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Pepinby SHIN
Shopify2026-04-037分で読めます

EC Pricing Strategy Guide — How to Maximize Profit with Smart Pricing

EC Pricing Strategy Guide — How to Maximize Profit with Smart Pricing
ECサイトの価格分析イメージ

「いくらで売ればいいのか、正直よくわからない」。ECサイトを始めたばかりの方にとって、値付けほど悩ましい問題はないかもしれません。

安くすれば売れるけど利益が残らない。高くすれば利益は出るけど売れない。この板挟みの中で「なんとなく」価格を決めてしまっている方は、実はかなり多いです。

でも、価格はECサイトの売上と利益を左右する 最大のレバー です。たった数百円の違いが、年間の利益を数十万円変えることもあります。

わたしもShopifyストアの運営に携わる中で、値付けひとつで売上の伸びがまるで変わる場面を何度も見てきました。この記事では、ECサイトの価格設定の基本から、すぐに使える実践テクニックまでをまとめて解説します。

なぜ「なんとなくの値付け」が危険なのか

約7割
価格設定に不安があるEC事業者の割合
約11%
1%の値上げで利益が改善する割合

出典:Harvard Business Review — The 1% Windfall

多くのEC事業者が値付けに不安を感じているにもかかわらず、「原価に適当な利益を乗せただけ」「競合と同じくらいの価格にした」という決め方をしています。

これが危険な理由は明確です。

  1. 01

    利益率がコントロールできない

    原価や経費が変動したときに、どこまで値下げできるかの判断基準がないため、赤字に気づきにくくなります。
  2. 02

    価格競争に巻き込まれる

    「競合より安くする」だけの戦略では、より安い競合が現れるたびに利益が削られる一方です。
  3. 03

    ブランド価値を自ら下げてしまう

    安売りが常態化すると「安いから買う」お客様しか集まらなくなり、値上げが難しくなります。

まずは「自分のストアにとって適正な価格とは何か」を理解するところから始めましょう。

価格設定の3つの基本アプローチ

ECサイトの値付けには、大きく分けて 3つの考え方 があります。どれかひとつだけを使うのではなく、組み合わせて判断するのがポイントです。

1. コストベース(原価積み上げ方式)

コストベース価格設定

商品の仕入れ原価にすべてのコスト(送料、梱包材、手数料、広告費など)を加え、そこに目標利益を上乗せして販売価格を決める方法です。もっとも基本的で、計算がシンプルなのが特徴です。

計算式はこうなります。

販売価格 = (仕入れ原価 + 諸経費)÷(1 − 目標利益率)

たとえば仕入れ原価が1,000円、諸経費(送料・梱包・決済手数料など)が500円、目標利益率を30%にしたい場合は次のようになります。

  1. 1

    原価と経費を合算する

    1,000円 + 500円 = 1,500円
  2. 2

    目標利益率で割り戻す

    1,500円 ÷(1 − 0.3)= 1,500 ÷ 0.7 = 約2,143円
  3. 3

    販売価格を決定する

    端数を調整して 2,180円 や 2,200円 に設定

コストベースの落とし穴は「お客様が感じる価値」を無視しがちなことです。計算上は正しくても、お客様が「高い」と感じれば売れません。必ず次の2つの視点と組み合わせましょう。

2. 競合ベース(市場比較方式)

同じカテゴリの競合商品の価格を調べて、自社の立ち位置を決める方法です。

競合価格の比較分析

具体的なステップは次のとおりです。

  • Amazon・楽天・メルカリShopsなど主要モールで同カテゴリの商品を10〜20点リストアップ
  • 価格帯の上限・下限・中央値を把握する
  • レビュー数や販売実績の多い「売れ筋商品」の価格帯を特定する
  • 自社商品の強み(品質・デザイン・付加価値)に応じてポジションを決める

ただし、競合ベースだけで価格を決めると「安さ勝負」に陥りがちです。とくにモール出店の場合は価格比較が容易なため、自社ECサイトとモールで異なる価格戦略を取ることも検討してみてください。

3. バリューベース(価値基準方式)

バリューベース価格設定

お客様が商品に感じる「価値」を基準に価格を決める方法です。原価ではなく、「お客様はこの商品にいくらなら払うか」を起点に考えます。ブランド力のある商品や、独自性の高い商品に向いています。

バリューベースが機能するのは、こんな商品です。

  • ハンドメイドや一点もの(世界にひとつだけという希少性)
  • 専門知識・技術が詰まった商品(他では買えない独自性)
  • ストーリーや想いが伝わる商品(作り手の顔が見える)

バリューベースの価格設定では、商品ページでの 価値の伝え方 がそのまま価格の説得力になります。素材のこだわり、製造工程、作り手の想いなど、「なぜこの価格なのか」がお客様に伝わる商品ページ作りが不可欠です。

3つのアプローチ早見表

手法向いている商品メリット注意点
コストベース仕入れ商品・OEM計算がシンプル、利益率が読みやすい顧客視点が抜けやすい
競合ベースモール出店・コモディティ商品市場感覚をつかみやすい価格競争に陥りやすい
バリューベースオリジナル・ブランド商品高い利益率を実現できるブランド構築に時間がかかる

ECサイトで使える心理的価格テクニック

値付けの基本を押さえたら、次は 購買心理 を活用したテクニックです。「値段の見せ方」を工夫するだけで、同じ商品でも売れ行きが変わります。

端数価格(チャームプライシング)

約60%
端数価格の採用率(米国EC)

出典:Shopify — Psychological Pricing

2,000円ではなく 1,980円 。5,000円ではなく 4,980円

人は価格の左端の数字を強く認識するため、2,000円と1,980円の差はわずか20円でも「千円台」と感じさせる効果があります。日本のECサイトでもっとも広く使われているテクニックです。

ただし、高級感やブランドイメージを大切にしたい商品では、あえて ラウンド価格 (3,000円、5,000円などキリのいい数字)にするほうが効果的です。端数価格は「お得感」、ラウンド価格は「品質感」と覚えておきましょう。

松竹梅の法則(3段階価格)

松竹梅の法則(おとり効果)

3つの選択肢を用意すると、多くの人が真ん中を選ぶという心理効果です。英語では「Decoy Effect(おとり効果)」とも呼ばれます。もっとも売りたい商品を中価格帯に設定することで、自然と購入を誘導できます。

たとえば、スキンケアセットを3段階で用意する場合はこうなります。

プラン内容価格
ベーシック化粧水のみ2,980円
スタンダード(おすすめ)化粧水 + 美容液4,980円
プレミアム化粧水 + 美容液 + クリーム7,980円

「スタンダード」に売上を集中させたいなら、ベーシックは「ちょっと物足りない」内容に、プレミアムは「豪華だけど高い」内容に設計するのがコツです。

アンカリング効果

最初に高い価格を見せてから値引き後の価格を提示すると、割安に感じる効果です。

通常価格 8,800円セール価格 5,980円(32%オフ)

元値(アンカー)があることで、5,980円が「お得」だと感じやすくなります。Shopifyの場合、商品登録画面で 「割引前価格」 を入力するだけでこの表示が実現できます。

アンカリングを使うときは 景品表示法 に注意してください。実際に販売実績のない「架空の通常価格」を表示して割引を謳うのは 二重価格表示 にあたり、違法です。割引前の価格は、一定期間以上の販売実績がある価格にしましょう。

出典:消費者庁 — 不当な価格表示についての景品表示法上の考え方

利益を最大化する実践ポイント

心理テクニックを押さえたら、次はストア運営の中で利益率を高めていく具体的な施策です。

送料の価格戦略

送料の設定は、実は値付けの一部です。送料無料にすることで購入率が上がることは多くのデータで裏付けられていますが、その分のコストはどこかで吸収しなければなりません。

メリット
送料込み価格にする → 「送料無料」の安心感で購入率アップ
一定金額以上で送料無料 → 客単価アップを狙える
デメリット
送料を別途表示 → カゴ落ちの原因になりやすい
全品送料無料 → 低単価商品で利益が圧迫される

おすすめは 「〇〇円以上で送料無料」 の設定です。平均客単価の1.3〜1.5倍あたりに送料無料ラインを設定すると、「あと少しで送料無料」の心理が働いて客単価が自然と上がります。Shopifyなら配送設定画面から 送料の条件設定 が可能です。

決済手数料を価格に織り込む

ECサイトでは決済手数料が利益を圧迫します。Shopifyの場合、決済手数料はプランによって異なります。

Shopifyプランクレジットカード手数料備考
ベーシック3.55%小規模ストア向け
スタンダード3.4%中規模ストア向け
プレミアム3.25%大規模ストア向け

出典:Shopify 公式 — 料金プラン

この手数料を「必要経費」として価格に組み込んでおくことが大切です。たとえば、販売価格3,000円の商品で決済手数料が3.55%なら、約106円が手数料として差し引かれます。これを見込まずに利益計算をすると、想定より利益が薄くなります。

セット販売・まとめ買い割引の活用

単品販売だけでなく、セット販売やまとめ買い割引を組み合わせると、客単価と利益率の両方を改善できます。

  1. 1

    関連商品のセットを組む

    単品だと2,000円の商品を3点セットで5,400円(10%オフ)にする。お客様は「お得感」を感じ、ストアは客単価が上がる
  2. 2

    まとめ買い割引で数量を促す

    「2点で5%オフ、3点で10%オフ」のように数量に応じた割引を設定。在庫回転が早まり、配送コストも1件あたりで削減できる
  3. 3

    Shopifyのディスカウント機能を活用する

    Shopifyの管理画面から、自動ディスカウントやボリューム割引を設定できます。詳しくは ディスカウント機能の解説記事 を参考にしてください

値上げのタイミングと伝え方

原材料費の高騰、為替変動、送料の値上がり。ECサイトを長く運営していれば、値上げが必要になる場面は必ず来ます。

価格改定の判断をするイメージ

値上げを成功させるポイントは 「透明性」 です。

  • 値上げの理由を正直に伝える(原材料費の高騰、品質改善など)
  • 値上げの1〜2週間前に告知する(急な変更は不信感につながる)
  • 値上げと同時に付加価値を追加する(パッケージ改良、おまけの追加など)
  • 既存のリピーターには旧価格での購入期間を設ける

Shopifyの場合、 タイムセール機能 を使って「値上げ前の最終セール」を告知すると、駆け込み購入と在庫消化を同時に実現できます。

やってはいけない価格設定のNG例

客観的な根拠なく「最安値」と謳うのは景品表示法違反にあたる可能性があります。「お手頃価格」「コスパに優れた」など、比較を含まない表現に置き換えましょう。

実際に販売したことのない高い価格を「通常価格」として表示し、大幅な値引きに見せる手法は違法です。割引前価格には、直近8週間のうち4週間以上販売した実績が必要です。

商品価格を安く見せて、チェックアウト時に高額な送料や手数料を上乗せする手法は、カゴ落ちの最大の原因になります。価格の透明性が信頼につながります。

常にセール中の状態だと「定価で買うのは損」という認識が広がり、通常価格では売れなくなります。セールは年に数回、期間を限定して実施するのが効果的です。

Shopifyで価格戦略を実践するためのチェックリスト

最後に、Shopifyストアで今日からできることをチェックリストにまとめました。

  • すべての商品の原価・経費・手数料を洗い出し、損益分岐点を把握する
  • 競合商品を10点以上リサーチし、自社のポジショニングを決める
  • 主力商品に松竹梅の3段階価格を導入する
  • 端数価格(980円・1,980円など)を適切に活用する
  • 送料無料ラインを平均客単価の1.3〜1.5倍に設定する
  • 決済手数料を価格に織り込み済みか確認する
  • セット販売・まとめ買い割引を1つ以上設定する
  • 景品表示法に違反する表現がないか確認する

まとめ

価格戦略は「安くすれば売れる」という単純な話ではありません。コスト・競合・顧客価値の3つの視点をバランスよく組み合わせ、心理的なテクニックも活用しながら、 「お客様が納得できて、ストアも利益が残る」 価格を見つけていくことが大切です。

とくに自社ECサイトを運営する場合は、モールのような価格比較に巻き込まれにくい分、バリューベースの価格設定が活きてきます。商品の価値をしっかり伝える商品ページを作り、「安さ」ではなく「選ばれる理由」で勝負できるストアを目指しましょう。

Shopifyなら、ディスカウント機能やタイムセール、ボリューム割引など、価格戦略に必要なツールが標準で揃っています。まだ試していない機能があれば、ぜひ今日から活用してみてください。

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この記事はShopify予約アプリ「まるっと予約」の開発元であるPepinが執筆しています。

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