のずれについては別記事で整理しています。
Shopifyの管理画面に出てくる3種類の「請求書」の違いは、Shopifyの請求書は3種類あるで切り分けています。まず自分が探しているのがどれなのかを確かめてから、この記事に戻ってきてください。
標準でできること、できないこと
| やりたいこと | Shopify標準 |
|---|---|
| 掛け払いの期日を決める | できる(決済条件) |
| 期日超過を見つける | できる(絞り込み) |
| 支払いを催促する | できる(Flow) |
| 複数注文を1枚にまとめる | 機能がない |
| 合算後の税額を出し直す | 機能がない |
- 合算請求書
一定期間内に発生した複数の取引を1枚の請求書にまとめたものです。日本のB2Bでは「月末締め」の請求書がこれにあたります。取引先の経理は、1か月に何十枚も届く納品書ではなく、この1枚で支払処理をします。
月末締め・翌月請求がShopifyと噛み合わないのはなぜ?
理由は2つあります。期日の起点と、請求の単位です。
Net条件の起点は「注文日」であって「締め日」ではない
ShopifyのNet条件について、ヘルプにはこう書かれています。「選択した特定の期間内に支払期日を迎えます。利用可能な条件は、Net 7、Net 15、Net 30、Net 45、Net 60、Net 90です。すべての条件は、注文日から起算されます。」
ここが日本の商慣習と食い違います。「月末締め・翌月末払い」は、締め日から起算して支払期日を決めるやり方です。Shopifyは注文日から数えるので、同じ月に入った注文でも1日の注文と30日の注文では期日が29日ずれます。管理画面の期日表示と、取引先に渡す請求書に書く支払期日が一致しません。
出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bでの決済条件の設定」
同じ「掛け払い」という言葉でも、数え方が違います。
| 項目 | Shopifyの決済条件 | 日本の月末締め |
|---|---|---|
| 起算日 | 注文日 | 締め日 |
| 期日の数 | 注文ごとに1つ | 請求書に1つ |
| 超過表示 | 注文単位 | 請求書単位 |
決済は自動で回収されない
もうひとつ、見落とされやすい記述があります。「決済条件の期限が切れても、決済は自動的に回収されません。たとえば、B2Bのお客様が注文時にクレジットカードを保存した場合、管理画面でそのクレジットカードに請求して、手動で決済を回収する必要があります。」
つまりShopifyが面倒を見てくれるのは、期日の記録と、バイヤーが自分で払うための導線までです。入金の消し込みも、督促のタイミングも、こちら側の仕事として残ります。ShopifyのB2B全体の設定手順はShopifyのB2Bは全プランで使えるにまとめました。
出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bでの決済条件の設定」
複数の注文を1枚にまとめて適格請求書にできる?
できます。ここは税務上の問題ではありません。
国税庁のタックスアンサーは、適格請求書等の記載内容として認められる方法のひとつに「課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法」を挙げています。1か月ぶんの取引を1枚にまとめた請求書を、適格請求書として交付して差し支えありません。
それどころか、国税庁のQ&Aには「一定期間の取引をまとめた請求書を適格請求書として交付する場合の記載例」という図が載っています。そこに書かれているのは「10月分(10/1〜10/31)100,000円(税込)」という見出しと、日付・品名・金額の明細、そして末尾の税率別の内訳です。月締め請求書は、国税庁が記載例として示しているくらい標準的な形だということです。
出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問57
適格請求書として必要な記載事項そのものは、1枚にまとめても変わりません。
1枚にまとめても必要な6項目
- 書類作成者の氏名または名称および登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
2番目の「取引年月日」は、月締めの場合は対象期間の表記で満たします。先ほどの記載例が「10月分(10/1〜10/31)」と書いているのがそれです。請求書に対象期間のラベルを入れておくと、取引先の経理も突合しやすくなります。6項目それぞれの意味はShopifyのインボイス対応と適格請求書の6項目で1つずつ見ています。
Shopifyの月締め請求書で税額はどう再計算する?
ここがこの記事でいちばん大事なところです。 注文ごとの消費税額を単純に足した数字は、合算請求書の消費税額として使えません。
国税庁のQ&A問57は、こう書いています。「適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります」。そして注記で「一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません」と念を押しています。
出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問57
Shopifyの注文データが持っている消費税額は、その注文の中で1回丸めた結果です。それを3件ぶん足すと、丸めが3回行われたことになります。1枚の請求書の中で税率ごとに1回、という形ではありません。
1円ずれる例
10%対象・税抜表示の注文を3件まとめ、端数は切り捨てで処理する場合です。
| 注文 | 税抜金額 | 注文単位の消費税 |
|---|---|---|
| 注文A | 1,234円 | 123円 |
| 注文B | 2,345円 | 234円 |
| 注文C | 3,456円 | 345円 |
| 単純に足した額 | 7,035円 | 702円 |
| 合算後に再計算 | 7,035円 | 703円 |
注文ごとに切り捨てると702円、合計額から1回で計算すると703円です。1円の差ですが、正しいのは703円のほうです。
差は件数に比例して開きます。切り捨ての場合、注文ごとの丸めで失われる額は1件あたり最大1円弱なので、50件をまとめると理屈のうえでは最大49円までずれます。取引先の経理が自分で検算したときに「1円合わない」ではなく「数十円合わない」になると、差し戻しの電話がかかってきます。
税込表示の場合も考え方は同じ
国税庁の記載例は税込表示です。10%対象60,000円に対して「60,000円×10/110≒5,454円」、8%対象40,000円に対して「40,000円×8/108≒2,962円」と計算し、合計の消費税を8,416円としています。ここでも割り戻しは税率グループごとに1回だけです。
出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問57
- 1
税率グループに振り分ける
明細を標準税率・軽減税率・非課税の3つに分けます。Shopifyの注文には、実際に適用された税率が注文ごとに入っているので、税率をコード側で決め打ちせず、その値で振り分けるのが安全です。
- 2
グループごとに対価を合計する
税率グループごとに、税抜(または税込)の対価を合計します。ここではまだ消費税額を出しません。
- 3
グループごとに1回だけ丸める
合計した対価から消費税額を計算し、そこで初めて端数処理をします。切り捨て・四捨五入・切り上げのどれを使うかは任意ですが、毎月同じ方法にそろえてください。
- 4
請求書に税率ごとの内訳を印字する
「10%対象 ◯◯円(消費税 ◯◯円)」「8%対象 ◯◯円(消費税 ◯◯円)」の形で、税率ごとの対価と消費税額を並べます。軽減税率の明細には※などの記号を付け、欄外に注記を入れます。
消費税そのものの設定が怪しいと、この再計算も土台から狂います。ストア側の設定はShopifyで消費税の設定を正しく行う方法を先に確認してください。
締め日までに発送した分だけ請求するには?
月締めのもうひとつの山が、締め日をまたいだ注文です。10月28日に受注して、10月30日に一部だけ発送し、残りを11月2日に発送した注文。これを10月分の請求書に全額入れるのか、11月に回すのか。
日本のB2Bでよくあるのは「締め日までに発送した分だけ請求して、残りは翌月に回す」という運用です。Shopifyの注文はこの単位で分かれていないので、発送(フルフィルメント)を単位にして請求を切り出すことになります。
- 一部発送済み
Shopifyのフルフィルメント状況のひとつで、ヘルプの説明は「注文内のアイテムの一部をフルフィルメントした場合。」です。注文を複数回に分けて発送すると、この状態を経由します。
分割したときに起きる3つの事故
- 01
同じ発送を二度請求する
10月分で請求した6個を、11月分でもう一度請求してしまうパターンです。手作業だと「先月どこまで請求したか」をメモで管理することになり、担当者が変わった月に必ず起きます。請求済みの発送を記録して、同じ発送が二度請求されないように止める仕組みが要ります。
- 02
送料を二度取る、または一度も取らない
送料は注文に対して1回かかるものなので、発送のたびに請求すると二重取りになります。逆に「発送単位で請求するから送料は保留」としたまま忘れると、取りそびれます。注文につき1度だけ、最後の発送日が対象期間に入る回で計上する、と決めておくのが素直です。
- 03
返金やキャンセルが反映されない
請求対象は、返品や注文編集を反映したあとの現数量を上限にします。割引と税額は数量比率で按分します。キャンセルされた発送は請求対象から外します。ここを注文作成時の数量で押し通すと、返金した分まで請求することになります。
具体例で見る
締め日10月31日、注文#1001はA商品10個。10月30日に6個、11月2日に4個を発送したとします。
| 請求月 | 明細 | 送料 |
|---|---|---|
| 10月分 | A商品 6個(10/30発送) | 保留 |
| 11月分 | A商品 4個(11/2発送) | 計上 |
品名に発送日を付記しておくと、同じ商品が2枚の請求書に出てきても、取引先の側で「別の出荷ぶんだ」と分かります。送料は最後の発送日が11月2日なので11月分に載せます。
発送を伴わない注文もあります。デジタル商品やサービスは発送が発生しないので、発送単位の設定にしていても注文単位で請求するしかありません。発送単位モードにしたときに、この種類の注文が請求から漏れていないかを最初の1か月だけは目視で確認してください。
「今回請求しない明細」を画面に出す
分割請求でいちばん怖いのは、請求漏れに気づかないことです。合計額だけを見ていると、抜けている明細は見えません。今回の請求に含めなかったものを、理由つきで並べるようにしておくと事故が減ります。理由は3種類に整理できます。
請求から外れた明細の扱い
Shopifyの月締め請求書でまとめられない注文はどれ?
全部をまとめられるわけではありません。まとめてはいけない組み合わせがあります。
合算の前に確認すること
- 通貨がそろっているか(USDとJPYは1枚にできません)
- 税込・税抜モードがそろっているか
- 請求先の会社が同じか(本部宛てか店舗宛てか)
- 対象期間の基準がそろっているか(注文日か発送日か)
通貨が違う注文を1枚にまとめると、合計額が意味を持ちません。税込モードの注文と税抜モードの注文を混ぜると、同じ「1,000円」が別の意味になり、再計算した税額がどちらとも合わなくなります。どちらも、まとめられないというより まとめてはいけない 組み合わせです。エラーで止まるほうが、静かに誤請求するより安全です。
対象期間の基準日も先に決めてください。注文日で切るのか、発送日で切るのか。月末の深夜に入った注文をどちらの月に入れるかが担当者判断になると、翌月の突合でかならず揉めます。決めたら毎月同じ条件で抽出します。
Shopify B2Bの会社・店舗とはどう紐づける?
取引先が複数の店舗を持っている場合、請求は本部宛て1枚でも、明細は店舗ごとに区切ってほしいと言われることがあります。
ShopifyのB2Bは、会社と会社のロケーション(店舗)という2階層でお客様を持っています。注文にはこの2つがひもづいているので、取引先マスタ側でShopifyの会社と紐づけておけば、会社や店舗で注文を絞り込めます。1枚の請求書の中で店舗ごとに明細を区切り、店舗小計を出すこともできます。
出典:Shopifyヘルプセンター「ShopifyのB2B機能の概要」
店舗ごとの小計は表示のための区切りであって、税額の端数処理の単位ではありません。店舗ごとに丸めてから足すと、また「税率ごとに1回」から外れます。小計は見やすさのため、税額は請求書全体で税率ごとに1回。この2つは別の話として分けてください。
宛名にも注意が必要です。適格請求書の6番目の項目は「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」なので、発注した担当者の個人名ではなく取引先の会社名にします。請求先を本部にするか店舗にするかは、取引を始めるときに確認しておく項目です。
掛け払いの与信や債権管理はどこまで自動化できる?
ここは正直に書きます。 与信審査と債権管理は、帳票アプリの守備範囲ではありません。
Shopifyの決済条件は「何日後に払う約束か」を記録して、期日を過ぎた注文に期日超過の表示を出すところまでです。決済の自動回収はしないとヘルプに明記されています。合算請求書を作るアプリも、請求書を組み立てるところまでで、入金の消し込みや督促はしません。
出典:Shopifyヘルプセンター「B2Bでの決済条件の設定」
- 自社の運用
与信枠を決める
新規の取引先にいくらまで掛けで出すかは、こちらが決める話です。登記情報や信用調査を見るのか、初回は前払いにして実績を見てから掛けに移すのか。Shopifyにもアプリにも、この判断をする機能はありません。
- アプリの範囲
請求書を出す
締め日で対象注文を抽出し、税率ごとに再計算して1枚にまとめ、PDFにします。ここは自動化できる部分です。
- 自社の運用
送付する
メールで送るのか、郵送するのか。帳票アプリにメール送信機能がない場合は、PDFを取引先へ送るところは自分たちで回すことになります。
- 自社の運用または会計ソフト
入金を消し込む
入金明細と請求書の突合です。会計ソフト側の仕事になります。未入金が続いたときの督促も含めて、社内の担当と手順を決めておいてください。
掛け払いを増やすということは、売掛金という形で自社の資金を取引先に貸している状態が増えるということです。機能の話より先に、回収できなかったときにどうするかを決めておくほうが大事です。
アプリで月締めを自動化するとどうなる?
ここから自社アプリの話になります。わたしが開発している「まるっと請求書」のProプランに、この記事で書いてきた処理を入れています。App Storeのリスティングで確認できる範囲を書きます(2026年9月20日確認)。
Free
無料
月5件の請求書, 法定6項目に対応, カード登録不要
Basic
$9.99/月
枚数無制限, 納品書・領収書, 税額差異の調整, セルフ発行
Pro
$19.99/月
合算請求書, 取引先登録, B2B会社と連携, 仕訳CSV, 配送伝票CSV
出典:まるっと請求書|インボイス・B2B(Shopify App Store)
Proプランに入っているのは、BtoB向けの月末締め合算請求書(店舗別小計対応)、得意先の取引先登録・管理、ShopifyのB2B会社と連携して取引先・店舗で注文を絞り込む機能、帳票のまとめて一括PDF発行(1回最大50件)、会計ソフト向けの仕訳CSV連携、ストアでの見積書作成・管理です。合算できる注文の上限は50件で、これは一括PDF発行の上限と同じです。有料プランには7日間の無料体験が付いています。
弱いところも同じ場所に書きます。App Storeのレビューは1件・★5.0(2026年9月20日確認)で、実績の量では同じカテゴリーのOrder Printer Pro(2,903件)やMS Order Printer(290件)にまったく及びません。この2本が取得しているBuilt for Shopifyのバッジも、まるっと請求書は取得していません。公開日は2026年4月30日で、まだ若いアプリです。
それから、 メールの自動送信機能はありません。 請求書PDFを取引先へメールで送る部分は自動化されません。マーチャントに外部メールサービスのAPIキー登録を求めない方針でそうしています。会計ソフトとの連携もCSVの書き出しであって、API経由の自動同期ではありません。
アプリを使うかどうかにかかわらず、帳票アプリの選び方そのものはShopifyの請求書・帳票アプリはどう選ぶ?に5つの軸で整理しています。合算請求書が要るかどうかは、その軸のひとつです。
月締めを始める前に決めておく4つのこと
設定より先に決めるべきことがあります。ここが曖昧なまま機能だけ入れると、毎月同じところで止まります。
- 01
締め日と基準日
末日締めか20日締めか。そして「締める」の基準を注文日にするか発送日にするか。発送日にするなら、分割発送の扱いも同時に決まります。
- 02
支払期日の書き方
Shopifyの決済条件は注文日起算です。請求書に書く支払期日は締め日起算になるので、2つの数字は一致しません。請求書に書く期日をどちらの計算で出すかを決めて、取引先にも伝えておきます。
- 03
端数処理の方法
切り捨て・四捨五入・切り上げのどれかにそろえます。方法は任意ですが、月によって変えると差額の説明ができなくなります。
- 04
宛名の持ち場所
取引先の社名と住所を、Shopifyの会社に持たせるのか、帳票側の取引先マスタに持たせるのか。両方に持つと、食い違ったときにどちらが正か分からなくなります。
最初の1か月は、月締め請求書を出したあとに注文一覧へ戻って、その期間の注文がすべて「請求済み」か「今回請求しない理由が付いている」のどちらかになっているかを目で確認してください。ここを1回やっておくと、抽出条件の穴に2か月目で気づけます。
よくある質問
作れません。ShopifyのB2B機能一覧には、会社、カタログ、数量ルール、決済条件、下書き注文などは並んでいますが、複数の注文を1枚の請求書にまとめる機能はありません。標準機能だけでやるなら、注文をCSVで書き出して表計算で組み直すことになります。その場合も、税率ごとの合計と消費税額は1枚の中で出し直す必要があります。
なります。国税庁は適格請求書等の記載方法として、課税期間の範囲内で一定の期間内の取引をまとめて記載する方法を認めています。国税庁のQ&Aには、10月分として10月1日から10月31日までの取引をまとめた請求書の記載例も載っています。記載事項の6項目は、まとめても省略できません。
だめです。国税庁は、1枚の適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行う必要があるとしています。個々の商品ごとに消費税額を計算して端数処理し、その合計額を消費税額として記載することは認められないとも明記されています。注文ごとの税額はその注文の中で1回丸めた結果なので、それを足すと丸めが件数ぶん行われたことになります。合算した対価から税率ごとに1回で計算し直してください。
決めておく必要があります。よくある運用は、締め日までに発送した分だけを今月の請求に入れ、残りを翌月に回すやり方です。この場合、請求済みの発送を記録しておかないと同じ分を二度請求する危険があります。送料は注文につき1度だけ計上し、最後の発送日が入る月の請求書に載せるのが素直です。
まとめられません。まとめてはいけない、と言うほうが正確です。通貨が違えば合計額が意味を持ちませんし、税込モードと税抜モードが混ざった注文も、同じ金額が別の意味になるため合算できません。エラーで止めて、通貨やモードごとに請求書を分けてください。
一致しないことがあります。Shopifyのヘルプは、Net条件のすべてが注文日から起算されると説明しています。日本の月末締めは締め日から起算するので、同じ月の注文でも管理画面の期日はばらばらに立ちます。請求書に書く支払期日は締め日基準で決めたうえで、Shopify側の期日表示は社内の目安として扱うのが現実的です。
できません。Shopifyのヘルプには、決済条件の期限が切れても決済は自動的に回収されないと書かれています。保存されたクレジットカードに請求する場合も、管理画面から手動で回収します。与信の判断、入金の消し込み、督促はアプリの機能ではなく自社の運用として設計してください。
アプリによります。わたしが作っているまるっと請求書の場合、合算できる注文は最大50件で、一括PDF発行の上限と同じです。取引先ごとの月間注文数がこれを超えるなら、期間を半月で区切るなどの運用が必要になります。上限は導入前に必ず確認してください。
税率の区分が増えるぶん、影響します。国税庁のタックスアンサーには、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられる旨の注記があります。税率が変わっても、1枚の適格請求書につき税率ごとに1回という端数処理の原則は変わりません。むしろ税率グループが増えるほど、注文ごとの税額を足す方式とのずれは大きくなります。具体的な税区分の扱いは顧問税理士に確認してください。
まとめ:まとめる前に、決める
Shopifyで月締め請求書を出すという話は、機能の有無だけで終わりません。順番に整理するとこうなります。
Shopifyの標準機能に合算はありません。ただし税務上は、一定期間の取引をまとめた1枚を適格請求書として交付できます。まとめるときの肝は税額で、注文ごとの消費税額を足した数字は使えず、合算した対価から税率ごとに1回だけ端数処理をします。締め日をまたぐ注文は発送単位で切り出し、二重請求を止める仕組みと、送料を1度だけ計上するルールを用意します。今回請求しない明細は理由つきで残します。通貨と税込税抜モードが混ざる注文は合算しません。そして与信と債権管理は、アプリではなく自社の運用です。
まずは1社だけで1か月回してみてください。締め日で抽出して、税率ごとの内訳を手計算で検算する。それを1回やると、自分のストアでどこが詰まるかが分かります。



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