Shopifyの請求書は3種類ある — 違いと使い分け

Shopifyで「請求書」という言葉が指すものは、ひとつではありません。大きく3種類あります。下書き注文からお客様へ送る支払いリンク付きのメール、インボイス制度に対応した帳票として発行する請求書、そしてShopify自身から届く利用料の請求書です。この3つは目的も操作場所もまったく違うのに、管理画面でもヘルプでも同じ「請求書」という言葉が当てられているため、検索しても自分の探している答えにたどり着けません。しかも3つのうち、日本の商慣習に合う帳票としての請求書だけがShopifyの標準機能に存在しません。まずは自分が探しているのがどれなのかを切り分けるところから始めてください。
わたし(SHIN)はShopifyアプリの開発者で、この記事の後半で名前を出す「まるっと請求書」を作っている本人です。だから先に立ち位置を書いておきます。この記事で自社アプリの話をするのは「帳票としての請求書」の節だけで、そこに書く機能と料金はApp Storeのリスティングに表示されているものだけに絞っています。下書き注文と利用料の2つは自社アプリと関係がないので、Shopifyヘルプセンターとコミュニティで確認できた内容だけを書きました。なお、税務の判断そのものはわたしの専門ではありません。仕訳や控除の可否については、最後に必ず顧問税理士に確認してください。
あなたが探しているShopifyの請求書はどれ?
先に振り分けます。次の表で自分の目的に一番近い行を選んで、そこから読んでください。
| あなたの目的 | Shopifyでの呼び名 | 実際に出てくるもの | 該当する節 |
|---|---|---|---|
| お客様に代金を請求して、その場で払ってほしい | 下書き注文の「請求書を送信」 | チェックアウトリンク付きのメール | 下書き注文の節 |
| 取引先や経理に出せる書類(PDF)がほしい | 帳票としての請求書(標準になし) | 請求書・納品書・領収書・見積書のPDF | 帳票の節 |
| Shopifyに払っている利用料の証憑がほしい | 請求 / 請求書をエクスポート | CSVまたはPDFの請求書 | 利用料の節 |
この3つを混ぜたまま「Shopify 請求書」で検索すると、下書き注文の操作手順を読んでいるつもりが帳票アプリの比較記事にたどり着いたり、逆に経理用の証憑を探していたのに下書き注文の解説を読まされたりします。順番に見ていきます。
Shopifyの請求書はなぜ3種類に分かれる?
原因は、英語の invoice という1語が、日本語の実務では別々の書類に割り当てられていることです。
- invoice
英語では「代金の請求を伝える文書」全般を指します。支払いを促すメールも、取引の証憑として保存するPDFも、プラットフォームから届く利用明細も、すべて invoice です。日本語ではこれが「請求書」「納品書」「領収書」「利用明細」に分かれます。
Shopifyは世界中で使われているサービスなので、UIの設計思想は英語の invoice に寄っています。その日本語訳として「請求書」が当てられた結果、まったく別の機能が同じ名前で管理画面に並んでいます。
そのうえで、いちばん大事な事実を先に書きます。 3種類のうち、日本の商慣習で言う「請求書」という帳票だけが、Shopifyの標準機能として存在しません。 下書き注文の請求書メールは存在します。利用料の請求書も存在します。しかし、登録番号と税率ごとの消費税額が印字された、取引先にそのまま渡せるPDFを出す機能は標準にありません。ここを取り違えたまま管理画面を探し回ると、いつまでも見つかりません。
「Shopifyに請求書機能がある」という情報と「Shopifyに請求書機能がない」という情報が両方出てくるのは、書き手が違う種類の請求書について話しているからです。どちらも嘘ではありません。読むときは、その記事がどの請求書の話をしているかを最初に確かめてください。
下書き注文から請求書を送信する手順は?
BtoBの取引や、電話・メールで受けた注文、オーダーメイド品の代金請求など、ストアのカートを通さずに代金を請求したい場面で使います。
- 下書き注文
Shopify管理画面で、お客様に代わってストア側が作成する注文です。商品・数量・価格・送料・ディスカウントを手動で組み立ててから、支払いを受け付けるか、請求書をメールで送ります。
下書き注文で請求書を送るまでの手順
Shopifyヘルプセンターに書かれている手順は次のとおりです。
- 1
下書き注文を作成する
管理画面で「注文管理」から「下書き」を開き、「注文を作成」をクリックします。 - 2
商品を追加する
商品、商品バンドル、カスタムアイテムを追加できます。カスタム価格の設定と価格のロックにも対応しています。 - 3
お客様と条件を整える
新規または既存のお客様を追加し、配送料、住所に基づく税、ディスカウントコードや自動割引を設定します。 - 4
必要なら支払い条件を設定する
Net期間や期日指定といった後払いの決済条件を設定できます。掛け取引の締め日に合わせたいときはここです。 - 5
請求書を送信する
「決済」セクションの「請求書を送信」をクリックします。請求書に記載するメッセージを入力でき、送信前に確認画面で内容を確認できます。
送信された請求書メールには、チェックアウトページへのリンクが記載されます。お客様はそのリンクから請求情報を入力し、配送方法を選択して、決済を送信できます。つまりこれは、書類というより 支払い導線そのもの です。
出典:Shopifyヘルプセンター「下書き注文の請求書を送信する」
送信時に付けられるオプションと、メール文面の編集
送信画面では、商品価格のロック、ディスカウントコードの適用許可、チェックアウト検証ルールの無視を、それぞれ任意で有効にできます。価格をロックしておくと、送信後にストア側で価格が変わってもお客様が見ている金額は動きません。見積もりを出したあとに値上げが挟まる可能性があるなら、ロックしておくほうが揉めません。
文面については、請求書に記載するメッセージを入力できます。ここに振込に関する補足や納期の連絡を入れておくと、別途メールを送る手間が減ります。ただし、メールのレイアウトそのものを大きく作り替えたい場合は、通知テンプレートの編集が必要になります。
下書き注文には保存期限があります。Shopifyヘルプセンターによると、2025年4月1日以降に作成された下書き注文は、1年間操作がないと自動的に削除されます。編集するとタイマーがリセットされます。見積もり代わりに下書き注文を溜めている運用だと、放置した分が消えます。長期保存が必要な見積もりは、下書き注文ではなく帳票として残してください。
下書き注文の請求書は適格請求書になる?
なりません。ここが最大の誤解ポイントです。
国税庁は適格請求書の記載事項として、交付先の氏名または名称、売手の氏名または名称および登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、10%・8%それぞれの対象となる対価の総額および適用税率、10%・8%それぞれの消費税額等の6項目を挙げています。下書き注文の請求書メールには、このうち登録番号と税率ごとの消費税額が入りません。そもそもShopifyの注文データに、適格請求書発行事業者の登録番号を入れる標準のフィールドがないからです。
6項目それぞれがShopifyの注文データのどこに対応するのか、税額の端数処理をどう合わせるのかは、Shopifyのインボイス制度対応と適格請求書の6項目にまとめてあります。この記事では、下書き注文の請求書メールが適格請求書ではないという線引きだけ押さえてください。
「請求書を送信したのだから請求書は発行済み」と考えて、取引先から適格請求書を求められたときに送るものがない、という事故が起きます。代金の請求(下書き注文)と、証憑の交付(帳票)は別の作業です。BtoB取引があるストアは、この2つを別々に運用できる状態にしてから受注してください。
帳票としてのShopify請求書はどう発行する?
ここが「標準機能では足りない」ゾーンです。順番に見ていきます。
Shopify Order Printerでどこまでできる?
Shopifyが公式に出している無料アプリがShopify Order Printerです。ヘルプセンターには、注文のカスタム請求書、明細表、領収書、ラベル、その他のドキュメントが印刷できると書かれています。テンプレートはHTML、CSS、Liquidコードでカスタマイズでき、ドキュメントに表示されるレイアウト、スタイル、情報を管理できます。Shopify POSを使っている場合は、標準プリンターを接続したPOSデバイスから直接請求書を印刷することもできます。
出典:Shopifyヘルプセンター「Shopify Order Printer」
つまり「印刷できる箱」は用意されています。足りないのは中身です。
- 適格請求書発行事業者の登録番号を入れる標準フィールドがない
- 税率ごとに1回だけ端数処理し直した消費税額を自動では出さない
- 日本語の帳票レイアウトは自分でLiquidを書く前提
- お客様が自分で発行する導線は用意されていない
テンプレートを自作する道を選ぶ場合、前提がひとつ変わっているので注意してください。Shopifyヘルプセンターは、従来のOrder Printerアプリについて「廃止され、サポートやメンテナンスも終了しました」と案内しています。新しいShopify Order Printerアプリへはカスタムテンプレートをインポートでき、インポート時に使用されているLiquid変数が可能な限り自動で更新されますが、そのまま完全に動く保証はありません。ネット上に残っている「Order Printer 日本語テンプレート」の記事は、旧アプリ向けのものが混ざっています。
出典:Shopifyヘルプセンター「従来のOrder PrinterアプリからShopify Order Printerアプリへの移行」
インボイス制度に対応した請求書を出すには何が要る?
要点だけ書きます。適格請求書として成立させるには、上に挙げた6項目をすべて印字したうえで、消費税額の端数処理を税率ごとに1回だけ行う必要があります。Shopifyの注文が持っている税額は商品行ごとに丸めたものの合計なので、そのまま転記すると国税庁が認めていない形になります。
この2点の詳細(6項目とShopifyの注文データの対応表、端数処理でずれる具体的な金額)は、Shopifyのインボイス制度対応と適格請求書の6項目で扱っています。どのアプリを選ぶかという比較はShopifyの請求書・帳票アプリはどう選ぶ?にまとめました。この記事では「標準機能では出せないので、アプリか自作かを決める必要がある」というところまでを押さえてください。
なお、帳票の名称そのものに法的な意味はありません。国税庁も「請求書に限らず、所定の事項が記載された書類であれば、領収書や納品書など書類の名称を問わず、インボイスとなります」と説明しています。逆に言えば、表題に「請求書」と書いてあっても記載事項が欠けていればインボイスにはなりません。
支払い完了時の自動発行とセルフ発行
帳票アプリを入れるなら、発行そのものより運用の形を先に決めてください。発行のトリガーは大きく3つあります。
- 01
管理者が手で発行する
依頼が来るたびに管理画面で発行してメールで送ります。月に数件なら十分です。 - 02
支払い完了時に自動発行する
入金が確定したタイミングで自動的に帳票を作ります。領収書は入金確定後でないと出せないので、このトリガーと相性がよい帳票です。 - 03
お客様が自分で発行する
注文履歴から、お客様自身が必要な帳票を発行します。宛名や但し書きを自分で入れてもらえるので、やり取りが発生しません。
わたしが作っているまるっと請求書の場合、支払い完了時の自動発行とお客様による領収書のセルフ発行はどちらもBasicプラン(月$9.99)の機能です。無料プランは月間5件・請求書のみで、インボイス制度の法定6項目と発行前プレビュー、備考欄に対応しています。まず形を確かめたいなら無料プランで1件通してみて、運用に乗りそうなら有料プランへ、という順番が無駄がありません。
出典:まるっと請求書|インボイス・B2B(Shopify App Store)
領収書まわりの選択肢はShopifyで領収書を発行する方法に、会計ソフトへの受け渡しはShopifyと会計ソフトを連携する方法にまとめてあります。
BtoBの月末締め請求書はどう作る?
BtoB取引でつまずくのは、1注文=1請求書にならない点です。同じ取引先から月に何度も注文が入り、月末にまとめて1枚で請求する、という商習慣に標準機能が合いません。
下書き注文の「請求書を送信」を月末締めの代わりに使おうとすると、注文が分かれたまま複数のチェックアウトリンクを送ることになります。取引先からは「1枚にまとめてほしい」と言われますし、こちらも入金消し込みが注文単位で分散します。件数が増えてから直すのは手間なので、掛け取引を始める前に決めておいてください。
まるっと請求書のProプラン(月$19.99)では、月末締めの合算請求書(店舗別小計に対応)、得意先の取引先登録・管理、Shopify B2Bの会社と連携した取引先・店舗での絞り込みが使えます。Shopify側のB2B機能そのものの設定はShopifyのB2B機能で卸売販売を始める方法を参照してください。
見積書についても触れておくと、まるっと請求書ではストアでの見積書作成・管理はProプランの機能です。無料プランやBasicプランには含まれません。見積もりの出し方そのものはShopifyで見積書を発行する方法で扱っています。
出典:まるっと請求書|インボイス・B2B(Shopify App Store)
Shopify利用料の請求書はどこでダウンロードする?
3つ目は、自分が支払う側の請求書です。経費として計上するために、Shopifyの利用料やアプリ課金の証憑がほしいケースです。
Shopifyヘルプセンターによると、請求は管理画面の「設定」から「請求」(請求管理)のセクションで管理でき、「過去の請求」のセクションで履歴を確認できます。任意の請求をクリックすると、詳細情報を確認したり、記録用に請求をエクスポートしたりできます。現在の請求サイクルもここで表示できます。
出典:Shopifyヘルプセンター「Shopifyの請求書」
エクスポートの方法は3通りあります。
管理画面の「設定」から「請求管理」に移動し、過去の請求を選択して「請求書をエクスポート」をクリックします。出力形式はCSV形式かPDF形式を選べます。取引先や経理に1枚だけ渡したいときはこれです。
出典:Shopifyヘルプセンター「請求をエクスポートする」
Shopifyの利用料は仕入税額控除できる?
ここは慎重に書きます。まず、Shopify側がコミュニティで公式に回答している内容です。
Shopifyは「弊社は適格請求書発行事業者の登録を行っておりません。今後登録を行う予定は現時点では予定がございません」と回答しています。理由として、国外事業者のため消費税納付義務がないことを挙げており、あわせて「毎月のご請求額には日本の消費税は含まれておりません」と説明しています。
出典:Shopifyコミュニティ「適格請求書発行事業者の登録番号について」
つまり、Shopifyからダウンロードできる請求書には適格請求書発行事業者の登録番号が入りません。国税庁は仕入税額控除について「課税仕入れ等に係る消費税額を控除するには、その事実を記載し、区分経理に対応した帳簿および事実を証する請求書等の両方を保存する必要があります」としています。登録番号のない書類は、適格請求書としては扱えません。
出典:国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」
もうひとつ、背景として知っておくとよいのが国外事業者からのサービス提供の扱いです。国税庁は、インターネット等を介して行われる役務の提供について、国内・国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されるとしたうえで、役務の性質などから提供を受ける者が通常事業者に限られるものを「事業者向け電気通信利用役務の提供」とし、これを受けた国内事業者が特定課税仕入れとして申告・納税する仕組み(リバースチャージ方式)を説明しています。それ以外の消費者向けのものは、原則として提供を行う国外事業者が申告・納税を行います。
出典:国税庁「No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」
Shopifyの利用料が自社の申告上どう扱われるのかは、取引の区分、自社が課税事業者かどうか、採用している経理方式によって変わります。この記事で言えるのは「Shopifyは適格請求書発行事業者ではない」「Shopify自身が請求額に日本の消費税は含まれていないと説明している」という2つの事実までです。実際の仕訳と控除の可否は、必ず顧問税理士に確認してください。金額としても月額プランとアプリ課金が毎月積み上がる部分なので、最初に一度整理しておくと後が楽になります。
なお国税庁は、インボイスの保存がなくても仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられていることも案内しています。割合と適用期間は時期によって変わるため、判断の前に国税庁のページで最新の表記を確認してください。
取引先に聞かれる「登録番号」はどちらのこと?
まれに、取引先から「Shopifyの登録番号を教えてほしい」と言われることがあります。これは言葉の混線です。取引先が必要としているのは あなたのストア(売手)の適格請求書発行事業者の登録番号 であって、Shopifyという会社の番号ではありません。Shopifyはあくまで販売の場を提供しているだけで、商品の売手はストア運営者です。
自社の登録番号は、帳票に印字できる状態にしておく必要があります。Shopifyの注文データには登録番号の標準フィールドがないため、メタフィールドか帳票アプリ側の設定として自分で持たせます。ここを空欄のまま運用していると、BtoBの取引先から差し戻されます。
Shopifyの請求書を自動で発行・送信できる?
「自動」という言葉も、3種類のどれを指すかで答えが変わります。
| 何を自動化したいか | 実現できるか | 使うもの |
|---|---|---|
| 下書き注文の請求書メール | 手動送信が基本。作成後に送ります | 管理画面の「請求書を送信」 |
| 帳票としての請求書・領収書 | 支払い完了時の自動発行に対応するアプリがあります | 帳票アプリ(まるっと請求書はBasic以上) |
| Shopify利用料の請求書 | 請求サイクルごとに自動で作られます | 設定 > 請求管理からエクスポート |
下書き注文の請求書は、注文を組み立てる作業自体が人の判断を伴うため、完全な自動化には向きません。逆に帳票としての請求書・領収書は、支払い完了というイベントがはっきりしているので自動化と相性がよい領域です。「請求書を自動で送りたい」という要望の多くは、実際には帳票側の自動発行で解決します。
自動発行を設定するときは、必ずテスト注文を1件通して、印字される日付・宛名・税額を目視してください。とくに宛名は、注文者名を使うのか会社名を優先するのかで運用が分かれます。自動で出し始めてから直すと、すでに交付した分と書式が変わってしまいます。
請求書・納品書・領収書・見積書はどう使い分ける?
3種類の切り分けができたら、次は帳票の種類です。日本のEC運営で必要になるのは主に4つです。
代金を請求する書類です。BtoB取引では支払期日と振込先の記載を求められることが多くなります。支払いの前に出します。
何を何個納めたかを示す明細です。商品に同梱することが多く、金額を伏せた「金額なし」版を求められる場面もあります。
支払いが済んだことの証明です。入金が確定してからでないと出せません。宛名と但し書きの編集可否が実務上の分かれ目になります。
取引前に金額を提示する書類です。対応しているアプリが少なく、BtoB比率が高いストアでは効いてきます。
繰り返しになりますが、インボイスとして成立するかどうかは名称ではなく記載事項で決まります。領収書しか出せないアプリでも、6項目を満たしていればインボイスになります。「請求書が出せるか」ではなく「必要な項目が印字できるか」で判断してください。
消費税そのものの設定(税率、軽減税率、内税表示)でつまずいている場合は、Shopifyで消費税の設定を正しく行う方法を先に確認してください。帳票に出る金額は、そもそもストア側の税設定が正しくないと合いません。
3種類を取り違えるとどうなる?
実際に起きやすい詰まり方を並べておきます。自分に当てはまるものがないか確認してください。
- ケース1
下書き注文の請求書を送って終わりにする
代金は回収できますが、取引先の経理から適格請求書を求められた時点で出すものがありません。あらためて帳票を発行する手段が必要になります。
- ケース2
Shopifyの利用料の請求書を取引先に渡そうとする
これはShopifyからあなたへの請求であって、あなたから取引先への請求ではありません。まったく別の書類です。
- ケース3
Order Printerを入れたのに日本語の請求書が出ない
テンプレートはHTML・CSS・Liquidで自分で組む前提です。入れただけでは日本の帳票にはなりません。自作の時間を取れないなら、日本の商慣習に合わせたアプリを検討してください。
- ケース4
Shopifyの利用料を仕入税額控除に入れてしまう
Shopifyは適格請求書発行事業者の登録をしていないと回答しています。処理方法は顧問税理士に確認してください。
どのケースも、最初に3種類を切り分けておけば避けられます。ストアを立ち上げた直後に決めておくと、受注が増えてから慌てずに済みます。
よくある質問
なりません。下書き注文の請求書はチェックアウトページへのリンクが記載されたメールで、目的は代金の回収です。国税庁が定める適格請求書の記載事項のうち、売手の登録番号と税率ごとの消費税額等が入りません。Shopifyの注文データには適格請求書発行事業者の登録番号を入れる標準のフィールドがないためです。取引先に適格請求書を渡す必要があるなら、帳票を発行する手段を別に用意してください。
何を自動化したいかによります。下書き注文の請求書メールは、注文を組み立ててから手で送るのが基本です。一方、帳票としての請求書や領収書は、支払い完了をトリガーに自動発行できるアプリがあります。わたしが開発しているまるっと請求書では、支払い完了時の自動発行とお客様によるセルフ発行がBasicプラン以上の機能です。自動化したいのが「代金の請求」なのか「証憑の交付」なのかを先に決めると、探す先が定まります。
Shopifyはコミュニティで、適格請求書発行事業者の登録を行っておらず、今後登録する予定も現時点ではないと回答しています。理由として国外事業者のため消費税納付義務がないことを挙げ、毎月の請求額には日本の消費税は含まれていないとしています。国税庁は仕入税額控除に帳簿と請求書等の両方の保存が必要としており、登録番号のない書類は適格請求書として扱えません。ただし自社の申告上どう処理するかは取引区分や経理方式で変わるため、必ず顧問税理士に確認してください。
管理画面の「設定」から「請求」(請求管理)に移動します。「過去の請求」から任意の請求をクリックし、「請求書をエクスポート」でCSV形式かPDF形式を選べます。履歴をまとめて出したい場合は、横並びのメニューから「請求をエクスポート」を選ぶとCSVで送信されます。「請求明細書」のセクションでは、過去90日以内の任意の期間を選んでエクスポートできます。90日の制限があるので、定期的に手元へ落としておくと安全です。
請求書は代金を請求する書類で、支払いの前に出します。納品書は何を何個納めたかを示す明細で、商品に同梱することが多い書類です。ただしインボイス制度では、書類の名称そのものに意味はありません。国税庁は「請求書に限らず、所定の事項が記載された書類であれば、領収書や納品書など書類の名称を問わず、インボイスとなります」としています。名称ではなく、記載事項が揃っているかで判断してください。
下書き注文では、Net期間や期日指定といった後払いの決済条件を設定できます。ただし請求は注文単位なので、同じ取引先の複数注文を1枚にまとめる月末締めの合算請求書は標準では作れません。まるっと請求書のProプランでは、月末締めの合算請求書(店舗別小計に対応)、取引先の登録・管理、Shopify B2Bの会社と連携した絞り込みに対応しています。掛け取引を始める前に、締め日と請求単位を決めておいてください。
方法は2つあります。1つはShopify Order Printerで、無料で使えますが、テンプレートはHTML・CSS・Liquidで自分で組む前提です。日本の帳票にしたい場合は自作になります。もう1つは無料プランのある帳票アプリを使う方法で、まるっと請求書の無料プランは月間5件・請求書のみ、インボイス制度の法定6項目に対応しています。発行が月に数件で、必要なのが請求書だけなら無料プランで足ります。件数が増えるか、領収書や納品書も必要になった時点で有料プランを検討してください。
注意が必要です。Shopifyヘルプセンターは、従来のOrder Printerアプリについて廃止され、サポートやメンテナンスも終了したと案内しています。ネット上に残っている解説の多くは旧アプリ向けで、そのままでは動きません。新しいShopify Order Printerアプリへはカスタムテンプレートをインポートでき、Liquid変数が可能な限り自動で更新されますが、手直しが必要になることもあります。いまから着手するなら新しいアプリの上で作ってください。
取引先が求めているのは、売手であるあなたのストアの適格請求書発行事業者の登録番号です。Shopifyという会社の番号ではありません。Shopifyは販売の場を提供しているだけで、商品の売手はストア運営者です。自社の登録番号を帳票に印字できる状態にしておいてください。Shopifyの注文データに登録番号の標準フィールドはないため、メタフィールドか帳票アプリ側の設定として保持する必要があります。
標準機能にはありません。下書き注文を見積もり代わりに使う運用もありますが、2025年4月1日以降に作成された下書き注文は1年間操作がないと自動的に削除されるため、長期保存には向きません。帳票として残すなら、見積書に対応したアプリが必要です。まるっと請求書では、ストアでの見積書作成・管理はProプランの機能になります。
まとめ
Shopifyの請求書でつまずく原因は、機能が足りないことではなく、3つの別物が同じ名前で並んでいることです。切り分ける順番はこうなります。
- 1
自分の目的がどれかを決める
代金を回収したいのか、証憑を交付したいのか、自分が払った分の証憑がほしいのか。この3つのどれかです。 - 2
代金の回収なら下書き注文を使う
管理画面の「注文管理」から「下書き」で注文を作り、「決済」セクションの「請求書を送信」で送ります。これは適格請求書ではありません。 - 3
証憑の交付ならアプリか自作を決める
標準機能では登録番号と税率ごとの消費税額が出ません。Order Printerでテンプレートを自作するか、日本の帳票に対応したアプリを入れるかを決めます。 - 4
利用料の証憑は設定から落としておく
「設定」から「請求管理」に移動し、請求書をCSVかPDFでエクスポートします。請求明細書は過去90日の制限があるので定期的に落としてください。



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