ホットペッパーをやめたその後は?サロンが取れる3つの選択肢

ホットペッパーをやめたその後にサロンが取れる道は、大きく3つに分かれます。自社予約サイトとSNS・Googleマップに一本化する、掲載プランを見直して併用する、いったんやめずに費用対効果を測り直す、の3つです。分かれ目になるのは解約の決断そのものではなく、やめる前に「ポータル以外の予約経路」が数字で動いているかどうかでした。掲載料はエリアとプランによって変わり公式には公開されていないため、判断はまず自分の契約書と直近3か月の予約データから始まります。
この記事に出てくる3つの選択肢は、特定のサロンの成果を再現した事例ではありません。ポータル掲載から自社予約へ移るときに一般的に取り得る選択肢を整理したものです。わたしはShopifyアプリの開発者であって美容室の運営者ではないので、ここには「うちのお客様はこうでした」という体験談は書いていません。数字はすべて公表資料から引いています。最終的な判断は、ご自身の契約条件と予約データで行ってください。
「掲載料は正直キツい。でも、やめた途端に新規がゼロになったらどうしよう」
ホットペッパーの解約を検索する人の不安は、だいたいここに集約されます。そして、この不安に対して「やめても大丈夫でした」と言い切る記事も、「やめたら終わりです」と脅す記事も、どちらもあまり役に立ちません。結果はサロンごとの数字で変わるからです。
そこでこの記事では、感想ではなく判断材料を並べます。公表されている市場データ、公式が明言している料金の扱い、そしてGoogleが公開しているローカル検索の仕組み。この3つを土台に、解約前に何を測り、どの順番で動けばいいかを整理します。
ホットペッパーをやめたら、その後どうなる?
結論から言うと、「ポータル経由以外の予約がどれだけあるか」で結果が決まります。ここが分かっていないまま解約すると、失うものの大きさが事前に見積もれません。
まず、判断の前提になる数字を押さえておきます。
出典:美容センサス2025年上期【美容室編】|ホットペッパービューティーアカデミー(株式会社リクルート)
美容室の市場そのものは伸びています。つまり「業界が縮んでいるからポータルをやめる」という話ではありません。判断すべきなのは、伸びている市場のなかで、自分のサロンがどの経路から客を受け取っているかです。
そして重要な点として、ホットペッパービューティーの掲載料は公式サイトで金額が公開されていません。公式のよくある質問には、掲載費は希望エリアやプランによって異なるため問い合わせが必要だと書かれています。つまり、ネット上で見かける「月額◯万円」という数字は、あくまで他社が伝聞で書いたものです。自分の判断に使っていいのは、自分の契約書に書かれている金額だけです。
掲載料・ネット予約手数料・契約期間・解約予告のタイミングは、契約によって条件が違います。記事や口コミの数字をそのまま自店に当てはめないでください。まず契約書を出してきて、月額・手数料率・更新日・解約予告の期限を書き出すところから始めます。
3つの選択肢を先に並べる
| 選択肢 | 中身 | 向いている状態 |
|---|---|---|
| 選択肢A | 完全にやめて自社予約+SNS+MEOに一本化 | ポータル外の予約が複数月で安定している |
| 選択肢B | プランを見直して掲載は残す | 新規はまだポータル依存だがコストを下げたい |
| 選択肢C | やめずに費用対効果を測り直す | そもそも経路別の予約数を計測していない |
多くのサロンにとって、最初に取るべきは選択肢Cです。測っていない状態で解約を決めるのは、計器を見ずに着陸するようなものだからです。
選択肢A:完全にやめて自社集客に一本化する
掲載を終了し、予約導線を自社サイト・LINE・Instagram・Googleビジネスプロフィールに寄せる形です。掲載料と予約手数料がまるごと不要になる代わりに、集客の責任を全部自分で持つことになります。
この選択肢が現実的になるのは、次の状態が「すでに動いている」場合です。これから作る予定、ではありません。
- ポータル以外の経路からの予約が、複数月にわたって一定数ある
- 既存客の連絡先(LINE・メール)を、連絡許諾を得たうえで保有している
- 自社予約サイトが公開済みで、テスト予約・通知・キャンセルまで検証が済んでいる
- Googleビジネスプロフィールの情報が最新で、口コミ対応が回っている
- 指名検索(店名での検索)で自社サイトが1位に出る
逆に言えば、このうちどれか1つでも空欄なら、選択肢Aはまだ早い段階です。

自社集客の土台としてSNSが機能するかどうかも、感覚ではなく前提データで考えられます。総務省の令和6年通信利用動向調査では、インターネットの利用目的のうち「SNS(無料通話機能を含む)の利用」が81.9%で最も高く、世帯のスマートフォン保有割合は90.5%でした。
出典:令和6年通信利用動向調査の結果(総務省・令和7年5月30日公表)
つまり、見込み客がスマートフォンでSNSを見ている確率は十分に高いということです。ただしこれは「発信すれば届く」という意味ではなく、「届く土壌はある」という意味にとどまります。投稿の頻度と中身が伴わなければ、土壌があっても芽は出ません。
選択肢B:プランを見直して併用する
掲載そのものは残しつつ、契約内容を見直してコストを下げる形です。新規はポータルに任せたまま、リピーターの予約だけ自社サイトへ移していきます。
前述のとおり、プラン構成も金額も公式には公開されていません。ですから「ライトプランに下げれば月額がいくらになる」といった話はここでは書けません。やることは単純で、契約している代理店または担当者に、現在のプランと下位プランの条件を書面で出してもらうことです。そのうえで、直近の予約データと突き合わせます。
- 1
経路別の予約数を3か月分そろえる
ポータル経由、自社サイト経由、電話、LINE、紹介。この5つに分けて、新規とリピートを別々に数えます。サロンボードなどの管理画面と、自社側の受付記録の両方を突き合わせてください。
- 2
ポータル経由の「新規だけ」を抜き出す
ポータル経由でも、実質はリピーターが同じ導線で予約し直しているだけのケースがあります。これはポータルの集客力ではなく、既存客の習慣です。ここを分けないと、掲載の価値を過大評価します。
- 3
1件あたりの獲得コストを出す
月額掲載料と予約手数料の合計を、ポータル経由の新規件数で割ります。この金額が、そのサロンにとっての新規1人の値段です。
- 4
LTVと並べて比べる
新規1人が平均して何回来て、いくら落とすか。単価と再来率が分かれば概算できます。獲得コストがこの金額を上回っていれば、掲載の形を変える根拠になります。
- 5
下位プランの条件と照らして判断する
下げた場合に露出がどう変わるかを担当者に確認し、想定される新規減と削減額を並べます。ここまで揃って初めて、プラン変更が判断可能になります。
リピーターの予約が自社サイトに移ると、ポータル経由の予約件数は自然に減ります。手数料が予約単位で発生する契約であれば、この時点でコストは下がります。掲載をやめなくても支払額は動かせる、というのが選択肢Bの要点です。
ホットペッパーをやめた後に新規が減るのはなぜ?
準備なしで解約したときに新規が落ちる理由は、根性論ではなく構造で説明できます。ポータルに掲載しているあいだ、サロンは3つのものをまとめて借りているからです。
- 01検索面。「エリア名+美容室」で上位に出る枠を、ポータルのドメインの力で借りている
- 02比較・予約の導線。空き枠表示からクーポン適用、予約確定までの画面を借りている
- 03初回来店の動機。クーポンや口コミ件数という「試す理由」を借りている
解約するとこの3つが同時に返却されます。代わりを用意していなければ減るのは当然で、サロンの実力の問題ではありません。
自分で検索面を取り直すときの指標は、Googleが公開しています。ローカル検索の順位は「関連性」「距離」「知名度」の3つの要素の組み合わせで決まる、と明記されています。距離は動かせませんが、関連性(カテゴリ・営業時間・サービス情報の正確さ)と知名度(口コミ、ウェブ上の言及)は自分で積み上げられる部分です。
出典:Google でのローカル ランキングを改善する方法(Google ビジネス プロフィール ヘルプ)
- 指名検索
店名やブランド名で直接検索されること。ポータル経由ではなく自店の名前で探されている状態を指します。指名検索からの予約が増えているかどうかは、自社集客が育っているかの分かりやすい目印になります。
解約後に検索順位や掲載順がどう扱われるかは、ポータル側の仕様であり公表されていません。「再掲載すると順位がリセットされる」といった説明をネット上で見かけますが、公式に確認できる情報ではないため、この記事では判断材料に含めていません。気になる場合は契約前に担当者へ直接確認してください。
解約する前に何を数えておけばいい?
ここが記事のいちばん実務的な部分です。解約するかどうかの前に、次の数字を最低3か月分そろえてください。1か月だけだと繁忙期・閑散期の差に引きずられます。
1回あたりの美容室利用金額(円・美容センサス2025年上期)
出典:美容センサス2025年上期【美容室編】|ホットペッパービューティーアカデミー(株式会社リクルート)
この全国平均は、自店の客単価が高いのか低いのかを測る物差しになります。平均より高い単価で回っているなら、クーポン主体の集客から離れても成り立つ可能性があります。逆に平均を大きく下回っているなら、まず単価の設計を見直すほうが先かもしれません。
数えるべき項目は次のとおりです。
- 経路別の予約数(ポータル/自社サイト/電話/LINE/紹介)
- それぞれの新規とリピートの内訳
- ポータル経由の新規1件あたりの獲得コスト
- 新規客の3か月以内の再来率
- 店名での指名検索からの流入(Google Search Console で確認できます)
- Googleビジネスプロフィールの表示回数とルート検索数
自社サイトを持っていないと、この計測のうち半分ができません。「やめるかどうか」を決める前に自社予約サイトを立てるのは、集客のためというより、判断材料を取るためでもあります。
予約システムを自社で持つ場合の具体的な選び方は、予約管理をホットペッパーに頼らず自社で完結させる仕組みの作り方で整理しています。ポータル依存そのもののリスク構造については予約ポータルサイトに依存するリスクと自社集客への切り替え方を参照してください。
ホットペッパーをやめた場合の費用はどう試算する?
削減額を「掲載料がまるごと浮く」と考えると、たいてい見積もりを誤ります。自社集客に切り替えても、ゼロにはならない費用と、新しく発生する費用があるからです。
試算はこの引き算で行います。
- 現在の支出=月額掲載料+ネット予約手数料+(クーポン値引きによる単価低下分)
- 移行後の支出=ECカート・サイトの月額+予約アプリ月額+オンライン決済手数料+ドメイン費用
- 見落としがちな項目=SNS投稿・写真撮影・口コミ返信・サイト更新にかかる自分の時間
- 差額がプラスでも、新規減による売上減が上回れば意味がありません。必ず売上側と両方で見ます
3つ目の「自分の時間」を金額に置き換えない試算は、だいたい楽観的すぎる結論になります。週に3時間をSNSと口コミ対応に使うなら、それは月12時間の人件費です。ここを入れて初めて、掲載料との比較がフェアになります。
第三者メディアが挙げている金額のレンジ、請求明細から自店の実額を出す手順、そして元が取れるラインの計算例はホットペッパービューティーの掲載料はいくら?非公開の理由と見積もりの取り方にまとめてあります。売上への影響を数字でシミュレーションしたい場合は美容室がホットペッパーを辞めたらどうなる?売上シミュレーション付きが近い内容です。
段階的に移行する5ステップ
ここまでの内容を、実行順に並べ直します。ポイントは「やめる」を最後に置くことです。

- 1か月目
計測環境と自社予約サイトを用意する
経路別の予約数を記録する仕組みを作り、同時に自社予約サイトを公開します。独自ドメインを取得すると、指名検索で自店のサイトが出やすくなります。Shopifyでのドメインの扱いは公式ヘルプに手順があります。
- 2〜3か月目
リピーターの予約を自社に移す
来店時に「次回からはこちらで予約できます」とURLやQRコードを渡します。LINEの友だち登録も同じタイミングで案内します。ここが移行のいちばん確実な部分です。
- 3〜6か月目
Googleビジネスプロフィールと発信を整える
営業時間・メニュー・写真を最新にし、口コミへの返信を続けます。Instagramなど自店に合うSNSで施術例を定期的に出します。関連性と知名度を積む作業です。
- 6〜9か月目
掲載プランの条件を確認して見直す
自社予約の比率が上がってきたら、下位プランの条件を担当者に確認します。削減額と想定される新規減を並べて判断します。
- 9〜12か月目
契約更新のタイミングで最終判断
ポータル外の新規が複数月にわたって安定していれば、更新時期に合わせて掲載終了を検討します。解約予告の期限は契約書で先に確認しておきます。
期間はあくまで目安です。繁忙期・閑散期をまたいだデータが取れるまでは、最終判断を急がないほうが安全です。電話予約をネット予約に切り替える手順そのものは電話予約をやめてネット予約に切り替えるメリットと移行手順が詳しいです。
移行チェックリスト
いま自分がどの段階にいるかを確認してみてください。チェックが埋まらない項目がある間は、選択肢Bか選択肢Cにとどまるのが妥当です。
- 契約書の月額・手数料率・更新日・解約予告期限を書き出した
- 経路別の予約数を3か月分そろえた
- ポータル経由の新規1件あたりの獲得コストを計算した
- 自社予約サイトが稼働し、テスト予約まで確認済み
- 連絡許諾を得た顧客へ案内できる手段(LINE・メール)がある
- Googleビジネスプロフィールが最新で、口コミ返信が回っている
- 指名検索で自社サイトが上位に出る
- 移行後の月額コストを、自分の作業時間まで含めて試算した
ホットペッパーをやめた後によくある質問は?
ゼロになるかどうかは、ポータル以外の経路がどれだけ動いているかで決まります。指名検索・Googleマップ・SNS・紹介からの予約がすでに毎月発生していれば、その分は残ります。逆に新規のほぼ全件がポータル経由なら、解約後に大きく減るのは構造上避けられません。だからこそ、解約の可否を語る前に経路別の件数を数える必要があります。
公式サイトでは金額が公開されていません。よくある質問には、掲載費は希望するエリアやプランによって異なるため問い合わせてほしい、と記載されています。ネット上に出回っている金額は他社が伝聞で書いたもので、自店の条件とは一致しない可能性があります。判断材料にしていいのは自分の契約書の金額だけです。
プラン変更が先です。解約は不可逆に近い判断ですが、プラン変更は段階的に戻せる余地があります。リピーターの予約を自社サイトへ移すと、予約単位の手数料がかかる契約であればそれだけで支払額は下がります。掲載をやめなくてもコストは動かせる、という順番で考えると失敗しにくくなります。
自社予約サイト、連絡許諾を得た顧客の連絡先、最新のGoogleビジネスプロフィール、そして経路別の予約データの4つです。前の3つは集客の受け皿で、最後の1つは判断の計器にあたります。とくに計器がないまま解約すると、減ったのかどうかすら後から検証できません。
繁忙期と閑散期をまたいだデータが必要になるため、半年から1年を目安に置くのが現実的です。1か月や2か月のデータで判断すると、季節要因を実力と取り違えます。加えて、契約の更新日と解約予告の期限が移行スケジュールを縛るので、最初に契約書で確認しておいてください。
ECカートに予約機能を足す形が、物販もあるサロンでは扱いやすい構成です。Shopifyであれば独自ドメインを接続でき、予約アプリを追加すればメニューと空き枠を管理できます。まず無料体験の期間中に、テスト予約・自動通知・キャンセルまでひととおり自分で操作して確認するのをおすすめします。
まとめ
ホットペッパーをやめたその後を決めるのは、やめる勇気ではなく、やめる前の計測です。
- 取れる道は3つ。完全移行、プラン見直しでの併用、測り直してからの判断
- 掲載料は公式に非公開。ネットの金額ではなく自分の契約書を基準にする
- 経路別の予約数を3か月分そろえるまで、解約の判断は保留にする
- 自社予約サイトは集客の受け皿であると同時に、判断材料を取るための計器でもある
- ローカル検索で自力の集客面を作るなら、関連性と知名度を地道に積む
順番を守れば、「怖くてやめられない」から「数字で見て、いまはこの形が合っている」に変わります。やめるかどうかより、選べる状態になっているかどうかのほうが大事です。
自社予約サイトの第一歩として、Shopify+まるっと予約なら無料体験から始められます。まずは計測できる状態を作るところから試してみてください。
移行の具体的な手順は、以下の記事も参考にしてください。


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