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Shopify2026-09-1618分で読めます
Shopifyインボイス制度適格請求書

Shopifyのインボイス対応と適格請求書の6項目

Shopifyのインボイス対応と適格請求書の6項目
適格請求書の記載事項を埋めていくイメージ

Shopifyには、インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応した帳票を発行する標準機能がありません。注文データには適格請求書発行事業者の登録番号を入れるフィールドがなく、消費税額も明細行ごとに端数処理された値が入っています。Shopifyの注文画面をそのまま印刷しても適格請求書にはならない、というのが出発点です。やることは3つに集約されます。法定6項目を埋めること、税率ごとに1回だけ端数処理をすること、そして送料に消費税を設定することです。

わたし(SHIN)は、この記事の後半で触れている「まるっと請求書」というShopifyアプリの開発者です。先に立場を明かしておきます。この記事の税制まわりの記述は、すべて国税庁のページを開いて確認した内容だけで書きました。自社アプリの話は最後の1節にまとめ、それ以外の部分では特定のアプリを前提にしない書き方をしています。まるっと請求書はレビュー1件・★5.0(2026年9月16日にApp Storeで確認)で、実績の量ではOrder Printer Proのような海外製アプリにまったく及びません。そこは正直に書いておきます。なお、わたしは税理士ではありません。この記事は国税庁の一次情報へのたどり着き方を整理したもので、個別の税務判断の代わりにはなりません。

6項目
適格請求書の法定記載事項
1つ欠けると適格請求書になりません
1回
税率ごとの端数処理の回数
商品ごとに丸めた額の合計は認められません
7年
交付した写しの保存期間
発行して送りっぱなしにはできません

消費税の取り扱いは、業種・売上規模・取引形態で結論が変わります。この記事に書いたのは国税庁のページに実際に書かれている内容だけですが、自社に当てはめるときは顧問税理士か所轄の税務署に確認してください。とくに免税事業者からの課税仕入れや簡易課税の選択は、ストア側の設定だけで決まる話ではありません。

Shopifyはインボイス制度に標準で対応している?

していません。正確に言うと、 消費税を計算する仕組みは持っているのに、適格請求書として交付する仕組みを持っていない 状態です。ここを混同すると「税設定をしたから対応済み」と思い込んでしまいます。

足りないものは3つあります。

  1. 01

    登録番号の置き場所がない

    適格請求書発行事業者の登録番号(Tで始まる13桁)を保持する標準フィールドが、ストア設定にも注文データにもありません。メタフィールドかアプリ側の設定として自分で持たせることになります。
  2. 02

    帳票そのものが出せない

    注文詳細は画面で見られますが、それは適格請求書ではありません。宛名も但し書きもなく、税率ごとの区分も帳票の形にはなっていません。
  3. 03

    税額の丸め方が制度と違う

    Shopifyは明細行ごとに税額を丸めて合計します。国税庁が求めているのは、請求書1枚につき税率ごとに1回だけ丸める方法です。

Shopifyヘルプセンターの日本向けページを見ても、「お客様に税金を請求するために税務登録番号を入力する必要はありません」と書かれています。これは「税率を適用するのに登録番号は要らない」という意味であって、「登録番号が不要」という意味ではありません。帳票に載せる登録番号は、Shopifyの税設定とは別の話として自分で用意します。

出典:Shopifyヘルプセンター「日本の税金」

そのうえで、Shopifyの税設定は日本向けに特徴があります。同じページには、新規マーチャントの場合は商品価格にデフォルトで税金が含まれている、つまり内税で運用する前提だと書かれています。税額は「税率 × 価格 ÷(1 + 税率)」で逆算されます。この逆算が、あとで出てくる端数処理の話にそのままつながります。

適格請求書の6項目は、Shopifyの注文のどこにある?

国税庁は適格請求書の記載事項を6つ挙げています。原文の並びのまま引くと、次のとおりです。

  • インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
  • 売手(自社)の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び適用税率
  • 10%・8%それぞれの消費税額等

出典:国税庁「インボイス制度について」

これをShopifyの注文データに突き合わせると、埋まるところと埋まらないところがはっきり分かれます。上位の解説記事はここを表にしていないことが多いので、自分で作りました。

記載事項Shopifyの注文データでの所在そのままでは足りないもの
交付先の氏名または名称請求先住所の氏名法人の場合、会社名を宛名に置き換える判断
自社の名称および登録番号ストア名は設定にある登録番号を入れる場所がない
取引年月日注文日発行日と取引日を分けたい場合の使い分け
取引内容と軽減税率対象の旨明細行の商品名・数量軽減税率対象を示す記号(※など)の付与
税率ごとの対価の合計と税率注文の税ライン送料に税が設定されていないと合計が合わない
税率ごとの消費税額等注文の税額明細行ごとに丸めた値なので、そのままは使えない

埋まっているのは3項目、手を入れないといけないのが3項目です。これが「Shopifyだけではインボイス対応が完了しない」ことの中身になります。

帳票の名前は関係ありません。国税庁は、所定の事項が記載された書類であれば、領収書や納品書など書類の名称を問わずインボイスになると説明しています。逆に「請求書」と印字されていても、6項目のどれかが欠けていれば適格請求書にはなりません。判断するのは中身です。

登録番号はShopifyのどこに設定する?

Shopify本体には置き場所がないので、実務上の選択肢は2つです。

帳票アプリの設定に持たせる
いちばん素直な方法です。
アプリの初期設定で会社情報と登録番号を入力し、発行するすべての帳票に自動で載せます。設定は一度きりで、注文ごとの作業は発生しません。
テーマやテンプレートに直接書く
Order Printer系を自作する場合です。
Liquidテンプレートに登録番号を文字列として埋め込みます。無料で済みますが、税率ごとの集計と端数処理も自分で書くことになります。

登録番号をまだ持っていない場合は、先に取得が必要です。国税庁のQ&Aは、登録を受けることができるのは課税事業者に限られる、と明記しています。登録申請書はe-Taxで提出でき、郵送する場合の送付先は各国税局のインボイス登録センターです。登録された事業者の情報は「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。

出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」Ⅱ 登録制度

公表サイトは、自分の番号を確認するためだけのものではありません。登録番号がその取引時点で有効か(取消しや失効がないか)を調べる用途があります。仕入先から受け取った請求書の番号を確認したいときは、Tを除いた13桁の数字で検索します。

出典:国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト

消費税額が1円ずれるのはなぜ?

Shopifyの帳票と会計ソフトで税額が1円違う、という話は、原因がはっきりしています。端数処理を行う単位が制度とShopifyで違うからです。

端数処理の単位

消費税額に1円未満の端数が出たとき、どのまとまりで丸めるか。商品1行ごとに丸めてから足すのか、請求書1枚の税率ごとの合計から1回だけ丸めるのかで、最終的な税額が変わります。

Shopifyヘルプセンターは、税の計算方法について、以前は注文の小計で税額を計算して丸める請求書レベルの端数処理だったものが、現在は税額が項目レベルで端数処理されると説明しています。具体的には、注文の各項目に税率を適用し、その結果の端数を処理したうえで、それらの小計をすべて合計して税額を出す、という順序です。さらに、税務登録地域では項目レベルで偶数丸め(銀行丸め)の規則を使い、2つの値のちょうど中間にある数値は最も近い偶数に丸めるとされています。

出典:Shopifyヘルプセンター「税の管理」

一方、国税庁のQ&A問57は、適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行う必要がある、としています。丸め方そのもの(切上げ・切捨て・四捨五入)は任意の方法でよいとも書かれています。そのうえで注記が付いています。一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算して1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません、というものです。

出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問57

つまり、Shopifyの注文が持っている税額をそのまま帳票に転記すると、国税庁が「認められません」と名指ししている形になります。ここが、この記事でいちばん伝えたい点です。

実際にどれくらいずれるのか、数字で見たほうが早いと思います。

注文の中身明細行ごとに丸めて合計(Shopify型)請求書単位で税率ごとに1回
税込998円の商品を5点(10%)998×10/110=90.7→91円 を5行分=455円4,990×10/110=453.6→454円1円
税込1,078円の食品を7点(8%)1,078×8/108=79.9→80円 を7行分=560円7,546×8/108=559.0→559円1円

1枚あたり1円です。ただし、10%と8%が混ざった注文では税率ごとに同じずれが起きるので、1枚で2円になることもあります。金額としては小さくても、月末に経理と突き合わせるたびに原因を追いかける作業が発生します。

端数処理を直さないと何が問題になる?

問題は2段階で効いてきます。

1段目:帳票が適格請求書として成立しない

明細行ごとに丸めた税額の合計を「税率ごとの消費税額等」として印字している以上、国税庁のQ&A問57が認められないとしている形です。交付した相手方が仕入税額控除の根拠にする書類なので、こちらの都合で済む話ではありません。

2段目:会計ソフトとの突き合わせが毎月発生する

freee・弥生・マネーフォワードのいずれを使っていても、取り込んだ売上データの税額と帳票の税額が合わないと、差額の原因を毎回調べることになります。1件1円でも、件数が増えれば合計は無視できません。

対処は3つに分かれます。ひとつは、帳票側で税率ごとの対価の合計からもう一度1回だけ計算し直すこと。もうひとつは、税額を手動で上書きできる機能を使うこと。3つ目は、Order Printer系のテンプレートを自作しているなら、その計算をLiquidで自分で書くことです。どれを選んでも、テスト注文を1件通して印字される税額を検算する工程は省けません。

会計ソフトとの連携そのものについては、Shopifyと会計ソフトを連携する方法に別途まとめています。仕訳の入り口を決めてから帳票側を合わせにいくほうが、手戻りが少なくなります。

送料に消費税がかかっていないと何が起きる?

これは見落とされやすいわりに、帳票の数字が丸ごと狂う設定です。

送料に税が設定されていないと、税率ごとの対価の合計に送料が入りません。結果として、請求書に印字される「10%対象の合計」と、お客様が実際に支払った金額が一致しなくなります。合計金額は合っているのに税率ごとの内訳だけが合わない、という状態になるので、原因にたどり着くまで時間がかかります。

Shopifyヘルプセンターの配送料への課税のページを見ると、配送料への税が自動的に計算される国・地域としてオーストラリア、カナダ、EU、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、イギリス、アメリカが挙げられています。 日本はこの自動計算のリストに入っていません。 つまり、日本のストアは自分で設定する必要があります。

出典:Shopifyヘルプセンター「配送料への課税」

設定手順は同じページに書かれています。

  1. 1

    設定を開く

    Shopify管理画面で「設定」から「税金と関税」へ進みます。
  2. 2

    グローバル設定を探す

    ページ内のグローバル設定セクションに、配送料の扱いを決める項目があります。
  3. 3

    配送料に税金を請求するを選ぶ

    「配送料に税金を請求する」を有効にします。日本向けの内税運用なら、送料も税込価格として扱われます。
  4. 4

    保存してテスト注文で確認する

    保存したあと、送料が発生する注文を1件通して、帳票の税率ごとの合計に送料が乗っているかを確かめます。

日本向けのヘルプページにも、商品価格と配送料に売上税を含める設定を有効にする必要があると書かれています。2つのページで同じことを言っているので、ここは迷わなくて大丈夫です。

消費税設定そのものの手順はShopifyで消費税の設定を正しく行う方法に分けて書いています。軽減税率のコレクション設定を含めて、先にそちらを済ませてから帳票の話に入ると順序がきれいです。

税込表示と帳票の表記はどう揃える?

ストアフロントの価格表示と、帳票に印字する金額の表記は、別のルールで動いています。混ぜて考えると混乱します。

ストアフロント側は総額表示義務の話です。国税庁は、総額表示義務とは事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に消費税額を含めた価格(税込価格)を表示することだとしています。対象は店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告などを問いません。表示例として、11,000円、11,000円(税込)、11,000円(税抜価格10,000円)、11,000円(うち消費税額等1,000円)、10,000円(税込価格11,000円)が挙げられています。根拠は消費税法63条です。

出典:国税庁「No.6902 「総額表示」の義務付け」

一方、帳票側に求められているのは総額表示ではなく、税率ごとに区分した対価の額と消費税額等です。税抜で書くか税込で書くかは、税率ごとに区分されていれば足ります。Shopifyを内税で運用しているストアなら、帳票も税込ベースで組み立てて、そこから税率ごとの消費税額等を逆算するのが素直です。

軽減税率8%の商品を扱っている場合は、ここに一段階増えます。

税率がひとつなので、端数処理も1回で終わります。帳票に印字するのは「10%対象の対価の合計」と「10%の消費税額等」です。軽減税率対象である旨の記号を付ける必要もありません。いちばん単純な構成です。

軽減税率対象かどうかは商品側の属性で決まります。Shopifyでは商品コレクションと税率のオーバーライドで表現することになるので、新商品を追加したときに設定が漏れないよう、登録手順の中に組み込んでおくのが安全です。帳票の側で後から直すのは、注文が増えるほど大変になります。

適格簡易請求書と適格請求書はどう使い分ける?

BtoCが中心のストアなら、毎回フルスペックの適格請求書を出す必要はありません。国税庁は、記載事項の一部を省略した適格簡易請求書(簡易インボイス)を認めています。宛先は省略でき、適用税率と消費税額等はどちらか一方の記載で足ります。

出典:国税庁「インボイス制度について」

使い分けの現実的な線引きは、宛名が要るかどうかです。

適格簡易請求書で足りる場面

小売として不特定多数のお客様に販売していて、宛名を書く場面がほとんどないケース。レシートや自動発行の領収書がこれに当たります。

適格請求書が必要な場面

法人のお客様が経費精算や仕入税額控除に使う場合。会社名の宛名が求められるので、簡易では足りません。

両方を出せるようにしておく

BtoCだけのつもりでも、法人からの注文は突然入ります。宛名を編集できる状態にしておくと、そのとき手作業に戻らずに済みます。

POSと通販で分かれる場合

店頭はレシート(簡易)、通販は請求書(適格)という運用も成り立ちます。番号体系だけは分けずに通しておくと、控えの管理が楽になります。

領収書としての発行方法そのものはShopifyで領収書を発行する方法に手段別でまとめています。どの手段を選んでも、この記事の6項目と端数処理の話はそのまま当てはまります。

返金や値引きをしたときのインボイスは?

ここまでの話は「売ったとき」の帳票でした。返品や値引きをしたときには、別の書類が出てきます。適格返還請求書です。

国税庁のQ&A問60は、適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されている、としています。記載事項は5つです。

  1. 01

    発行事業者の氏名または名称および登録番号

    売ったときの適格請求書と同じ情報です。
  2. 02

    返還等を行う年月日と、元の取引を行った年月日

    元になった売上の日付も要ります。適格請求書を交付した売上げについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載でも差し支えないとされています。
  3. 03

    返還等の基となる取引の内容

    軽減税率対象だった場合は、その旨も書きます。
  4. 04

    返還等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額

    売上と同じく、税率ごとの区分が要ります。
  5. 05

    返還等の金額に係る消費税額等または適用税率

    こちらは「または」なので、どちらか一方で足ります。

出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問60

ECストアにとって効いてくるのは、同じQ&Aに付いている注記です。売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、適格返還請求書の交付義務が免除されるとされています。少額の返金やクーポン値引きのたびに書類を出さなくてよい、ということです。

Shopifyの返金は注文に対する操作として記録されるので、金額と日付は残ります。ただし、それが適格返還請求書の形になっているわけではありません。1万円以上の返金が発生する商材を扱っているなら、返金時にどの書類を出すかを先に決めておいてください。

送料の返金や一部返金は、金額が小さいので見過ごしがちです。ただし1万円未満の判定は返還等の単位で見ます。高額商品の一部返金が1万円を超えることは普通にあるので、「返金は少額だから大丈夫」と一般化しないでください。

Shopifyの利用料はインボイスをもらえる?

ストア側の対応とは逆向きの話ですが、検索でよく一緒に出てくるので触れておきます。

Shopifyコミュニティに、Shopifyの適格請求書発行事業者の登録番号を尋ねたスレッドがあります。2023年12月のやり取りで、Shopifyヘルプセンターからの回答として、適格請求書発行事業者の登録を行っておらず、今後登録を行う予定も現時点ではないこと、その理由は国外事業者のため消費税納付義務がないことであり、毎月の請求額には日本の消費税は含まれていないことが共有されています。

出典:Shopifyコミュニティ「Shopifyの適格事業者登録番号を教えてください」

つまり、Shopifyの月額利用料について登録番号入りの適格請求書を受け取ることはできません。国外事業者からの役務提供をどう帳簿に載せるかは、リバースチャージの適用有無を含めて判断が分かれるところなので、顧問税理士に確認してください。ここでわたしが言えるのは「Shopifyに登録番号を問い合わせても出てこない」という事実までです。

なお、これは2023年12月時点のスレッドです。方針が変わっている可能性はあるので、経費処理の根拠にするなら最新の案内を自分で確認してください。

Shopify POSのレシートはインボイスになる?

店頭販売がある場合、POSのレシートも同じ問題を抱えます。結論としては、印刷版レシートはカスタマイズできるので、登録番号を載せること自体は可能です。

Shopifyヘルプセンターの印刷版POSレシートのカスタマイズのページには、管理画面のPOSエディターを使うと印刷された領収書のテンプレートをカスタマイズでき、デフォルトで印刷する枚数も選べると書かれています。ヘッダーとフッターにはカスタムLiquidブロックを追加できるとされています。メールとSMSのレシートは別で、管理画面の「設定」から「通知」、「お客様への通知」、「POSとモバイルの領収書」で編集します。

出典:Shopifyヘルプセンター「印刷版POSレシートをカスタマイズする」

ここで注意したいのは、載せられるのは登録番号などの固定文字列までだという点です。税率ごとの消費税額を請求書単位で1回だけ丸め直す処理までPOSレシートで担保できるかは、テンプレートに何を書くか次第になります。店頭の取引が少額かつ10%のみなら実害は出にくいのですが、食品を扱っていて8%が混ざるなら、印字される税額を一度検算しておいてください。

電子帳簿保存法との関係は?

交付した帳票は、発行したら終わりではありません。国税庁は、交付したインボイスの写しは保存しておく必要がある、としています。

出典:国税庁「インボイス制度について」

保存期間については、国税庁のタックスアンサーが7年間としています。ストアを畳んだあとも残しておく必要がある期間なので、アプリの中だけに置いておく運用はおすすめしません。

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

さらに、ECストアでのPDFのやり取りは電子帳簿保存法でいう電子取引に当たります。国税庁の電子帳簿保存法の概要のページは、電子取引を行った場合にその取引に関する電磁的記録を保存しなければならないとしています。メールに添付して送っても、マイページからダウンロードしてもらっても、扱いは同じです。

出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

検索要件の具体的な中身と、売上規模による緩和についてはShopifyの請求書・帳票アプリはどう選ぶ?の判断軸5で扱っているので、そちらを見てください。アプリを選ぶ段階で効いてくる話なので、記事を分けています。

Shopifyでインボイス対応を完了させる手順は?

ここまでの内容を、実行順に並べ直します。上から順に片付ければ終わります。

インボイス対応の手順をひとつずつ確認するイメージ
  1. 1

    登録番号を取得する

    課税事業者であることが前提です。登録申請書はe-Taxで提出でき、郵送なら各国税局のインボイス登録センターが送付先になります。取得済みなら、公表サイトで自分の番号が有効かを確認しておきます。
  2. 2

    Shopifyの税設定を整える

    日本向けは内税運用が前提です。商品価格と配送料に税を含める設定を有効にし、軽減税率対象の商品があればコレクション側で表現します。
  3. 3

    送料への課税を有効にする

    「設定」から「税金と関税」に進み、グローバル設定で配送料に税金を請求する設定を入れます。ここを飛ばすと、税率ごとの合計が必ず合わなくなります。
  4. 4

    帳票の発行手段を決めて登録番号を設定する

    アプリを使うか、Order Printer系のテンプレートを自作するかを決めます。どちらでも、会社情報と登録番号を先に入れておきます。
  5. 5

    テスト注文で6項目と税額を検算する

    10%のみの注文、8%が混ざる注文、送料ありの注文の3パターンを通して、6項目が揃っているか、税額が税率ごとに1回だけ丸められているかを確認します。
  6. 6

    控えの保存先を決める

    発行した帳票の写しを、アプリの外にも定期的に書き出す運用にします。7年間残すことを前提に置き場所を決めてください。

テスト注文は必ず3パターン通してください。10%だけの注文はたいてい問題なく通ります。ずれが出るのは、8%が混ざったときと、送料が乗ったときです。1パターンだけ試して「大丈夫だった」と判断するのが、いちばんよくある失敗です。

まるっと請求書はどこまでカバーしている?

最後に自社アプリの話を1節だけ書きます。冒頭で書いたとおり、わたしはこのアプリの開発者です。この記事で挙げた論点のうち、どこをアプリ側で引き受けているかだけを、App Storeのリスティングに書いてある範囲で整理します。

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この記事の論点との対応は次のとおりです。

  • 法定6項目 — 無料プランを含む全プランで対応
  • 登録番号 — 会社情報と登録番号の2項目を設定すれば帳票に載ります
  • 端数処理の差 — Basic以上の「税額差異の調整」で税率ごとに補正できます
  • 軽減税率8% — インボイス制度と軽減税率8%に自動対応
  • 会計ソフト — freee・弥生・マネーフォワードの端数を税率ごとに補正し、仕訳CSVを出力
  • 控えの保存 — Basic以上で発行済み帳票の検索と一覧のCSV出力

対応言語は日本語のみで、管理画面からサポートまで日本語です。見積書と月末締めの合算請求書はProプランの機能なので、BtoB取引があるかどうかでプランが変わります。他社アプリとの比較はShopifyの請求書・帳票アプリはどう選ぶ?にまとめてあるので、選定の段階ではそちらを見てください。

出典:まるっと請求書|インボイス・B2B(Shopify App Store)

よくある質問

適格請求書を交付することはできません。国税庁のQ&Aは、登録を受けることができるのは課税事業者に限られる、としています。ただし経過措置があり、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降の日)を記載することで、課税事業者選択届出書を出さずに登録できます。この経過措置で登録した場合、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について消費税の申告が必要になります。BtoC中心で法人のお客様がほとんどいないなら、登録しない判断も現実にはあり得ます。損得は取引先の構成で変わるので、税理士に相談してください。

公表されていません。2023年12月のShopifyコミュニティのスレッドでは、Shopifyヘルプセンターからの回答として、適格請求書発行事業者の登録を行っておらず今後の登録予定も現時点ではないこと、理由は国外事業者のため消費税納付義務がないこと、毎月の請求額には日本の消費税が含まれていないことが共有されています。したがって、利用料について登録番号入りの請求書を受け取ることはできません。帳簿上の扱いは顧問税理士に確認してください。

端数処理を行う単位が違うためです。Shopifyヘルプセンターは、税額は項目レベルで端数処理され、各項目に税率を適用して丸めたあと小計を合計すると説明しています。一方、国税庁のQ&A問57は、一の適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行う必要があるとし、個々の商品ごとに丸めた額の合計を消費税額等として記載することは認められないと明記しています。帳票側で、税率ごとの対価の合計から1回だけ計算し直す必要があります。

Shopify管理画面の「設定」から「税金と関税」に進み、グローバル設定で「配送料に税金を請求する」を有効にします。配送料への税が自動計算される国・地域のリストに日本は含まれていないため、自分で設定する必要があります。設定を入れないと、税率ごとの対価の合計に送料が入らず、帳票の内訳と実際の請求額が食い違います。なお送料は原則として標準税率なので、8%の食品だけの注文でも10%の行が立ちます。これは正常です。

なります。国税庁は、所定の事項が記載された書類であれば、領収書や納品書など書類の名称を問わずインボイスになると説明しています。逆に「請求書」と印字されていても、6項目のどれかが欠けていれば適格請求書にはなりません。判断されるのは名前ではなく中身です。小売など不特定多数に販売する業種であれば、宛先を省略し、適用税率と消費税額等のどちらか一方を記載した適格簡易請求書でも足ります。

税込1万円以上の返金なら必要です。国税庁のQ&A問60は、課税事業者に返品や値引き等の対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務があるとしています。同じQ&Aの注記で、返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には交付義務が免除されるとされています。高額商品の一部返金は1万円を超えることがあるので、扱う商材によっては運用を決めておいてください。

帳票に10%と8%の2つの区分が並び、端数処理も税率ごとに1回ずつ、合計2回行うことになります。明細行には軽減税率対象である旨が分かる記号を付けます。ずれが起きる箇所も倍になるので、テスト注文は8%が混ざるパターンを必ず含めてください。加えて、送料は標準税率なので、8%の商品だけの注文でも10%の行が発生します。

国税庁は、交付したインボイスの写しは保存しておく必要があるとしています。保存期間はタックスアンサーで7年間とされています。ECストアでのPDFのやり取りは電子帳簿保存法でいう電子取引に当たるため、電磁的記録として保存することになります。アプリの中だけに置いておくと、解約や乗り換えのときに控えごと失う可能性があります。定期的にPDFやCSVで書き出し、自社のストレージにも残す運用にしておくと安全です。

できますが、端数処理の作り込みが自分の責任範囲になります。登録番号や会社情報を文字列としてテンプレートに書くのは簡単です。難しいのは、税率ごとの対価を集計して1回だけ丸め直す処理をLiquidで書き、テスト注文で検算するところまでです。そこまでやる時間があるかどうかが、自作と有料アプリの分かれ目になります。

まとめ

Shopifyのインボイス対応は、制度の全体を理解しないと進められないように見えて、実際に手を動かす部分は限られています。押さえるのは次の3点です。

  • 適格請求書の6項目のうち、Shopifyの注文データだけで埋まるのは3項目。登録番号、軽減税率対象の表示、税率ごとの消費税額は自分で用意します。
  • 消費税の端数処理は、一の適格請求書につき税率ごとに1回。Shopifyは明細行ごとに丸めるため、そのまま転記すると国税庁が認めない形になります。
  • 送料に消費税を設定していないと、税率ごとの合計が実際の請求額と合いません。日本は自動計算の対象外なので、手動で有効にします。

テスト注文を3パターン(10%のみ、8%混在、送料あり)通して検算するところまでを1セットにしてください。設定が終わった瞬間ではなく、検算が通った瞬間が対応完了です。

→ まるっと請求書をApp Storeで見る

この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

Shopifyインボイス制度適格請求書消費税
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SHIN

この記事の執筆者

SHIN

Pepin代表、Webエンジニアとして10年以上の経歴を持ち、
Shopifyアプリ・ストア開発 / webサービス開発 / メディア運営などマルチに活動。

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