How to Design Payment Timing for Apparel Pre-order Events: Prepayment, Deposits and the Japanese Rules Behind Them
書いた人 大島慎平
受注会の前払いをどう設計するかは、「お客さまが払いやすいか」ではなく「商品を渡す前にお金を受け取る取引として、何を先に伝えておく必要があるか」で決まります。結論から言うと、 全額前払いを既定にして、採寸しないと金額が決まらないときだけ手付金2段階に降ろす のが確実です。後払いは、回収の手間よりも先に、支払時期の表示と納期の伝え方が崩れるので勧めません。
この記事の守備範囲は 受注会の決済タイミングの設計 だけです。当日の来場枠と受注の記録の残し方は 受注会の予約管理と当日運営、サイズ・カラー別の受注枠の割り当ては 受注会の在庫管理、お客さまに送る文面は 受注会の案内文テンプレ にそれぞれ置いています。
わたし(SHIN)はShopifyの予約アプリ「まるっと予約」を作っている開発者で、記事の後半で自分のアプリに触れます。利益相反のある立場なので、先に弱点を書いておくと、まるっと予約のApp Storeのレビューは3件(★5.0)で、3件とも、わたしがお付き合いのある事業者様にお願いして投稿していただいたものです。Built for Shopify認定も未取得です(2026年10月6日にApp Storeで確認)。また、わたしはアパレルブランドの運営者でも弁護士でもありません。ここに書くのは条文と公式ヘルプで確認できる内容と、そこから導ける段取りだけで、法律助言ではありません。個別の契約が適法かどうかは、必ず弁護士などの専門家に確認してください。
受注会の前払いは3つのどれを選ぶ?
- 決済タイミング
お客さまが代金を支払う「時点」のことです。受注会では、商品を渡すより前に払ってもらうか、渡すときに払ってもらうかで、適用される表示義務も、キャンセル時にできることも変わります。
選べるのは次の3つです。名前は業界によってまちまちですが、分かれ目は「商品を渡す前に、いくら受け取っているか」の一点だけです。
- 01
全額前払い
受注が決まった時点で代金の全額を決済します。金額が先に確定している既製サイズの展開に向いています - 02
手付金2段階
受注時に一部だけ決済し、採寸や仕様の確定後に残金を請求します。オーダーや別注のように、その場では金額が決まらないときの形です - 03
後払い・店頭支払い
商品を渡すとき、または納品後にまとめて決済します。回収の手間が最後まで残ります
どれを選ぶかは、次の2つの問いだけで決まります。感覚で選ぶ場所ではありません。
- 1
受注の時点で金額が確定しているか
既製サイズの展開で、価格表がそのまま使えるなら全額前払いが成立します。採寸してからでないと総額が出ない別注・オーダーは、受注の時点で請求額を書けないので、全額前払いは構造的に組めません。
- 2
納期を期限か期間で言い切れるか
前払いを受け取るなら、引渡しの時期を「期間または期限」で伝える義務があります(後述)。工場の枠が押さえられておらず「だいたい春ごろ」しか言えない状態なら、先にそこを詰めるのが順番です。
「お客さまが払いやすいほうを選ぶ」は判断軸になりません。 前払いにするかどうかで、こちらに生じる表示義務と、キャンセル時に請求できる上限の根拠が変わります。先に決めるのは法令とお金の流れで、伝え方はそのあとです。
受注会で全額前払いにしていいのはどんなとき?
全額前払いは、受注会の運営としてはいちばん軽い形です。ただし条件があります。
会場でレジを立てる必要がなくなり、釣り銭も端末も要りません。会場が小さいほど効きます
生地や副資材の発注は会期の直後に締切が来ることが多く、入金が先にあると資金繰りの読みが立ちます
未収金の回収という作業が最初から存在しません。判断すべきことが1つに減ります
別注・オーダーは受注時に総額を書けません。ここは手付金2段階に降ろすしかありません
商品を渡すまでに時間がかかる受注会は、まさにこの義務の対象です。詳しくは次の章に書きます
全額返金の線をどこに引くかは、この手数料を自分で飲める範囲で決めることになります
全額前払いを選んでよい条件は3つです。
- 受注の時点で、税込の総額が確定している
- 引渡しの時期を、期限または期間で言い切れる
- キャンセルを受け付ける期限と、返金するかどうかを先に決めてある
このうち1つでも欠けるなら、前払いの金額を下げて手付金2段階にするほうが、あとで揉めません。
受注会の前払いで特定商取引法は何を求める?
受注会の申込みをオンラインのフォームやDM、メールで受けているなら、それは特定商取引法でいう通信販売にあたります。そして、商品を渡す前に代金の全部または一部を受け取る形は「前払式」と呼ばれ、追加の義務が乗ります。
- 前払式通信販売の承諾等の通知(特定商取引法 第13条)
消費者が商品の引渡しを受ける前に、代金の全部または一部を支払う通信販売で、代金を受け取ったあと商品の引渡しに時間がかかるときは、事業者は申込みの諾否などを記載した書面を渡さなければならない、という規定です。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、この書面に書く事項を6つ挙げています。受注会は納品まで数週間から数か月かかるのが普通なので、まず間違いなく対象になります。
前払いを受け取ったあとに通知する6項目
- 申込みを承諾したかどうか代金を受け取る前に承諾の有無を伝えているなら、その旨。承諾しないときは、受け取ったお金をすぐ返すことと、その方法を明らかにする
- 事業者の氏名・住所・電話番号屋号だけでは足りません。連絡が取れる形で書きます
- 受け取った金額それ以前にも受け取っているときは、その合計額
- お金を受け取った年月日手付金と残金で2回受け取るなら、それぞれの日付が必要になります
- 申込みを受けた商品とその数量サイズ・カラーまで書いておくと、あとの照合が楽になります
- 引渡しの時期承諾するときは、期間または期限を明らかにする形で書きます
同じガイドは、遅滞なく商品を送る場合の「遅滞なく」を、取引の実態からみて 1週間程度 としています。受注会はここに収まらないので、通知を省ける取引ではないと考えておくのが安全です。
広告の側でも、前払いだと省略できない項目がある
もう1つ、見落としやすいのが広告の表示義務(法第11条)です。通信販売の広告に書く事項には省略が認められるものがありますが、消費者庁のガイドの一覧表では 前払いの場合、代金の支払時期は省略できない 扱いになっています。後払いなら省略できる欄が、前払いにした瞬間に埋めなければならない欄に変わります。
返品についても同じで、返品の可否・期間などの条件と、返品の送料負担の有無は省略できません。受注生産品を返品不可にするなら、その特約を先に表示しておく必要があります。表示していなければ、商品の引渡しを受けた日から8日以内は、お客さまの送料負担で返品できるのが原則です(法第15条の3)。
案内文に入れる具体的な文面は 受注会の案内文テンプレ 側にまとめてあります。この記事では「前払いにすると、どの項目が省略できなくなるか」までを扱います。
受注会の前払いはいくらまで取れる?
ここがいちばん誤解の多いところです。「手付金は代金の何割が相場か」という問いには、法令の側から答えが出ません。
結論:相場は書けません。 キャンセル料や違約金の上限は、業界の慣習ではなく、自分のブランドに生じる「平均的な損害の額」で決まるからです。よそのブランドの3割を写しても、その数字を支えているのはよそのブランドの原価です。
消費者契約法9条1項1号は、解除に伴う損害賠償額や違約金を定める条項のうち、「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」を超える部分を無効としています。無効になるのは超えた部分だけで、条項が丸ごと消えるわけではありません。
- 消費者契約法 第9条第1項第1号(抜粋)
当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの(当該超える部分について無効)
同じ9条の2項は、キャンセル料を請求する場面でお客さまから説明を求められたら、算定根拠の概要を説明するよう努めることを求めています。努力義務ではありますが、裏を返せば 説明できる計算を先に持っていないと、請求の場面で詰まる ということです。
金額は相場ではなく、回避できない支出から逆算する
金額の決め方そのものは 予約のデポジットはいくら? に4つの手順としてまとめてあるので、ここでは受注会に当てはめた形だけ書きます。数えるのは「その受注がなくなったとき、もう取り消せない支出はいくらか」です。
- 1
その1件に対して動くお金を書き出す
生地と副資材の発注額、工場の最低ロットを割ったときの差額、会場費とスタッフ費の1件あたりの按分、サンプルの往復輸送費。受注会は費目が会期単位でまとまっているので、会期の総額を受注件数で割る形になります。
- 2
いつ、その支出が取り消せなくなるかを調べる
生地の発注を止められる締切、工場の生産枠を落とせる締切、会場のキャンセル料が発生する日時。費目ごとに日時が違うのが普通なので、金額の横に日時を書き添えます。この日時が、のちのち返金の線を引く場所になります。
- 3
キャンセルされた枠を埋め直せた割合を数える
会期中にキャンセルが出たとき、別のお客さまで枠が埋まったなら損害はその分小さくなります。過去の会期の「キャンセル件数」と「そのうち埋め直せた件数」を数えれば割合が出ます。初回開催で実績がないなら、そこは「まだ数えていない」と認めて、低い金額から始めるほうが安全です。
- 4
回避できない支出に、埋め直せない割合を掛ける
手順1と2で出た「その時点で回避できない支出」に、手順3の裏返しを掛けます。出てきた金額が1件あたりの見込み損失で、手付金やキャンセル料はこの金額を上限の目安に置きます。
以下の数字は、計算の流れを見せるための仮置きです。相場でも実例でもありません。自分の伝票と工場の見積もりから拾った数字に置き換えてください。
税込44,000円のコートを受注し、会期の3日後に生地を発注する段取りだとします。生地と副資材で12,000円、会場費とスタッフ費の1件あたりの按分で3,000円が、発注後は取り消せないとします。過去の会期で、キャンセルが出た枠のうち別のお客さまで埋め直せたのが4件に1件だったとすると、埋め直せない割合は75%です。
結果として税込価格の約26%になりましたが、 26%という数字そのものに意味はありません。 意味があるのは「15,000円」と「75%」のほうです。生地の単価や工場の締切が違えば、同じ手順から10%も80%も出ますし、そのどちらも説明できます。
金額を先に決めて根拠をあとから探すと、説明を求められた場面で必ず苦しくなります。順番を逆にするだけで、書ける文面が変わります。
線を引く日付も、この計算から決まります。生地の発注前なら回避できる支出が多いのでキャンセル無料、発注後は回避できないので手付金を返金しない、という組み方です。「本生産に入ったら全額」と書きたくなりますが、その時点で本当に全額が取り消せない支出になっているかは、工場との取り決めを見ないと分かりません。
受注会の前払いは前払式支払手段にあたる?
前払いで預かる金額が積み上がってくると、「これは資金決済法の前払式支払手段にあたるのでは」という不安が出てきます。線引きを条文で確認しておきます。
結論:特定の商品の代金として前払いを受けるだけなら、前払式支払手段にはあたりません。 金額や数量を記録した証票や番号を、その対価と引き換えに発行していないからです。
資金決済法3条1項は、前払式支払手段を2つの類型で定義しています。1号は、証票や電磁的記録に 記載・記録された金額に応ずる対価を得て発行される 証票等・番号等であって、代価の弁済に使えるもの。2号は、物品や役務の 数量に応ずる対価を得て発行される 証票等・番号等であって、その給付を請求できるものです。
受注会で「このコートのMサイズ、税込44,000円」を前払いしてもらう取引には、この「発行される証票等」がありません。あるのは1件の売買契約と、その代金の前受けだけです。だから前払式支払手段の定義に入らない、というのが線引きの理由です。
券の形を取ってしまった場合は、自分で発行して自分の店でだけ使えるもの(自家型)にあたり、金額の規模で義務が変わります。基準日(毎年3月31日と9月30日)の未使用残高が初めて1,000万円を超えたら内閣総理大臣への届出が必要で(法5条1項)、未使用残高が1,000万円を超えるときはその2分の1以上を供託しなければなりません(法14条1項、施行令6条)。逆に、発行の日から6か月以内に限って使えるものは、適用除外になります(法4条2号、施行令4条2項)。
券の形にしない、が実務上いちばん簡単な回避策です。 「金額だけ先に預かって、あとで好きな商品と引き換え」という設計にすると、線を踏みにいくことになります。受注会では商品・サイズ・数量を注文として確定させてから前払いを受けてください。なお、該当するかどうかの最終判断は、金額や運用の実態を見たうえで専門家に確認してください。
手付金2段階はどこで線を引く?
採寸や仕様の確定が必要で、受注の時点では総額が決まらない。このときだけ手付金2段階にします。流れはこうなります。
- 受注時
手付金を決済する
商品・サイズ・数量が仮で決まった時点で、手付金だけをチェックアウトで受け取ります。この時点で前払式の通知が必要になるので、受け取った額と日付、引渡し時期を書いた確認メールを送ります
- 会期中
採寸と仕様を確定する
当日または後日、寸法と素材・付属を確定し、総額を出します。ここまでは回避できる支出が多いので、キャンセルを受けても損害は小さく収まります
- 発注の締切前
残金を請求する
総額から手付金を引いた残りを、チェックアウトリンク付きの請求書で送ります。支払期限は、生地の発注を止められる締切より前に置きます
- 締切後
本生産を発注する
残金の着金を確認してから工場へ発注します。順番を逆にすると、回避できない支出を自分で増やすことになります
手付金の額は、会期中に回避できなくなる支出に合わせます。 会期の直後に生地を発注するなら、生地代の分までは手付金で押さえておくと計算が合います。残金の期限を発注の締切より前に置くのは、そのためです。
受注会の前払いをShopifyでどう受け取る?
Shopifyで前払いを受け取る道は3つあります。それぞれ前提条件が違います。
受注会用の商品を作り、通常の商品として販売します。全額前払いはこれで終わりです。受注枠をどう作るかは 受注会の在庫管理 側に書いています。
引渡しまで時間が空くので、注文確認メールの文面に、受け取った額・日付・引渡し時期を入れておきます。既定のテンプレートのままだと、引渡し時期の欄がありません。

ポリシーはチェックアウトのどこに出るのか
Shopify管理画面の「設定」から「ポリシー」で、返品ポリシー・利用規約・配送ポリシー・特定商取引法に基づく表記などを追加できます。追加したポリシーは チェックアウトページのフッターに自動でリンクされます。 返品ポリシーへのリンクは、注文内容の確認ページにも出ます。
ここで注意したいのが、「規約に同意する」というチェックボックスは標準機能として用意されていない、という点です。チェックアウトに同意のブロックを足す場合は、インストールしたアプリが提供するブロックを、チェックアウトとアカウントのエディタから追加する形になります。標準のチェックアウトにあるのはフッターのリンクだけなので、「チェックボックスで同意を取ったつもり」になっていないか、公開前に自分の目で確認してください。
出典:ストアポリシーを追加する(Shopify ヘルプセンター)
ポリシーテンプレートの自動生成は、英語のチェックアウトでしか使えません。 フランス語・イタリア語・スペイン語で一部が生成できるほかは、自分で文面を用意する必要があります。日本語で運営しているなら、ここは手で書く場所です。
返金すると決済手数料は戻らない
全額前払いを取る以上、返金の線をどこに引くかは手数料とセットで決める話になります。Shopifyヘルプセンターは、Shopify ペイメントで処理した注文を返金・キャンセルした場合、クレジットカード手数料は返金されないと明記しています。外部の決済ゲートウェイを使っていても、ストアのある国で Shopify ペイメントが使えるなら取引手数料は戻りません。日本のストアはこちらに該当します。
オンラインの標準カード料率はプランによって変わり、Basic 3.55%、Grow 3.4%、Advanced 3.25%、Plus 2.9%(いずれも2026年9月19日時点、日本の料金ページで確認)。税込44,000円の受注を Grow プランで全額返金すると、約1,496円が戻ってきません。手付金だけを返す設計にしておくと、飲む額はその分だけ小さくなります。
返金まわりで先に知っておくこと
- 管理画面で開始した返金は、キャンセルも取り消しもできない
- 一部返金しても、お客さまは注文の全額に対してチャージバックを申請できる
- 誤って返金してしまったら、新しい下書き注文を作って受け直すことになる
来場予約そのものをShopify側で受け付けるなら、まるっと予約では来場枠をShopifyの商品として売るので、手付金ぶんの金額を枠の価格に据えておけば、予約の時点でその額だけを受け取れます。ただしレビューは3件(★5.0)で、3件とも、わたしがお付き合いのある事業者様にお願いして投稿していただいたものです。Built for Shopifyも未取得なので、実績の量で選びたい場合は他のアプリと並べて比べたほうが早いです。残金の請求リンクは まるっと請求書 でも発行できます。
決めたあとは何を見ればいい?
決済タイミングを変えたら、会期ごとに同じ指標を並べて比べます。件数だけを見ると判断を誤ります。
会期ごと
受注完了率
支払いによる離脱を確認会期ごと
キャンセル率
発注締切の前後で分けて数える会期ごと
返金後の最終売上
返金と決済手数料を引いた額で比較前払いにすれば、受注の時点で払う額が増えるぶん件数は減りえます。それでも、1件あたりの見込み損失を金額で出してあれば「件数は減ったが最終売上は上回っている」かどうかで判断できます。最終売上が下回るなら、手付金の額を下げる、割合から説明しやすい固定額に変える、対象を高単価のアイテムだけに絞る、の順で調整するのが安全です。

よくある質問
受注の時点で税込の総額が確定していて、引渡しの時期を期限か期間で言い切れるなら、全額前払いから始めてかまいません。採寸や仕様の確定が必要で、その場では総額が書けないなら手付金2段階です。判断はお客さまの心理ではなく、この2つの条件で決まります。どちらの場合も、代金を受け取ったあとに、受け取った額・受け取った日・引渡しの時期を書いた通知を送る必要があります。
相場という形では書けません。キャンセル料や違約金の上限は、消費者契約法9条1項1号により、同種の契約の解除に伴い自分の側に生ずべき平均的な損害の額までです。よそのブランドの割合を写しても、その数字を支えているのはよそのブランドの原価なので、説明を求められたときに答えられません。生地・副資材・会場費のうち、その時点で回避できない額を数え、キャンセルされた枠を埋め直せなかった割合を掛けた金額を上限の目安にしてください。パーセントは計算の結果であって、出発点ではありません。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、前払式通信販売の承諾等の通知(法13条)として6つの事項を挙げています。申込みを承諾したかどうか、事業者の氏名・住所・電話番号、受け取った金額、受け取った年月日、申込みを受けた商品とその数量、そして承諾するときは引渡しの時期です。引渡しの時期は「期間または期限を明らかにする」形で書く必要があるので、「春ごろ」のような書き方では足りません。承諾しない場合は、受け取ったお金をすぐ返すことと、その方法も明らかにします。
特定の商品の代金として前払いを受けるだけなら、あたりません。資金決済法3条1項が定義しているのは、記録された金額や数量に応ずる対価を得て発行される証票等・番号等であって、受注会の注文にはその「発行される証票」が存在しないからです。ただし、金額を刷ったお仕立券や商品引換券、ギフトカードのような形にすると話が変わります。自家型として、基準日の未使用残高が1,000万円を超えれば届出が、超えるときはその2分の1以上の供託が必要になります。券の形にしないのがいちばん簡単な整理です。
本生産の発注後であっても、「全額が回避できない支出になっている」ことを説明できるかどうかで決まります。工場との取り決めで途中解約ができる、生地は他のロットに回せる、といった事情があれば、その分は平均的な損害から外れます。消費者契約法9条2項は、請求の場面で説明を求められたら算定根拠の概要を説明するよう努めることを求めているので、金額を決めた計算を先に手元に置いておいてください。個別の条項が有効かどうかは、契約の内容と実際に生じた損害によって変わるので、弁護士などの専門家に確認してください。
商品を渡す前に受け取った代金は、受け取った時点では前受金として扱い、引渡しが完了した時点で売上に振り替えるのが原則です。受注会は会期と納品が年度をまたぐことがあるので、処理のルールは税理士に確認してください。わたしは税理士ではないので、ここは段取りの話として読んでください。
まとめ:受注会の前払いをどう決めるか
- 全額前払いを既定にし、 採寸しないと金額が決まらないときだけ 手付金2段階へ降ろす
- 前払いを受け取ったら 特定商取引法13条の6項目 を通知する。引渡し時期は期限か期間で書く
- 前払いにすると、広告でも 支払時期を省略できなくなる(法11条)
- キャンセル料の上限は 消費者契約法9条1項1号の平均的な損害。相場は根拠にならない
- 券の形にしなければ 前払式支払手段にはあたらない。お仕立券や引換券は別の話になる
引渡し時期を期限で言えない状態では、前払いを受け取る条件がそろいません。
生地・副資材・会場費を実額で拾います。推測で埋めると説明できません。
返金の境目は、支出が取り消せなくなる日時に合わせます。
決済・キャンセル・部分返金まで、公開前に自分の目で確認します。
受注会の前払いは、お客さまを縛るための仕組みではありません。商品を渡す前にお金を預かる以上、何をいつ渡すのかを先に書いて渡す、というだけの話です。書いてあれば、聞かれたときに答えられます。
2026年9月19日時点の情報です。法令の内容は e-Gov 法令検索と消費者庁の特定商取引法ガイド、Shopify の仕様はヘルプセンターと料金ページ、まるっと予約の情報は App Store のリスティングで確認しています。本記事は一般的な情報であり、個別の決済設計やキャンセル料が適法かどうかを判断する法律助言ではありません。最終的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。

この記事の執筆者
大島慎平(SHIN)個人開発者 / ソロプレナー
日本のShopifyストア向けアプリ「まるっとシリーズ」を、AIのコーディングツールと一緒に1人で企画・開発・運営しています。書籍編集者からWebエンジニアに転じて約10年。YouTubeでは、1人で事業をつくる過程を話しています。

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